「オペラ座の怪人」ファントム役、ピーター・ジョーバック来日! コンサート『I Love Musicals アイ・ラブ・ミュージカルズ』
ピーター・ジョーバック『I Love Musicals』 (撮影=こむらさき)
ブロードウェイとウエストエンドの超実力派ミュージカルスターが集う世界最高峰のミュージカルコンサート「I Love Musicals アイ・ラブ・ミュージカルズ~ミュージカル・グレイテスト・ヒッツ・コンサート!~」が、遂に日本初上陸する。
この夢のようなステージを発案したのは、ブロードウェイとウエストエンドの両方で「オペラ座の怪人」ファントム役を務めたスウェーデンの国民的スター、ピーター・ジョーバック。4月上旬、本公演のPRで来日したピーターに話を伺ってきた。
ピーター・ジョーバック『I Love Musicals』 (撮影=こむらさき)
――「アイ・ラブ・ミュージカルズ」は、企画からピーターさんが考えられたと聞きました。以前より演じるだけではなく、コンサートの企画や構成を考えるのがお好きだったんですか?
はい、私は企画を考える時、プロデューサーの立場で考えていますね。7歳ぐらいの頃から、クラスでショーをプロデュースしていました。女友達をむりやり自分と一緒に踊らせたりして、毎週金曜日にいろんなショーをやっていましたね。友達は「ピーター、やりたくないよー!」って言っていたけれど、「やらなきゃだめだ!」って、むりやりやらせていました(笑) こうしてとか、ああ言って、とか指示を出して。もちろん、主役は僕です(笑)
世界最大のプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュと友達になって、24歳でロンドンでの「ミス・サイゴン」に出演した時でしたが、キャメロンが僕を気にいってくれたのは、僕のキャリアのことや将来何をしたいかを聞いた際、僕の話しぶりから僕の中には小さなプロデューサーがいる、ということに気づいてくれたからだと思います。
それに、僕は演じる時にも自己中心的ではない。僕は、みんなで演じることが好きなんです。周りの人と一緒に演じて、歌って、周りの人の良さもより引き出したいと思っています。
だから、コンサートで歌う時、それが例え自分のコンサートでなくても、僕はみんなのことや、照明だとか、プロダクション全体をいつも見ています。僕はプロデューサー的な頭脳を持っているんだと思いますね。
「アイ・ラブ・ミュージカルズ」のアイディアを思いついた理由はいくつかありますが、そのうちの一つは、“やりたい役は山ほどあるが、その全てをやる時間はない”ということに気付いたから。でもこのショーの中でなら、20の役を一つのコンサートの中でやることができる。あらゆる役を、少しずつやってみることができるんです。
もう一つの理由は、“ミュージカル”というジャンルが本当に僕の人生を変えたから。僕が、スウェーデンの、ちょっと太った、周りにいる誰とも違っている、変わり者の10歳の子どもだった頃(笑)、いつかブロードウェイで最大の役を演じることになるなんて思ってもみなかった。その頃から現在までの道のりは、本当に信じられないものであり、全てがミュージカルのおかげだと思っています。
でもミュージカルというジャンルは、ポップスやロックほどカッコイイとは思われていないんです。もちろん、現在ミュージカルはとても人気があります。でも「僕はピーター、10歳です。ミュージカルが好きです」っていうことを堂々と言えるほど、子ども的にはカッコイイ事ではないんです。「ミュージカルが好き」ということを気恥ずかしく思い、言いにくいことと感じている人たちもいる。人前では「ミュージカルなんて興味はない」という人もいるんです。
前回のコンサートでは12000人の観客が入りましたが、彼らに向かって「さあ、劇場のドアは閉めたよ。もう言っていいんだ!」と叫びたいですね。そしてみんなが声を大にしていう…「僕らはミュージカルが好きだー!!(We love musicals!!)」って(笑)
『I Love Musicals』 Photo: Karin Törnblom
『I Love Musicals』 Photo: Karin Törnblom
『I Love Musicals』 Photo: Karin Törnblom
――胸を張って皆さんにミュージカル好きを宣言してもらいたいですね!
