倉科カナ「芝居力も人間力も素晴らしい“芝居モンスター”がそろっている」~堺雅人主演、舞台『スリーゴースト』に妻役で出演

インタビュー
舞台
2026.9.8
倉科カナ

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劇作家サイモン・スティーヴンスが書き下ろした新作戯曲『スリーゴースト』が、ショーン・ホームズ演出、堺雅人主演で、2026年10月から東京・PARCO劇場ほかで世界初演される。

トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞などを受賞し、イギリス演劇界を牽引するばかりか、世界を股にかけて活躍を続ける劇作家サイモン・スティーヴンスが、数年後の世界をテーマに書き下ろした新作戯曲『スリーゴースト』。サイモン・スティーヴンス脚本の舞台『FORTUNE』ワールドプレミア(2020年)の際に、PARCO劇場への新作を依頼してから6年。コロナ禍のオンラインミーティング、第一稿をもとに23年に来日ミーティング、24年にはロンドンで英語台本のワークショップ、25年には東京で日本語台本のワークショップ、今年2月東京で作品演出のワークショップを重ねながら温められてきた本プロジェクトは、日本人の俳優による日本語上演を目指して準備をしてきたという。

主演は堺雅人。その堺が演じるジョーの妻役・ハナを演じるのは、倉科カナ。倉科に本作を読んだときの感想や楽しみにしていることなどを聞いた。

ーー倉科さんご自身、今回出演しようと思われた一番惹かれたポイントはどこですか?

私がオファーをいただいたのが、まだ脚本は無く、脚本・演出とある程度のキャスティングが決まった段階だったんですね。海外の方とご一緒する機会はなかなかないことだなと思いますし、やはり感覚がどこか違ったりしますよね。どうしても。だから、まだ体験したことない演出を受けてみたいな、チャレンジしてみたいなと素直に思ったんです。

自分がどう転ぶかは分からない、トライして痛い目を見たとしても、ちゃんと経験として、糧としていきたいなと思って、ハナという役を受けさせていただきました。

倉科カナ

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ーー確かに言葉も文化も違うことで、ニュアンスも変わってきたりしますよね。その辺りの不安や心配はありませんでしたか。

実際に出来上がった脚本を読んで、「どういった意図なんだろう?」と思う箇所は正直あります。日本語で書かれたものと訳されているものとでは、ちょっと受け取りづらいところがあって。まだ咀嚼しきれないままここまで来ているので……。

これはもう稽古で、みんなで取捨選択というか、これは違うね、こういった意味なんだねとお互いの認識を揃えていかないといけないなと今の時点で感じています。きっとコミュニケーションを取れば成り立っていくことだと思うので、まだ稽古に入っていない分、心配なことばかりですけど……きっと稽古期間に入ったら、その心配は払拭されていくかなとは思っています。むしろ疑問や不安は果敢に、皆さんに聞いていきたいなとも思っています。

ーー脚本のサイモンさんや演出のショーンさんは日本でも舞台作品を作っていますが、ご覧になったことはありますか。

段田(安則)さんの『セールスマンの死』(2022)などを拝見しています。もともとある戯曲がよりブラッシュアップされて、洗練されている印象があります。だから、ご一緒するのはすごく楽しみです! 私自身、日本の演出作に携わることが多くて、海外の方の演出・作の舞台でご一緒するのは今回が初めて。なので、見ていた憧れの皆様とご一緒できるのはすごく光栄だなと思いますし、自分のどういったところが引き出されるのかが楽しみですね。

ーーまだまだ謎に包まれている作品だと思うんですけれども……倉科さんは脚本を読まれてどんな印象を持ちましたか?

本当におっしゃる通りで、身近なようで幻想的で、本当に掴みどころがない感じに今は捉えています。それから、自分の役柄が結構難易度が高いなと思っています。それが第一印象ですね。

倉科カナ

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ーー作品のあらすじを読むと「ゴースト」と「デジタル社会」が掛け合わさったような感じですよね……?

