園子温、Chim↑Pom・エリイらが登壇 個展「ひそひそ星」オープニングトークをレポート
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「ひそひそ星」オープニングトーク
2016年4月3日(日)より、園子温初の美術館での個展「ひそひそ星」が開催されている。本展は、構想25年を経て結実したモノクロームのSF作品である監督最新作『ひそひそ星』では、語りきれなかったメッセージをビジュアル・インスタレーション化した作品を発表する場として設けられた。今回は、本展のオープニングトークの模様をレポートする。
園子温による個展「ひそひそ星」の歴史は、昨年6~7月に高円寺のGarterで行われた同名の自身初の個展にさかのぼる。当時の個展のキュレーターを務め、園に展覧会の誘いをしたのはアーティスト集団のChim↑Pomだ。
Chim↑Pomの卯城竜太は、「園さんはもちろん映画監督なんだけど、やってきたこと全てを芸術家の活動として捉えなおしたら面白いなと思って。アクティビスト的な活動も多かったし、ジャンルに囚われていない。それを展示として見せてみたいなと思ってやったのが“ひそひそ星”展なんです」と当時を振り返る。当時、園は卯城に説明したのが「ひそひそ星」と対になっているのが東京ガガガ(園がかつて主宰していた路上パフォーマンス集団)ということだという。園は「高円寺は東京ガガガの拠点でもあったので、当時を彷彿とさせるワイルドなものにしたいという想いはありました。」と振り返る。会場の建物全てを覆う300メートル以上の横断幕に肉筆のメッセージを公園でひたすら書き、腰が上がらなくなるほどだったと振り返る。
トークの聞き手として参加した、ワタリウム美術館の和多利浩一氏は、「高円寺の展覧会は園さんの“うるさい部分”と“静かな部分”の両方が表現されていて、それぞれ7割、3割ぐらいのキュレーション振りが見事でした。今回の展覧会はかなり映画寄りに静かにまとめていきたいと思いました」と両者を比較。和多利氏から今回の展覧会のオファーを受けた際、園は、「展覧会も、自主映画と一緒で1本目は和気あいあいで許されるところがあるけど、2本目は厳しい目ににさらされることになるから気を引き締めないと・・・」と怖さと迷いも感じていたことを明かす。
© SION PRODUCTION 2016
卯城は映画について、「信じられないほどの感動とインスピレーションを受けた」と絶賛。続けて、「映画は映画なんだけど、ジャンルを超えて人間が作る芸術のひとつの極致として色んな角度から見ることができる」と“ひそひそ星”という世界の魅力について語る。同じくChim↑Pomに所属するエリイは「びっくりした。こんな映画今まで観たことないし、これは歴史的な1本になると確信しました」と熱っぽく語った。和多利氏は、「今回展示される絵コンテをきちんと見たら、映画がこれにかなり忠実に作られていることが分かります。多分6~7割は活かされてるんじゃないか」と語ると、卯城も「SFに時代が追いついたということなんですね」と賛同する。
園は「ひそひそ星 園子温作品集」(朝日出版社より4月下旬一般発売/予価2,300円)に、“ひそひそ星”について2万字にも及ぶ文章を寄せているが、それについて「直観的に作った映画を、その文章を書いて、さらに詩として表現することで、なぜこの映画を作らなければならなかったのか整理できて明確に言えるようになった」と語る。卯城は、「1本の映画を作ることで、展覧会になったり本や文章になったり、ひとつの作品に色んな人がインスパイアされていって、違う形を作っていく。抽象的でありながら現実を描いてもいるから皆が主体者としてシェアしたくなる。この映画にはそういう魅力がある」とまとめた。
園は、「これから未来に作る映画の全部が映画『ひそひそ星』に詰まっている」と自信を込めた。
映画鑑賞の予習・復習の粋を超えて、“ひそひそ星”の世界を十二分に体感できる本展覧会。園子温ファンを語る者であれば、必見の展覧会となるだろう。展覧会と併せて楽しみたい、映画『ひそひそ星』は2016年5月14日(土)新宿シネマカリテほかにてロードショー。
5月14日(土)新宿シネマカリテほかロードショー
※大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー
監督・脚本・プロデュース:園子温
プロデューサー:鈴木剛、園いづみ
企画・制作:シオンプロダクション
出演:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子、福島県双葉郡浪江町の皆様、福島県双葉郡富岡町の皆様、福島県南相馬市の皆様
撮影:山本英夫
照明:小野晃
美術:清水剛
整音:小宮元
編集:伊藤潤一
衣装:澤田石和寛
制作:山内遊
助監督:綾部真弥
キャスティング:杉山麻衣
ラインプロデューサー:船木光
配給:日活
宣伝:ミラクルヴォイス
© SION PRODUCTION 2016/日本/モノクロ(パートカラー)/ビスタ/100分
公式HP:hisohisoboshi.jp
© SION PRODUCTION 2016
日時:2016年4月3日[日]-7月10日[日]
休館日:月曜日 開館時間:11時より19時まで [毎週水曜日は21時まで延長]
入館料:大人 1000円 / 学生[25歳以下] 800円 / 小・中学生 500円 / 70歳以上の方 700円
ペア券:大人 2人 1600円 / 学生 2人 1200円
主催/会場:ワタリウム美術館 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6
http://www.watarium.co.jp/exhibition/1603sono/index.html