パルコ・ミュージック・ステージ『ショーガール』~こんな出会いも悪くない~ アンコール公演まもなく開幕! 川平慈英&シルビア・グラブ インタビュー
1974年から1988年まで福田陽一郎脚本・構成・演出、木の実ナナ、細川俊之の出演により、小粋な大人の恋のドラマと、華やかなショータイムを持ったステージとして、PARCO劇場でシリーズ上演された、パルコ・ミュージック・ステージ『ショーガール』~こんな出会いも悪くない~。
多くの観客を魅了し、愛され続け、PARCO劇場の顔としても親しまれた伝説の作品が、2014年8月、脚本・作詞・構成・演出・三谷幸喜、出演・川平慈英、シルビア・グラブというゴールデントリオにより、新生『ショーガール』として新たな船出を遂げた。その舞台は瞬く間に大評判となり、注目と喝采を一身に集める成果を生んだ。
そんな新生『ショーガール』のアンコール公演が3月13日に開幕する。そのショーを2人で演じる川平慈英とシルビア・グラブが、作品に賭ける思い、初演の思い出、そしてシリーズ化をめざす第一歩となるアンコール公演への意気込みを語ってくれた演劇ぶっく4月号の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介。
『ショーガール』川平慈英、シルビア・グラブ
強い意志と運命に導かれた新生『ショーガール』
──再演が決まった時の気持ちはいかがでしたか?
川平:来ないと困るぜ!というね(笑)。僕らはシリーズ化する為にこのプロジェクトを立ち上げたので。
シルビア:逆に再演の話がなかったら泣いていたかも(笑)。初演は164日間という公演で。おかげ様で追加公演が決まって2日増えましたけれど、まず、22時からという開演時間でしたし、1時間のショーですし、この2人で『ショーガール』をやるということに、どのくらいのお客様が興味を持ってくださるのか?という実験的な部分もありました。再演が決まったということは、それが成功だったという証ですから、まず嬉しかったですね。しかも今回は期間も長く、昼間の公演もあるのことも嬉しいです。
川平:昼間にやりますからね。初演の時には時間帯的に厳しかった方達にも観て頂けるのが楽しみです。
──その初演ですが、PARCO劇場の、更に演劇界の伝説とも言える『ショーガール』に取り組むにあたってはどういう経緯が?
川平:もともと三谷(幸喜)さんと「『ショーガール』やりたいね!」という話は、『オケピ!』の再演ぐらいの頃からずっとしていたんです。
シルビア:私がまだ三谷さんと知り合っていない頃よね。
川平:そう、だから女性をずっと探していて。それが2013年頃かな? 三谷さんが「見つけた!シルビア・グラブだ!」と言ってこられて。俺も「そりゃそうだ!」と。まぁ自分で言うのはおこがましいのですが、俺は自分こそが福田陽一郎さんの秘蔵っ子だと自負しているので、『ショーガール』をやるなら絶対に俺が立ち上げるという強い思いがあったんです。そこに三谷さんが興味を持って乗ってくれた。つまり言い出しっぺでもあるんです。福田さんにも生前、「『ショーガール』やるぞ、慈英。お前さんならぴったりだ!」と言ってもらっていたこともあるので。
シルビア:私も実は、福田さんが「『ショーガール』やろう」って言ってくださったことがあったの。
川平:女性の秘蔵っ子はシルビアだもんね。
シルビア:本当に最後の頃ですけどね。でもそのことを三谷さんが全く知らずに、「この子だ!」と声をかけてくれたことには、福田さんのプレゼントというか、運命のようなものも感じました。
川平:何か上からの力が働いた気がするね。
『ショーガール』 川平慈英
背負うものが多かった初演の舞台
──実際に新たな『ショーガール』の舞台に立ってみていかがでしたか?
