変幻自在のチェリスト・柏木広樹登場 第13回 “サンデー・ブランチ・クラシック”2.7ライブレポート

レポート
2016.2.19
光田健一(ピアノ) 柏木広樹(チェロ) 撮影=原地達浩

光田健一(ピアノ) 柏木広樹(チェロ) 撮影=原地達浩

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「サンデー・ブランチ・クラシック」にチェリスト柏木広樹登場。ピアノに光田健一を迎え、プレ二人旅に!

LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplusが贈る、新しい日曜日の過ごし方「サンデー・ブランチ・クラシック」。2月7日(日)に開催された第12回目には、人の声に最も近いと言われるチェロの音色を変幻自在に操る唯一無二のチェリスト、柏木広樹が登場した。 

共演するのは、ピアニスト・光田健一。柏木と光田は、2011年からチェロとピアノのデュオで行う“二人旅”というツアーを行っており、今年も3月から全国を回ることが決定している。この日は、それに先駆け、“プレ二人旅”とも言える楽しいライブを聞かせてくれた。 

定刻になり、光田とともに颯爽と登場した柏木。それぞれスタンバイをすると、アイコンタクトで呼吸を合わせ、演奏が始まった。この日、一曲目に演奏されたのはマックス・スタイナー作曲『タラのテーマ』。映画『風と共に去りぬ』のテーマとしてよく知られる曲だ。チェロの優しい音色にピアノの伴奏がそっと添えられ、耳馴染みのよいメロディを紡いでいく。

柏木広樹 撮影=原地達浩

柏木広樹 撮影=原地達浩

演奏を終えると、柏木はまず「本日はようこそお越しくださいました!」と観客に挨拶。「今日は、気軽に音楽を楽しむというテーマで、お子さんもじっとしていなくてもいいですから」と、ステージのすぐ傍に座っていた男の子に、ニコニコと笑顔を向けた。この日は、ステージの後ろの席までぎっしりと観客が詰めかけていたため、「後頭部まで見られていると思うと、ちょっと気恥ずかしいですね(笑)」などとオープニングから光田とともに軽快なトークで場を和ませた。 

「チェロはクラシックの楽器ですが、僕はもっと気軽に楽しんでもらえるチェロを目指しています。チェロの音色が、皆さんの日常で鳴ってほしい」という柏木。2曲目には、2015年9月に発売された柏木のアルバム『Cellos LIFE』より『モモの唄』が披露された。

この曲のタイトルになっている“モモ”というのは、柏木が一昨年に亡くした愛犬の名前だそうだ。アルバムの制作時、なかなか曲が出来ず、リフレッシュしようと撮りためた写真を見ていたら、そのモモの写真が。何気なく見入っているうちに、曲が出来ていたそうで、「追悼曲かな…と思ったんですが、それよりも“一緒にいてくれてありがとう”という気持ちになった」と作曲当時のエピソードを明かしてくれた。チェロのあたたかい音色が、慈愛に満ちたメロディを奏でる。光田のピアノとの掛け合い部分では、目くばせし優しい笑みを浮かべる。空へ音が昇っていくような、美しい楽曲だった。

光田健一 撮影=原地達浩

光田健一 撮影=原地達浩

ちなみに、「けんちゃん(光田)の親戚も“モモ”という名前の犬を飼っているんだよね」と柏木。光田が「モモという名前は日本の犬の名前で一番多いらしいですね」と答えると、「我々、その点はひねりがなかったですね(笑)」と、少し目頭が熱くなったところにきっちりオチをつけて笑わせてくれた。

