大阪・南港ATCで開催中の『ジブリパーク展』に潜入ーーFM802 DJ土井コマキが世界中で愛されるジブリの世界へ会いに行く
『ジブリパーク展』 撮影=maki yamada (C)Studio Ghibli
『ジブリパーク展』2026.7.18(SAT)〜9.26(SAT)大阪南港ATCギャラリー
恥ずかしながら、私の人生は、ほぼサブストリートを歩いてきました。ですが、人生も折り返しの今、なんだか勿体無い気がしてきた。そこで、私がこれまで敢えて避けてきた物事に、今一度出会ってみようという、ひとりキャンペーンを実施中なのです。そんな中、ちょうど始まったのが、このジブリパーク展。もちろん何作品もジブリ作品は見てきましたが、世界中で愛されているジブリの世界にあらためて出会いたくて、内覧会に行ってきました。
(C)Studio Ghibli
開会式でスペシャルゲストとして登場した俳優の小澤征悦さんが、ギフトショップでつい買ってしまったという大きなトトロのぬいぐるみを抱きながら、好きな作品について熱く語る。その姿を見て、私のような初心者でも展示を楽しめるのか、ちょっと及び腰になってきました。とはいえ、キャッチコピーは「来てみなけりゃ、わからない。」だから、自分のジブリ歴なんて気にせず入ってみたらいいのだ、きっと!
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会場につくとまず壁一面に描かれたジブリ作品歴代のキャラクターたちがお出迎え。あのキャラが好き、名前がわからないけど、あの子が好き。「あれ? 私そんなに好きだったっけ?」早速テンションが上がっている自分に驚き! 入ってすぐに我々を待っているのが、今回のキービジュアルになっているインコマントロフィーの本物と、「千と千尋の神隠し」の「湯婆婆! でっかい! 顔の陰影が怖いわ!」歓声のような悲鳴のような「わわわわわ……」を発してしまった。背景のあれこれも迫力ある。千尋の契約書もある。同じ部屋の壁に貼られた「よい子のおやくそく」さえ、これはなんか守らないとやばそうな気がしてしまうほど、湯婆婆の造形が怖い(笑)。
(C)Studio Ghibli
さてこの展示は、2022年に開園した、スタジオジブリ作品の世界を表現した公園施設ジブリパークの魅力を凝縮している、体験型の展示。大きく分けて、「小さなジブリパーク」、企画展示「食べるを描く。」増補改訂版、「ジブリのなりきり名場面展」の3つのゾーンから構成されています。
(C)Studio Ghibli
最初は「小さなジブリパーク」。本家ジブリパークでは子供たちだけの遊び場だという「子どもの街」をもとに、ジブリパークの各エリアの象徴的なスポットも再現したゾーンとのこと。ゲートをくぐってすぐに「わー!」と今度は歓喜の声をあげてしまう。びっくりするくらい文字通りの「わー」を何度も何度も色んな声色で、ずっと発してしまうのです。大人が! まずはドーンと広い空間にぎゅうぎゅうに並ぶ造形物の大きさにワクワク。たくさんあり過ぎてどこからみたらいいの?! と呆然としてしまうほど。さらに足元に目をやると、ジブリパークのポスターにも描かれている双六のマス目が。「どんどんすすもう」。そうだよ、どんどん進めー進めー!
(C)Studio Ghibli
レトロな街並みの中に「やきとりスタミナの動く城」とか「cafe 大陸横断飛行」など、ニヤニヤしてしまうお店が並んでます。近づいて入りこむと、今度はいちいち細かいところが気になり始めて……動けない! やっぱりときめくのはトトロのバス停。時刻表もかわいいねぇ。そして、あれ? スタジオジブリじゃない? 偉大なあのお方の面影がある白髭のブタさんが汗をかきながら作業机に向かってます。机に並ぶ小道具に興味津々。特に夏目漱石や仏日辞書など書籍類。参考資料ってことだよね。「ものと人間の文化史 歯」という本が気になって、検索してしまった。
(C)Studio Ghibli
あと、来訪者記録にキキの名前があって、パイのお届けに来たらしい。うう、悶えちゃう。在席表にはハウルの文字も。わかりやすいアイデアだけど、なんだ、私、ちゃっかりファンだったのかと思っちゃうくらい、いちいち写真を撮ってしまう。
(C)Studio Ghibli
(C)Studio Ghibli
DJとしては収録ブースでどなたかがアフレコ中だったのが気になっちゃいました。さらに、本家ジブリパークにもあるという公衆電話ボックスが、この展示にもあります。実際に受話器を持って耳をすませば、嬉しい仕掛けが。そしてそして、銭湯ではなんと、おおとり様と河の神様と一緒に湯船に入って写真が撮れちゃいます! 神様と一緒にお風呂に入って良いのですか?! 先にシャワーを浴びるのがマナー?! 鏡にもクスッと笑える書き込みが。そんな具合で、子どものようにあっちこっち飛び回って、触れて、ディテールを見て、ニヤニヤしちゃいました。
(C)Studio Ghibli
ジブリパークにも行ったことがあるほどジブリファンのカメラマンにも教えてもらいながら、「探さないでください ゴロウ 7/16」とか、あちこちに施された小ネタを拾うのも、とても楽しかった〜。こうなってくると全ての張り紙や時計にも理由があるんじゃないかと思ってしまう。