そうですね。『スリーゴースト』というタイトルで、バックボーンをなくした人だったり、形があった人がどんどん人の思い出というか、実体がなくなっていくみたいなところだったりがテーマとしてあります。実在していたものが、人の思い出として、実体がなくなっているけれど生き続けていく。それを抱えていく役が、私の演じるハナでもあるし、堺さんの役柄でもあるんですけど……ずっと付きまとっていくものでもあるし、抱えていたい思いでもあるし、みたいな。詩的でもあって、それを体現するのは難しいなと思って、一体どうなるんだろうと思っています。

ただ、今回、小野寺(修二)さんというステージングの方が入ってくださって。私は個人で舞台を作ろうとしたときに小野寺さんにお声がけさせていただいたり、ワークショップに参加したり、いろいろと交流があるのですが、その小野寺さんが、この可視化するのが難しいストーリーを具現化していくことをサポートしてくださるだろうと思っています。でも、台本を読んだ限りは本当にもう難しい題材だなと思います。

ーー主演の堺雅人さんについての印象を教えてください。また、堺さんは17年ぶりの舞台だそうなんですが、その点についてはどう思われていますか?

とにかく可愛い!(笑)。先輩に対して失礼かもしれないんですけど、なんてキュートなんだろうと思います。CMを拝見していても、怪獣と戦っていたり、ハンバーガーを持っていたりするだけなのに、「なんでこの人、あんなに可愛いんだ! キュートだなあ!」と思って(笑)。人を惹きつける魅力のある方だなという印象ですね。

一方、ドラマなどの作品で役柄を抱えていらっしゃると、いつもプロフェッショナル。インタビューやバラエティ番組で、堺さんのことを共演者の方が語る際に、全くNGを出さないとおっしゃっているのを見たことがあって……すごいなって。確か「遊ぶためにセリフは完璧に入れてくんだ」とおっしゃっていて、そういう捉え方があるのかと。

これからご一緒するにあたって、先輩の姿を見て、私も見習いたい。どんどん自分も吸収していくものもあると思うので、ご一緒できて本当に光栄ですし、本当に得るものはたくさんありそうですね。

倉科カナ

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ーーその他の共演者の方々に対してはいかがですか。印象や何か楽しみにしていることあれば教えてください。

やばくないですか? このキャストの顔ぶれ(笑)。化け物ぞろいというか……いや、いい意味でですよ!(笑)

“芝居モンスター”な方々とご一緒できるのは本当に光栄です。自分が出ているシーンはもちろん、出ていないシーンでも、何かを吸収しようと貪欲にいきたいですね。それぐらい皆さん芝居力が素晴らしすぎますし、共演させていただいた方もいらっしゃるんですけど、人間力も素晴らしい。

安心して一緒にぶつかることができるというか、遠慮しなくてお互いぶつかり合える気がしていて、稽古が楽しみなんですよね。今回は脚本家、演出家、キャストの皆さんから吸収することが山ほどあるので、この舞台を終えた後、自分がどうなってるのか、その変化が気になるところではあります。

ーーご自身の演技力もってしても難しい役どころとおっしゃっていましたが、このメンバーだったら、何か糸口が見える予感がありますか。

そうですね。ハナの役って——これはショーン・ホームズさんとサイモン・スティーヴンスさんに初めてお会いしたときに感想でお伝えしたんですけど——姉のミカが「動」だとしたら、ハナは「静」な気がするんです。

ミカはすごく感覚が鋭いというか、みんなが見えていないものがたくさん見えている。戦争のことだったり、みんなが感じていないことにすごく敏感で、繊細。なおかつそれに対して、おかしいと思うことをしっかり相手に示して動いていくタイプなんです。一方で、ハナはミカから見ても「あなたはちゃんと生きているよね」と言われるような、模範的な存在。ただ、それはミカから見たハナであって、ハナ自身は、義理の母のこと、父のこと、亡くなってしまったこと、関係性を保っていくこと……と、抱え込むことがすごく多くて、それをあまり発散しない。発散せず、どうやったら関係が続けられるかを考えている。すごく理性的ではあるけど、決してそれを良しとしてるわけではなくて……。

だから、ストーリーが進んでいくにあたって、いろいろな衝撃的なことが判明したり起きたりして、それに対して、パンパンにどんどん感情が膨らんでいった中で、やっぱり爆発してしまうんです。その爆発の仕方も、ミカとは違う形なんだけれど、その「静かなる爆発」が1番難しいんです。それを自分一人で作ることもできなくもないですが、芝居をする上で、相手からエネルギーをもらった方が絶対いいことは確かなので、百戦錬磨のキャストの皆さんのエネルギーをちゃんと受け取って、静かなる爆発と言いますか、それでもやっぱり生きていこうとする静かな歩み——イギリスでいう朝食みたいな。嫌なことがあっても朝ご飯を食べるよねみたいな、そのたくましさみたいなものは、少し出せたらいいなと思っています。

今回の企画は何かを押し付けるというよりは、感じるに近いような舞台。明確な何かが見つかるという舞台ではないかもしれないけれど、お客様に何かを感じていただけたら嬉しいなと思う舞台ですね。

倉科カナ

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ーー社会的な物語なのか、人間ドラマなのか、サスペンスなのかみたいな、何かもう少し分かりやすいヒントをもらえると嬉しいです!

