2月高円寺は“純笑”商店街に!?演芸まつり開催

ニュース
2016.2.3

2月の高円寺は“純笑”商店街に変貌する!?

東京都杉並区の高円寺といえば、夏の名物「阿波おどり」で踊り手・観覧客のごった返すにぎわいを見せ、またライブハウスの多いことから若手ロッカーを育むロックな街といったイメージがあります。そして、作家・ねじめ正一の直木賞受賞作『高円寺純情商店街』の舞台としても全国的に知られている。

その高円寺が、毎年2月は落語や演芸の街に一変することをご存知だろうか? 「高円寺演芸まつり」と題して、高円寺駅周辺地区の神社、銭湯、飲食店、居酒屋、自転車屋、葬祭場など、いたるところが寄席の会場となり、様々な場所で落語や漫才、マジックなどの演芸を楽しめるという笑いの祭典が、10日間にわたって開催されるのだ。その数実に40カ所以上。高円寺純情商店街はもとより、街全体が純粋に笑いたい人/笑わせたい人たちが集まる“純笑”商店街と化すというから驚きだ。


今年はオタクな落語会が話題

「高円寺演芸まつり」は、「若手芸人を街ぐるみで応援して笑って幸せになろう」というコンセプトのもと、2011年にスタート。もともと昔から高円寺地区には寄席演芸の芸人が多く居住していて、演芸の保護・育成をしようという風土があったという。かつては数百人を収容する演芸場があり、現在も杉並区立劇場「座・高円寺」のほか、定期的に寄席を開催する店舗が数軒あるとも。それを一時期に集め、あるいは新たに会場を募って、「祭り」として発展させてきたのが「高円寺演芸まつり」というわけだ。6回目を数える今年は、総勢120名を超える芸人たちによる76公演が42会場で展開される。

なかでも今年の話題といえるのは、オタクな趣味を持つ落語家たちが趣味と実益を兼ねて(!?)炸裂させる「◯○と落語」のシリーズ。まず、2/7(日)には、天文ファンとしても知られている柳家小ゑんが「星空落語〜理科系落語の巨星がやってくる!〜」を開催。雑誌『天文ガイド』に「星空川柳」の連載を持ち、この人にちなんで「KOEN(小ゑん)」と名付けられた小惑星もあるというほど、正真正銘の天文オタク。今回は宇宙工学の専門家が主宰するという異色のギャラリー「Uptown Koenji Gallery」で、創作落語を披露するという。

2/10(水)には、趣味が鉄道(乗り鉄)で、交通新聞社新書より「鉄道落語」(共著)も出している“鉄道落語家”こと古今亭駒次が、鉄道落語会「駒次鉄道×駅すぱあと 鉄道落語」を開催。会場となるのは、高円寺で創業し、乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を開発・運営する株式会社ヴァル研究所のオフィス1Fにあるオープンカフェ。おそらくは社員も総出で見守る中、鉄道愛がたっぷりと詰まった落語会になることだろう。

「駒次鉄道×駅すぱあと 鉄道落語」

「駒次鉄道×駅すぱあと 鉄道落語」

2/11(木・祝)は、エベレストやタクマラカン砂漠、ギアナ高地にも落語を奉納してきたという冒険落語家・林家彦いちが、「林家彦いち喋り倒しin高円寺」を開催。会場となるのは、高円寺の自転車屋さん「tokyobike shop高円寺」。これまでにもカナダ・ユーコン川、シルクロード、バイカル湖などの旅の模様を喋るライブをやってきている噺家だけに、スライドショーを交えたアウトドア派の旅噺を聴けば、あなたもきっとその場で自転車を新調して旅に出たくなるはず!?

そして、2/14(日)には、セシオン寄席「新作講談『堀之内新道物語』と落語『堀之内』」が開催(セシオン杉並)。江戸庶民の間で「堀之内のおそっさま」と言われ、厄除けのお寺として全国から大勢の参詣者を集めた日圓山妙法寺(杉並区堀ノ内3-48-8)は、古典落語「堀之内」の舞台でもある。これにちなんで、昔昔亭A太郎による落語「堀之内」と、妙法寺の参道を作った男の話を神田真紅が新作講談に仕上げて披露する。


通人好みの企画も

「いや、もっとちゃんと落ち着いて、噺を聴きたいよ」という落語通な人もいよう、そうした向きには、座・高円寺寄席はいかがだろうか? 2/13(土)の「百花繚乱! —四派そろい咲き」(座・高円寺2)では、三遊亭兼好、林家彦いち、春風亭柳好、立川志らくが出演。2/14(日)は「挑むは、はんなり若旦那」として、古今亭志ん輔が師匠・志ん朝のこの噺を聴き落語家を志したという「火焔太鼓」を、また人間国宝・桂米朝の孫弟子で上方落語会期待の若手実力派・桂吉坊が「胴乱の幸助」他一篇に挑む。

