日本のポップ史を踏襲しながらひっくり返す 星野源のエンタテイメント魂

レポート
音楽
2016.1.31

画像を全て表示(5件)

星野源 LIVE TOUR 2016『YELLOW VOYAGE』 2016.1.24(日)@さいたまスーパーアリーナ

週間ランキングで自身初の首位を獲得し、今もロングセラーを続ける最新アルバム『YELLOW DANCER』。このアルバム以前と以降と呼べるほど、ほぼ同時にロックバンドがファンクミュージックやソウルへの傾倒し始めるほど、2015年後半を代表する作品となったわけだが、星野源の表現は単に「日本人的な移り変わるものへの心情」と「ブラックミュージックのリズム感」を足し算したものでないことは、本作を軸にした今回のツアーで、さらに立体的に見えてきた。

星野が生まれ育った地元最大の会場であり、自身のキャリアの中でも最多のキャパシティである各日20,000人を動員した今回のさいたまスーパーアリーナ2Days。折しもこの冬最大の寒波に見舞われたものの、「今、最もが取れないアーティスト」星野源の求心力は凄まじいものがありスタンドの最上階まで埋め尽くされた光景は圧巻だ。今回はこの後も3月21日の大阪城ホールまでツアーが続くため、詳述は避けるが、いくつかのトピックと音楽的なハイライトをレポートしよう。

星野源 撮影=岸田哲平

星野源 撮影=岸田哲平

今回の『YELLOW VOYAGE』、これまでとちょっと趣向を変えて、ライブの開始を告げるナレーションを声優の銀河万丈氏が担当。ショー全体の一つの鍵を担っているのは、見てのお楽しみ。おなじみのバンドメンバーに加え、ストリングス隊がスタンバイする中をシックな出で立ちの星野が登場し、アルバム『YELLOW DANCER』収録曲を軸に、リズム楽器はもちろん、ギターやピアノ、ストリングスのアンサンブルも含めて、ソウルフルでタメの効いたグルーヴを醸成していく。新作の音楽性の発端になった「桜の森」は、以前のライブにも増して”イエローミュージック”としてのオリジナリティを増していたし、ライブでは自由に体を動かす欠かせないレパートリーになっている「夢の外へ」や「Crazy Crazy」も、リアレンジがふんだんに施された印象だ。また、ブラスセクションも加わった「地獄でなぜ悪い」は、ユーモアに満ちた楽曲がビッグバンド的な演奏で、さらにそのスラップスティックな色合いを強めていたし、アルバム収録曲でライブでは初めて聴くことになった「Week End」の洗練と多幸感が、アルバムの中ではファンク/ソウル路線とはまた異なる「時よ」では、星野が10代の頃から追求してきたエキゾ感と、軽快に疾走するビート感が、せわしなく意味もないけれど、様々な人の恋が繋がってここにいる<僕ら>を走らせるーー生きているこの時間のかけがえのなさを、いかにも彼らしく愉快にエンタテイメントに昇華していたことが強く心に残った。

星野源 撮影=岸田哲平

星野源 撮影=岸田哲平

星野源 撮影=岸田哲平

星野源 撮影=岸田哲平

もちろん、星野最大のヒット曲であり、本人も「2015年、一番歌った曲です!」というコメント、そしてアナログシンセのイントロもおなじみになった「SUN」は、もはやダンスミュージックでもあり、イエローミュージックでもあり、2015年から2016年を代表する”流行歌”として、アリーナの外まで届きそうなポップネスで輝いていた。

星野源ならではのエンタテイメントは、日本のポップ・ミュージックを更新し続けるミュージシャンの彼に期待を寄せる人にも、他の誰とも違う人間の本質を歌うシンガーソングライターとしての彼を愛する人にも、エロいネタで観客をいじって楽しそうにしている源ちゃんが好きな人にも…いや、みんなその見事なバランスが好きなのだと思うが…「そこにそんなに心血注ぐか?」と、半ば呆れるほどすべてがスケールアップ。これには以前からのファンも今回初めて見たファンも驚きと笑いを禁じ得なかったことだろう。ロックバンドはこうとか、R&Bシンガーはこうとか、J-POPグループはこうとか、本当は定形なんてない。もとより星野源はどこにもカテゴライズできないアーティストだが、いよいよその事実を”国民的アーティスト”として浸透させる時が来たのだ。『YELLOW DANCER』のキャッチコピーである「未来を、踊ろう。」、その意味がこのツアーで眼前に立ち上がる。さあ、これからツアーに出かける人は存分に自分を解放しちゃってください。いや自然にそうなるとは思いますが…。


撮影=岸田哲平 文=石角友香

星野源 撮影=岸田哲平

星野源 撮影=岸田哲平

ツアー情報
星野源 LIVE TOUR 2016 『YELLOW VOYAGE』
 
2月3日(水) 仙台サンプラザホール 18:00 OPEN / 19:00 START
2月9日(火) 名古屋・日本ガイシホール 17:30 OPEN / 18:30 START
2月16日(火) 福岡サンパレスホテル&ホール 18:00 OPEN / 19:00 START
2月27日(土) 神戸ワールド記念ホール 17:00 OPEN / 18:00 START
2月28日(日) 神戸ワールド記念ホール 16:00 OPEN / 17:00 START
3月5日(土) 広島文化学園HBGホール 17:00 OPEN / 18:00 START
※終了文は割愛

 

 

シェア / 保存先を選択