梶浦由記、豪華19アーティストと魅せた異色3公演シリーズ最終日

「Yuki Kajiura LIVE vol.#12 “オーチャード special”」の様子。(写真提供:FlyingDog)

「Yuki Kajiura LIVE vol.#12 “オーチャード special”」の様子。(写真提供:FlyingDog)

梶浦由記のライブ「Yuki Kajiura LIVE vol.#12 “オーチャード special”」が7月18日と19日に東京・Bunkamuraオーチャードホールで行われた。ここでは19日公演の模様をレポートする。

梶浦は自身のソロアルバムの楽曲やソロプロジェクト・FictionJunction名義の楽曲、ドラマ、アニメ、映画のために書き下ろしたサウンドトラックをプレイする「Yuki Kajiura LIVE」をコンスタントに開催。6月にはその第12弾として日本語曲のみを披露する「日本語オンリー」、外国語曲と造語曲を披露する「日本語封印」、インストゥルメンタルナンバーのみを披露する「サウンドトラック」という3形態のライブを東京と大阪で実施した。今回のオーチャードホール2DAYSはこれら3つのライブの追加公演にして集大成的公演。そのステージにはピアニストの梶浦をはじめ、総勢20人のプレイヤー、ボーカリストが登場した。

聴衆2150人、フルハウスとなったこの日のオーチャードホールにまず登場したのは、アコーディオンプレイヤーの佐藤芳明とパーカッショニストの中島オバヲ。2人がNHK連続テレビ小説「花子とアン」の劇中曲でラテンフレイバーあふれる「トラブルメーカー」を奏で、2150人から惜しみない拍手が送られたところからライブはスタートする。佐藤と入れ替わるようにステージに現れた梶浦、是永巧一(G)、佐藤強一(Dr)、高橋“Jr."知治(B)、赤木りえ(Flute)、今野均(Violin)率いるカルテット・今野均ストリングス、そしてアイルランドの民俗楽器・イーリアンパイプスプレイヤーの中原直生は、同じく「花子とアン」のサントラ曲「My Story」を中島とともにプレイ。中原のイーリアンパイプスがケルト楽器特有の音色で魅せると、「Yuki Kajiura LIVE」のレギュラーボーカル陣のWakana、Keiko(ともにKalafina)、YUKIKO KAIDA、KAORIが合流し、梶浦の造語曲である「歴史秘話ヒストリア」のテーマソング「Historia:opening theme」で美しいハーモニーをホールいっぱいに響かせた。

最初のMCで梶浦が「曲数を減らしても減らしきれない。かなりの曲数をやります」と語った通り、以降彼女は自身のディスコグラフィの幅広さを証明するかのように多彩な楽曲群を披露する。まずゲストボーカリスト・戸丸華江を迎えると、クワイヤのようなコーラスワークで聴かせる「lotus」や、タフなドラミングが印象的なアニメ「Fate/Zero」の劇中曲「let the stars fall down」などのボーカルナンバーを連投。「いい音楽を感じさせてくれる仲間」だとするバンドメンバーを“バックバンド”ならぬ“フロントバンド”だと紹介したのちには、不穏な響きをたたえたアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の劇中曲「Symposium magarum」や、Keikoの歌う和テイストのメロディを佐藤と高橋が繰り出すファンクネスあふれるリズムが支える「黄昏の海」、流麗な梶浦のピアノと弦楽器隊が絡み合うアニメ「機動戦士ガンダムSEED」の劇中歌「水の証」といった楽曲で“フロントバンド”の実力のほどを見せつけてライブ前半戦を締めくくった。

2人目のゲストボーカル・Remiが歌う1999年の同名映画の主題歌「Rainbow ~Main Theme~」と、梶浦が「これまで音源番号で呼んでいたが、この日のためにタイトルを付けた」と語るアニメ「ソードアート・オンライン」の劇中曲「moon and shadow」というレアな2曲で幕を開けたライブ中盤戦はさらにバラエティ豊かな展開に。アニメ「PandoraHearts」の劇中歌「everytime you kissed me」ではレギュラーボーカル陣がメインボーカルにKAORIを据え、Wakana、Keiko、KAIDAがハーモニーをリレーする巧みなコーラスワークを披露。「花子とアン」の劇中曲「MotherLand Nostalgia」ではイーリアンパイプスがノスタルジックなメロディを奏で、同じく「花子とアン」楽曲の「にぎやかな日々」ではフルートとバイオリンの軽快なプレイで、ホールを明るい空気で包み込む。

しかしトライバルなリズムが光る「We're Gonna Groove」からは一転。ジャズファンクナンバー「hit it and run!」ではギター、フルート、バイオリンがハードなソロを回し合い、梶浦自ら「この曲が終わったあとには悪いことが起きることしか想像できない」と笑う「Point Zero」では西方正輝による不穏なチェロの音色に乗せて、最後のゲストボーカル・笠原由里が圧倒的かつ神秘的なソプラノボイスを響かせる。そしてアニメ「ノワール」の挿入歌である四つ打ちダンスロック「salva nos」で、これまで椅子に腰掛けその音に聴き入っていた2150人を踊らせたところで、ライブ本編は終了。梶浦は小さく手を振り、“フロントバンド”とともにステージをあとにした。

Remiとレギュラーボーカル陣が荘厳なハーモニーを響かせた「swordland」でスタートしたアンコールでも梶浦は、ライブ最終盤同様、怒濤のセットリストでステージを構成する。彼女から“メロディ奏で隊”と命名されたイーリアンパイプス、アコーディオン、フルート、バイオリンが一糸乱れぬユニゾンでリードメロディを弾きまくる「red rose」、弦楽カルテットがエモーショナルなアンサンブルを聴かせる「Venari strigas」、笠原とレギュラーボーカル陣がテクニカルなポリフォニーを見せつける「in this winter ~ the image theme of Xenosaga II」というアップリフティングな3曲を連投。客席の歓声を集めてみせた。

この日のライブと、6月から続いた「Yuki Kajiura LIVE vol.#12」のラストを飾ったのは「ring your song」だ。2016年3月に「Yuki Kajiura LIVE vol.#13」を開催することを発表した梶浦は「次の曲はあなたのためだけに歌います」「それはウソじゃないんです」と、この日の全出演者とともにこの曲をプレイ。7人のボーカリストが梶浦の言葉の通り「sing my song only for you」と声を重ねると、2150人からはこの日一番の喝采が送られた。

Yuki Kajiura LIVE vol.#12 “オーチャード special”
2015年7月19日 Bunkamuraオーチャードホール セットリスト

01. トラブルメーカー
02. overture ~ My Story
03. Historia:opening theme
04. satoyama main theme
05. lotus
06. let the stars fall down
07. Decretum
08. Symposium magarum
09. 黄昏の海
10. 花守の丘
11. 水の証
12. 光の行方
13. Rainbow ~Main Theme~
14. moon and shadow
15. everytime you kissed me
16. I swear
17. Mother Land Nostalgia
18. 曲がり角の先に
19. にぎやかな日々
20. 今を生きる
21. We're Gonna Groove
22. hit it and run!
23. Point Zero
24. moonflower
25. salva nos
<アンコール>
26. overture ~ swordland
27. red rose
28. Venari strigas
29. in this winter ~ the image theme of Xenosaga II
30. ring your song

音楽ナタリー
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