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続いて、私が一番楽しみにしていた企画展示「食べるを描く。」増補改訂版のゾーン。入り口の「ごあいさつ」を読みながら、「そうやねん〜」と共感。レストランみたいにショーケースに並ぶ食品サンプルが、もう最高。「魔女の宅急便」のニシンとカボチャの包み焼きが美味しそう。
(C)Studio Ghibli
KIKIって描いたチョコレートケーキとか可愛いものもあれば、『千と千尋の神隠し』の神さまの食べ物のような食品サンプルにすること自体がシュールな献立まで。食べ物が美味しそうに見えるには、食べる人の動きと、食べ物自体の変化の両方が大切で、そんな大切なシーンの原画がたくさん展示されています。修正を指示する手書きの文言が、とても興味深かったです。またお箸の使い方を描くことについての説明で、自分がお箸を持っているところを鏡で見る体験が出来ます。あんまり上手じゃないので恥ずかしい。でも、どんなふうにお箸を使うのかで、キャラクター設定ができるかもしれない。私たちはお箸の国の人だからこそ、箸使いから無意識に読みとっている事があるよね、きっと。それに注目して映画見てみたいなぁ。
(C)Studio Ghibli
目玉企画は、やはり実物大で再現された食の舞台!まずは、『千と千尋の神隠し』のあの屋台、そばには柵の中に豚が数匹。怖い、怖いよ。これは食べたらダメなやつちゃう? と言いつつ箸に手が。この後、私はスマホを無くして大変ご迷惑をおかけしました。怖い。そして、「コクリコ坂から」のコクリコ荘の台所。実は私がジブリ飯で一番好きな食べ物かもしれない、あの普通だけどとても美味しそうな朝食が準備中だ。よし、私も手伝うよと台所に立つ幸せ。頭の中では「お鍋はグラグラ お釜はシュウシュウ まな板〜はトントトン♪」と手嶌葵が歌いはじめる。冷蔵庫の中や、配膳台の中に入っている物など細かいところまで再現されていて、昭和30年代末の食生活を知ることができて楽しい。
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そして「となりのトトロ」のメイちゃんのお家は、台所とちゃぶ台とお風呂まで再現していて、まるでここであの一家が暮らしているような空気が漂っています。さらにお風呂の廊下の床下には……。思わず声をかけてしまった自分に驚きます。代わって「天空の城ラピュタ」のタイガーモスの厨房は、飛行船の中だけに想像以上にコンパクト。そこに大量の食品や料理道具が機能的に詰め込まれている。相当ぎっしりなもので、服にスパイスの香りが移ってしまいそうな気がした。
(C)Studio Ghibli
この展示は撮影ができないので、味が口の中に広がってくるまで、じっくりしっかり見るべし。これは作戦だな〜。ただでさえ、ジブリに出てくる食べ物って美味しそうだから、みんな真似して作っちゃうでしょ? なのに、こんなにじっくり見たらお腹すいちゃうし、今日はもうジブリ飯で決定です。
(C)Studio Ghibli
さて、最後3つ目のゾーンは「ジブリのなりきり名場面展」。『天空の城ラピュタ』『紅の豚』『思い出のマーニー』『千と千尋の神隠し』のワンシーンに入り込んで写真が撮れます。恥ずかしがらないほうがいいですよ、思い切りやったほうが良い感じに撮れます! さらに『千と千尋の神隠し』の巨大なハク竜は、圧倒的で神秘的で美しい。今にも動きそう!
(C)Studio Ghibli
自分の中で今回は「ジブリに出会いに行く」をテーマに伺ったんですが、私はそもそも「食べることにまつわるアレコレ」が好きだから、特に企画展示「食べるを描く。」増補改訂版が本当に面白くて、色々関係ないことを考えてしまった。食べ物は命を作るもの。だから台所には人の命の気配、営みの気配があるのかもしれない。何を食べる? 誰と? どこで? それを考えてしまうような展示だった。深く考えすぎですかね(笑)。
(C)Studio Ghibli
気づいたのは、この展覧会には、特殊な仕掛けがなかったこと。バーチャルもAIもない。昔ながらの大道具と小道具しかない。だけどこんなに夢中になってしまうのは、なぜだろう。こんなに人の営みの気配を感じるのは、なぜだろう。ジブリパークに行ったら、ここまで作り込まれた世界と、公園・自然との境目がないんだという。それはきっと大変だ。映画の中のキャラクターたちが、そこで暮らしている感覚になってしまうだろう。キャラクターたちの物語が架空ではなく、自分の隣にある暮らし、人生、命、気持ちだと感じられるかもしれない。そうしたら、ジブリ作品が伝えたいメッセージがもっともっと自分ごととして、よりリアルに響いてきそうだ。「来てみなけりゃ、わからない。」っていうけど、もっと分かりたいから、今度はジブリパークに行きたい! しっかりハマってしまった!!
(C)Studio Ghibli
取材・文=土井コマキ(FM802 DJ) 撮影=maki yamada