それがすごく面白くて、社会派でもあるんですよ。ミカがそれを担っていたりもするんですけど、今起きている時事ネタのようなものもちゃんと散りばめられつつ、自分が見た夢を見られる装置を開発するという、ちょっと未来SFっぽいところもあります。しかも人間ドラマでもあって、堺さんの役・ジョーと、妻であるハナ、その姉のミカという役、この3人の関係に注目していただきたいと思っていて……。

つまり、SF、人間ドラマ、時事ネタ、社会派といろんなジャンルになっています。全部を理解しようとすると、わーっと混乱してしまうかもしれないので、まずは感じていただけたらと思っています。……何より、堺さんの長ゼリフが多いんです。見ものですよ!

ーーますます楽しみになってきました。最後に、倉科さんが思う改めて舞台の魅力を教えてください!

私は本当に舞台が好きなんです。その理由は、やっぱり稽古期間があるから。自分たちが「これってどういう意味なんだろう?」と感じたクエスチョンはそのまま進んでいかないですし、稽古場で生まれるコミュニケーションも含めて、いろいろなチャレンジやアプローチが稽古期間でできるんです。その戯曲、その役柄にあった適切なアプローチは何なのか、しっかりと模索した上で皆さまに見ていただけるんです。

舞台ならではだなと思うのが、音声・照明を含めて全部一緒に稽古すること。というのは、「ここでこういう音楽が流れます」とか「ここでこういった照明が当たります」とか、そういうのも全部私たちは理解した上で、「この照明になるんだったら、こっちに動いた方がこの戯曲には合うかも」などと判断ができる。決して一方的なやりとりではなくて、技術チームと一緒に一丸となって、その作品のベストのアプローチができるのは、舞台ならではと思うんです。映像作品の場合、撮ってしまったら編集がどうなるか、音楽がどこに入るのか、どういうテイストなのかは分かりませんから。そういった点で、キャストもスタッフも演出家も全員が透明性があっていいなと思っています。

時代的にもAIが発達して、あらゆることが簡単にできちゃうわけですが、それでもやっぱり生で、役者や技術チームがやっていることを体感できるというのはすごく価値あるものだなと思っていて。私はもともとずっと舞台が好きで、年1回は舞台の仕事をやると決めているんですけど、年を重ねるにつれて、舞台の価値というのがどんどん私は上がっているように、感じています。ぜひ劇場でお待ちしています!

倉科カナ

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ヘアメイク:堀川知佳
スタイリスト:清原愛花

 

取材・文=五月女菜穂      撮影=福岡諒祠

公演情報

PARCO PRODUCE 2026
『スリーゴースト』
作:サイモン・スティーヴンス
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣裳:ジョン・ボウサー
 
出演:堺雅人  倉科カナ  伊勢佳世  迫田孝也  sara  小日向星一 / 高畑淳子  段田安則
 
公式HP=https://stage.parco.jp/program/threeghosts
ハッシュタグ=#スリーゴースト
 
特別協賛:株式会社イープラス
制作協力:ゴーチ・ブラザーズ
企画・製作:株式会社パルコ
 
【東京公演】
日程・会場:2026年10月6日(火)〜27日(火)PARCO劇場(プレビュー公演あり)
入場料金(全席指定・税込):12,000円  ※プレビュー公演11,000円
※未就学児の入場はご遠慮ください。
に関するお問合せ:サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
公演に関するお問合せ:パルコステージ 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
 
 
【ツアー公演】
日程・会場:
<岡山> 2026年11月6日(金)〜8日(日)岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
<大阪> 2026年11月12日(木)~23日(月祝)SkyシアターMBS
<愛知> 2026年11月27日(金)〜29日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
<宮崎> 2026年12月3日(木)〜6日(日)メディキット県民文化センター (宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール
<福岡> 2026年12月10日(木)〜13日(日)J:COM 北九州芸術劇場 大ホール
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