シルビア:基本的にはとても楽しかったです。慈英は私がまだ舞台に立つ前、客席で観ている時から「なんてすごいエンターティナーなんだろう!この人と一緒に舞台に立ちたい!」と思った人で、それから実際に何本もショーを一緒に作ってきて、たとえ昨日ケンカをしても、次の日にはまた何もなかったかのように稽古に励める間柄ななんです。その人と舞台を作っていることが楽しくて、しかも2人だけで、福田先生が作られた伝説の作品をやらせていただけるのですから、もう何もかもが楽しい舞台でした。
川平:俺は正直、芝居は大変だった。やっぱり色々なものを背負っちゃったのかな。伝説の『ショーガール』、福田先生へのリスペクト、そこに乗ってくれた三谷さんを男にしなきゃ!という想いとかね。お客様には「わー日本にもこんな舞台があるの?」と思って頂けるようにしたい、その為には「シルビアと2人ピッカピカに光っていなければ!」という気持ちもある中で、ショーに入ると本当に水を得た魚になれるんだけど、芝居部分では三谷さんの要求も難しかったから。なかなかできなかった記憶があります。
シルビア:三谷さんが普段やらないような役柄を敢えて持ってきていたところがあって、得意分野じゃなかったからね。たぶん、普段の慈英やシルビアが出て来たのではつまらないという三谷さんの気持ちがあって、与えてくださった課題だと思う。私もはじめは「こんな引き出し私にはない」と思ったもの。
川平:それは本当にありがたいことなんだけどね。だからむしろ実際に舞台に立ってからの方が、どんどん『ショーガール』の世界に溶け込めていった感じがした。でも、なにしろ初日は怖かった。
シルビア:あぁ、怖かったね。2人だけだから、特に慈英はそうだったと思う。
川平:自分が看板背負う舞台だし、絶対に失敗できないという気持ちも強かったから。
『ショーガール』 シルビア・グラブ
『ショーガール』はハッピーパワー全開で臨む公演
──そして実際に幕が開いて、客席の反応、劇場の空気から高まるものもありましたか?
シルビア:お客様の拍手や、楽屋に来てくださる方の興奮した面持ちに励まされましたね。
川平:中でも役者仲間から「ブロードウェイやラスベガスでショーを観ているようだった」と言ってもらえたのは嬉しかったし、先輩の役者さんに「2人にしかできないね」と言って頂けたのも、本当に励みになりました。
──そこから、改めて今回のアンコール公演に向けてはいかがですか?
川平:背負うものがあるということでは同じなんです。初演の噂を聞いて来てくださった方に「えっ?これなの?」と思われては絶対にいけないし、よりブラッシュアップしたものをお観せする責務があるから。
シルビア:それこそこれを成功させないと次に行けないものね。
川平:だからこそ、あまりがんじがらめにならず、初演の時は本当に鎧を着ていた部分があるから、そこは力を抜いて、まず自分たちが楽しんで挑めたらと思います。
シルビア:お互いにそうよね。
川平:幸いシルビアとは、本当に生きた心のキャッチボールができる間柄だし、最早、仲間を通り越して兄妹のようだから。同じDNAを持っているのでは?と思うほどだから(笑)。
シルビア:過去にもどこかで一緒にエンターテイメントしていたのかもね(笑)。
川平:『ショーガール』という作品がもともと持っているハッピーパワー全開でお伝えしたいです。渋谷の公園通りを上がってくれば、ワールドワイドなショーが観られますよとね。
シルビア:そう、ブロードウェイに負けない大人のショーが観られますから!
川平:毎年、春になると『ショーガール』が観られるという、その第一歩の公演にしたいので、是非皆さんでいらしてください。お待ちしています!
パルコ・ミュージック・ステージ『ショーガール』~こんな出会いも悪くない~
〈公演情報〉
パルコ・ミュージック・ステージ『ショーガール』~こんな出会いも悪くない~
パルコ・ミュージック・ステージ
〈料金〉¥6,000(全席指定・税込)
【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】