座・高円寺 © Hiroshi Tsutsumi

座・高円寺 © Hiroshi Tsutsumi

さらに、オープニングを飾る企画として「やったネ! 東京かわら版500号記念展 表紙と写真で振り返る42年間」も開催(2/2〜3/6@座・高円寺B2F Galleryアソビバ)。東京近郊の落語を中心とした寄席演芸の月刊情報誌「東京かわら版」の500号を記念し、42年間の表紙500号分をずらりと展示。表紙や誌面を飾った名人たちの写真も紹介される。

また、2/5(金)には「俺、『東京かわら版』作った者だけど何か質問ある? 井上和明トークショー」も開催(座・高円寺 阿波おどりホール)。まるでハリウッドスターがSNSを通じて公開質問を受け付けるようなタイトルなのが可笑しすぎる。「東京かわら版」の創始者の井上氏を招き、鈴々舎馬ること春風亭一蔵が聞き手となって、いろんなことを根掘り葉掘りうかがう模様。


初心者でも安心! 気軽なワンコイン寄席や紙切り・太神楽

「そうは言っても、落語なんか聴きにいったことないし、どう見ればいいんだかわからないし…」という初心者も、心配にはおよばない。普段の定席(寄席)は敷居が高いと思って足の向かない人にとっても、「高円寺演芸まつり」にはとても気楽に楽しめる催しはたくさんある。木戸銭無料(別途ドリンク代あり)のところや、ワンコイン(500円)で気軽に楽しめるところもあるのだ。寄席体験が初めてという人のためには、その名もずばり「はじめての寄席」と題した催しがオススメ(2/6・13@小杉湯)。銭湯を会場に、落語や三味線漫談、マジックのほか、道具の使い方などを、わかりやすく解説してくれる。

また、噺の内容がよく理解できない幼いお子さん連れには、見ているだけでも充分楽しめる寄席演芸の花形「紙切り」を紹介した「紙切り・二楽劇場 in 高円寺」(2/7@長善寺)や、「太神楽」を紹介した「和田・明愛寄席」(2/9@明愛幼稚園)、「ナゲツナゲ~太神楽曲芸~」(2/14@座・高円寺2)などがオススメ。

翁家和助(太神楽)

翁家和助(太神楽)


落語もインバウンド対策

さらに、今回初めての取り組みとして、英語話者向けのバイリンガル会も開催される。2/11は、バイリンガル落語家・立川志の春が、英語および英語字幕付きの日本語で落語を披露する。また、2/13には、立川こはるによる英語字幕付落語と、関東で唯一のバイリンガル即興コメディ団というパイレーツ・オブ・東京湾の笑いをお届け。もちろん、日本語ネイティブの人でも楽しめるハイブリッドな催しだ。

この他にも、たくさんの二ツ目や真打ちなどが、いろんな場所で様々な噺を聴かせてくれる。「ここぞ!」とばかりに変な張り切り方をする人があるかもしれないので、油断はできない。個人的にオススメしたいのは、桃月庵白酒(落語)の独演会(2/7@koenji HACO「第308回ノラや寄席」)だが、こちらはすでに「満員御礼(完売)」だそう(残念)。人気の噺家さんの独演会は結構完売するので、行く前に問い合わせてみるといいだろう。あと、一度観たらハマってしまうかもしれない寒空はだか(漫談)の出演する「高円寺モンドセレクション2」(2/6@koenji HACO)は、弱つよむ(コミックソング)との競演で、まだ観たことない人はチェックしてほしい。さらに、高座にギターを持ち込む男・鈴々舎馬るこ(落語)の「若手箱番外編 ひとり♡トンデモ落語の会」(2/9@koenji HACO)も、何が飛びだすのか!? 期待だ。

ともかくも一日といわず、連日でもぶらぶらっと高円寺で楽しめることとと思う。なお、日程・会場・料金などはその都度違うので、詳細は公式HPから番組表をダウンロードして確認していただきたい。

 