続いての選曲は、光田が2015年3月にリリースしたアルバム『ムーサの果実~♪ピアノひとⅡ』より『OCEANUS~オケアノス・海の守り神』。オケアノスとは、ギリシャ神話の海の守り神の名前とのことだ。この曲は、アルバムの中ではフルートで演奏され、さらに元々はヴァイオリンのために作曲した楽曲だったそうだが、「ずっとかしちゃん(柏木)に弾いてもらいたいと思っていた」と光田は明かす。柏木も「これまで何百万曲って聞いてきた中で、ベスト5に入るぐらい好きな曲」だそうで、“二人旅”のライブでは定番の曲になっている。この日も、光田の手が紡ぐきらめく旋律に、柏木のチェロが壮大な海のイメージを乗せる。ダイナミックな演奏に身をゆだねると、乱反射する海面の光と海の豊かさが瞼の裏に浮かぶような心地がした。

光田健一(ピアノ) 柏木広樹(チェロ) 撮影=原地達浩

光田健一(ピアノ) 柏木広樹(チェロ) 撮影=原地達浩

楽しい時ほど、過ぎるのは早いもの。「考えてみれば、クラシックの曲をまだ1曲もやっていない!」と、最後はショパン作曲『子犬のワルツ』を柏木がチェロ用にアレンジした『子犬のショーロ~子犬のワルツより~』で締めくくられた。ショーロとは、“ブラジルのジャズ”と称されるスタイル。「我々なりのクラシックということで!」と、光田がピアノで本家『子犬のワルツ』の触りを聴かせたあと、メロディはワルツからショーロに一気に変貌!本家が自分のしっぽを追いかけてくるくる遊ぶ子犬ならば、『子犬のショーロ』はボールを追いかけて走り回るような楽し気な姿がイメージされる。二人の演奏に会場は揺れ、大きな拍手に包まれた。

柏木広樹 撮影=原地達浩

柏木広樹 撮影=原地達浩

二部では、鳴りやまない拍手に二人が再登場!「予期せぬアンコールありがとうございます!」ですが、譜面はあったりします。やはり、備えあれば嬉しいなですね(笑)」などと冗談を飛ばしながら、「チェロも意外と激しいよ!という曲を…」と、こちらも“二人旅”では定番となっている『マイ・トレジャー』でアンコールに応えてくれた。「ハイッ!」という掛け声とともに、一気に刻まれるリズム。全身を揺らしながら、激しく、繊細に極まっていくメロディ。これがもう、めちゃくちゃかっこいい!!チェロの魅力を存分に聴かせた熱い演奏を終え、最後、柏木と光田は固い握手を交わし、ステージを終えた。

熱いライブを終えた柏木と光田に、終演後に話を聴くと、「このカフェ空間は、お客さんひとりひとりの占有スペースが広いから、それぞれの楽しみ方ができるのがいいね。それから、子どもを連れても来やすいっていうのもいい。気軽に音楽を楽しんでほしいというコンセプトに沿った空間になっていると思う」と、柏木。光田も「お客様に自分たちの演奏した曲がどう届いていくのかがわかる、すごくいい空間だったね」と感想を語ってくれた。

柏木広樹(チェロ) 光田健一(ピアノ) 撮影=原地達浩

柏木広樹(チェロ) 光田健一(ピアノ) 撮影=原地達浩

“かしちゃん”“けんちゃん”と呼び合う二人は、10代の頃から知っている仲で、この日も息ぴったりな素晴らしい演奏を聴かせてくれたが、意外にも二人で演奏するようになったのは、“二人旅”を始めてからだという。「日本各地に応援してくださる方がいるので、二人で挨拶に行こう」と始めたその“二人旅”も、もう5年目となる。

3月から始まるツアーの構想を伺うと「二人にしかできないこと、二人だからできることを。お互いの持っている、自分では引き出せないポテンシャルを引き出してやろうって思っています」と柏木。光田が「今日の雰囲気に近いよね?」と言うと、「今日もう始まっちゃった感じ」と笑っていた。