さて、数多くの作品に出演されているピーターさん、出演する側としていちばん好きな作品は何ですか?またいち観客として好きな作品は何ですか?
ある作品でキャラクターを演じていると…例えば「ミス・サイゴン」に出演している時は、素晴らしいキャラクター、素晴らしいストーリー、「ミス・サイゴン」が最高だ!と思うし、「キャバレー」に出演すれば「キャバレー」の退廃したムードが最高だと思う。だから、いちばん好きな作品はその時出演している作品ですね。なぜならその時自分の全てを注ぎ込んでいるから。
でも演じるのがいちばんおもしろいのは「オペラ座の怪人」かな。ファントムは、いろいろ重層的な演じ方ができるから。単に恐ろしいモンスターのようにも演じられるけれど、僕はもっと心理的なものを出したかった。誰もが思うモンスターのような怪人ではなく、それとは正反対の、傷つきやすさとか。だからいちばん興味深いキャラクターというならば、ファントムかもしれないですね。
観客としては、僕の友人のステファン・シュワルツの書いた「ウィキッド」。13年前に見た時、本当に良かった。新鮮で、ポップスのような音楽なのにドラマチックで。コンセプトも演出も良かったし、ストーリーも面白い。二人の魔女が学校で出会うんだが、それぞれに異なっていて。肌の色が緑色だとか、「人と違う」ということ、そして「悪」とは何か、というストーリーのコンセプトも好きです。
ピーター・ジョーバック『I Love Musicals』 (撮影=こむらさき)
――ではもし、スタッフとしていちばん作りたい作品となると、どの作品を選びますか?
ディレクターとしてなら「キャバレー」かな?プロデューサーだったら…まずは出演者の少ない作品!?(笑) 経費を抑えられるからね!でもプロデューサーなら、いつだって何か新しいもの、次にヒットするものを見つけたいと思います。だから自分がプロデューサーなら、まだ書かれていないものをプロデュースしたいですね。
――最後に…今回のコンサートは7月7日に開催されますが、その日は「七夕」という、短冊に願い事を書いて笹竹につるし、お星様にお祈りする日なんです。ピーターさんなら、何を願いますか?
僕の子どもたちの幸せを。※2歳と3歳の娘さんがいるそうです。
――日本武道館の前に竹を立てておいたらどうですか?お客様にも短冊に願いを書いていただくとか(笑)
それは良いアイディアですね。あるいは、その竹をスクリーンに映し出しても良いですね。…ちなみに日本では、願い事を他人に言ってもいいんですか?
――もちろん!いいんですよ!
おもしろいですね!スウェーデンでは星が流れた時に願い事をすれば願いが叶うけれど、その願いを人に言ってしまうと願いは叶わないんです。ケーキに立てたローソクも全部吹き消せば願いが叶うけれど、やはりその願いは人に言ってはいけないことになっています。
でも僕は、願い事を人に言ってはいけない、というのが好きではありません。だってもし誰にもあなたの願いを言わなかったら、誰もそれを助けてあげることができないでしょ。だから、その七夕の願いはとても良い事だと思います。もし誰かが、「お母さんに元気になって欲しい」と書いたら、誰かがそれを助けてあげられるしね。とても良いと思います。
ピーター・ジョーバック『I Love Musicals』 (撮影=こむらさき)
~ミュージカル・グレイテスト・ヒッツ・コンサート!~」
■会場:日本武道館
■キャスト:ピーター・ジョーバック/ラミン・カリムルー/ノーム・ルイス/シエラ・ボーゲス
■スペシャルゲスト:新妻聖子
■オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団
※出演を予定しておりましたスカーレット・ストラーレンは、都合により出演することができなくなりました。代わってシエラ・ボーゲスが出演致します。スカーレット・ストラーレンの出演を楽しみにしていらっしゃったお客様には心よりお詫び申し上げます。(主催より)