イベント情報
第六回高円寺演芸まつり
 
■日時:2016年2月5日(金)〜14日(日)
■場所:JR高円寺駅周辺(42会場)
 ※ヴァル研究所、平安祭典高円寺会館、座・高円寺、ツバメヤ眼鏡店、やきとりsugi、高円寺麦酒工房、広島お好み焼 みかづき、整体院ペルキュア、うおこう、小杉湯、庚申文化会館、カレーハウスコロンボ、Grain、HACO、抱瓶、幸寿司新館、古本酒場コクテイル、ギャラリー久、AG22ライブバー、ちんとんしゃん、長仙寺、萬感、Uptown Koenji Gallery川嶋家寿司本店、ゆうゆう馬橋館、氷川神社、一夜、コネクシオン、ラ コシーナ デル クアトロ、盆栽屋 ラビアデッソ、すなっく 灯、tokyobike shop 高円寺、渡辺建設地下ホール、高円寺図書館、長善寺、サンワコムシスエンジニアリング、GALLERY工+with、セシオン杉並、明愛幼稚園ほか
■問い合せ:高円寺演芸まつり実行委員会(杉並区高円寺北2-1-2座・高円寺内)
TEL:03-3223-7500
http://www.koenji-engei.com/
※番組表は公式HPからダウンロード

※紹介した主な演目
●柳家小ゑん「星空落語〜理科系落語の巨星がやってくる!〜」
日時:2016年2月7日(日)15:30〜
会場:Uptown Koenji Gallery
料金:1000円
●「駒次鉄道×駅すぱあと 鉄道落語」
日時:2016年2月10日(水)19:30〜
会場:ヴァル研究所1Fオープンカフェ
料金:1500円
●「林家彦いち喋り倒しin高円寺」
日時:2016年2月11日(木・祝)17:30〜
会場:tokyobike shop高円寺
料金:2000円
●セシオン寄席「新作講談『堀之内新道物語』と落語『堀之内』」
日時:2016年2月14日(日)14:00〜
会場:セシオン杉並
料金:500円
●座・高円寺寄席「百花繚乱—四派そろい咲き」
日時:2016年2月13日(土)18:00〜
会場:座・高円寺2
出演:三遊亭兼好/林家彦いち/春風亭柳好/立川志らく
料金:3000円(中学生以下1000円)
●座・高円寺寄席「挑むは、はんなり若旦那」
日時:2016年2月14日(日)18:00〜
会場:座・高円寺2
出演:古今亭志ん輔(「火焔太鼓」)/桂吉坊(「胴乱の幸助」他一篇)
料金:1500円(小学生以下500円)
●「やったネ! 東京かわら版500号記念展 表紙と写真で振り返る42年間」
日時:2016年2月2日(火)〜3/6(日) ※会期中無休
時間:9:00〜22:00
会場:座・高円寺B2F Galleryアソビバ
料金:無料
●「俺、『東京かわら版』作った者だけど何か質問ある? 井上和明トークショー」
日時:2016年2月5日(金)19:30〜
会場:座・高円寺B2F 阿波おどりホール
聞き手:鈴々舎馬るこ/春風亭一蔵
料金:500円
●「はじめての寄席」
日時:2016年2月6日(土)・13日(土)
(1)2月 6日(土)11:30〜
(2)2月 6日(土)13:00〜
(3)2月13日(土)11:30〜
(4)2月13日(土)13:00〜
会場:小杉湯(杉並区高円寺北3丁目32番2号)
出演:(1)(2)三遊亭歌太郎(落語)/柳家紫文(三味線漫談)
   (3)(4)春風亭朝也(落語)/伊藤夢葉(マジック)
料金:500円
●「紙切り・二楽劇場 in 高円寺」
日時:2016年2月7日(日曜日)14:00〜
会場:長善寺(杉並区高円寺南2丁目40番50号)
出演:林家二楽
料金:1000円
●「和田・明愛寄席」
日時:2016年2月9日(火)15:00〜
会場:明愛幼稚園(杉並区和田1-61-18)
出演:きたがわめぐみ(絵本読み聞かせ)/入船亭扇里(落語「寿限無」)/翁家和助(太神楽)
料金:1000円 ※小学生以下無料
●「ナゲツナゲ~太神楽曲芸~」
日時:2016年2月14日(日)13:00〜
会場:座・高円寺2
出演:太神楽曲芸協会若手社中
料金:1500円
●「立川志の春独演会」(英語落語および英語字幕付き落語)
日時:2016年2月11日(木・祝)14:00〜
会場:長善寺(東京都杉並区高円寺南2-40-50)
料金:一般2000円/学生1500円(要学生証)
●「立川こはる英語字幕付き落語とバイリンガル即興コメディ」
日時:2016年2月13日(土)14:00〜
会場:長善寺(東京都杉並区高円寺南2-40-50)
出演:パイレーツ・オブ・東京湾(バリイリガルコメディ)/立川こはる(落語)
料金:一般2000円/学生1500円(要学生証) 
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