柏木広樹(チェロ) 光田健一(ピアノ) 撮影=原地達浩

柏木広樹(チェロ) 光田健一(ピアノ) 撮影=原地達浩

最後に、柏木は「この企画、ずっと続けてほしいな。こういった気軽に足を運べる機会があって、初めて音楽を好きになってくれる人がいるかもしれないから。普段なかなか聴かない音楽を楽しめる入口として、なったらいいな」と振り返り、光田も「CDが売れなくなり、配信ってどうやっていいかわからない、という人も多いと思うんですよ。そういう人のためにも、こういう場があるのはとっても喜ばしいことだと思うので。どんどん足を運んで、いい音楽に触れてほしいと思いますね」と語ってくれた。

柏木は、2016年2月27日(土)に第一生命ホールにて行われる『Cellos LIFE』のリリース記念コンサート『柏木広樹 Made in musicasa 2016“Cellos LIFE”』を控える。また、柏木と光田によるライブツアー『二人旅 2016』は、3月15日(日)熊本・CIBを皮切りに、現在全国15カ所での開催が決定。東京公演の予定は未定だが、絶対やるので楽しみにしていてほしいとのこと。ぜひ、このライブで“チェロの魅力”にとりつかれた方は、こちらにも足を運んでほしい。

柏木広樹 撮影=原地達浩

柏木広樹 撮影=原地達浩

日曜日の午後に新たな出会いを届ける「サンデー・ブランチ・クラシック」。
次回もお楽しみに!

 

撮影=原地達浩 文=友成礼子

プロフィール
柏木広樹(Hiroki Kashiwagi) (チェロ・コンポーザー・プロデュース)
 
東京芸術大学在学中「G-CLEF」としてデビュー、ソロ活動開始後はチェロにブラジル、スペイン、和など様々なテイストを盛り込んだ独創的な音楽性で、通算8枚のオリジナル・アルバム、2013年にはベスト・アルバム『Best Wishes』(CD+DVD)を発表。盲導犬の支援、がん治療最前線テーマ曲、児童文学「ドリトル先生」をイメージした創作活動など、人間・動物・自然へのメッセージを発信し続けている。人間の声に最も近いといわれるチェロを変幻自在に操る唯一無二のアーティスト。
葉加瀬太郎のサウンド・プロデューサーを歴任、押尾コータロー、塩谷哲、ジェイク・シマブクロ、上妻宏光、藤原道山、小松亮太、クレモンティーヌ、手嶌葵、元ちとせ、HIDEBOH等との競演、楽曲アレンジなど幅広く活躍。映画「おくりびと」本木雅弘の演奏指導・劇中演奏、「冷静と情熱のあいだ」出演、テレビ朝日「世界の子供がSOS! THE☆仕事人バンク マチャアキJAPAN」「日本!食紀行」等のTV・CM楽曲提供、テレビ新広島「ひろしま満点ママ!!」関西テレビ「スーパーニュースアンカー」NHK大河「篤姫~篤姫紀行」テーマ演奏など、映像音楽も多く手掛ける。
2015年9月、押尾コータロー、藤原道山、吉俣良、西村由紀江、ウェイウェイ・ウー、NAOTO、佐藤竹善(SING LIKE TALKING)らをゲストに迎え、アルバム「Cellos LIFE」をリリース。 
 

 
公演情報
◆柏木広樹 Made in musicasa 2016 “Cellos LIFE”
 
■日時:2月27日(土) 開場 14:00 開演 14:30
■会場:東京 第一生命ホール
■出演:柏木広樹 (Vc) ゲスト:NAOTO (Vn)
    天野清継 (Gt) 松本圭司 (Pf) 鳥越啓介 (B) 岡部洋一 (Perc) 
 

◆「サンデー・ブランチ・クラシック」今後の出演予定

2/21(日)
塚越慎子マリンバ)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500
 
2/28(日)
こぱんだウインズ from ぱんだウインドオーケストラ​
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500
 
3/6(日)
反田恭平(ピアノ)&上野耕平(サクソフォン)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

3/20(日)
La Dill
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE: \500

公式サイト:http://livingroomcafe.jp/

 

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