Dragon Ash バンドの未来を示す2年ぶりツアー開幕

レポート
音楽
2016.4.21
Dragon Ash/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash/撮影=浜野カズシ

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Dragon Ash Tour 2016“The Lives”
2016.4.15(Fri)Zepp Tokyo

とんでもなく熱い空間が広がっていた。4月15日にDragon Ashの2年ぶりの全国ツアー『Dragon Ash Tour 2016“The Lives”』の初日公演がZepp Tokyoにて開催された。

そのハンパないテンションは、場内に入る前からビシバシ伝わってきた「これが開演前なのだろうか?」と思うほどの熱気と喧騒。初の日本武道館公演を大成功に終わらせた『Dragon Ash THE SHOW MUST GO ON』以来のツアーなのだから、期待が高まっているのも当然なのだが、いかにDragon Ashのライヴが切望されていたか――。そのことを瞬間的に感じさせてくれるオーディエンスの空気に圧倒された。

Dragon Ash:Kj/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash:Kj/撮影=浜野カズシ

ステージが暗転し、メンバーが登場するとぎっしぎしに超満員のフロアから野太い歓声が湧き上がり、そのエネルギーを丸ごと受け止めるような強く包容力のある音が鳴らされた。初日ということもあり、詳しいセットリストを記すのは控えるが、桜井誠のパワフルなドラムで幕を開けた「Run to the SUN」はハンドクラップ、クラウドサーフで盛り上がり、BOTS(DJ)がパーカッションを叩き、全員のリズムが開放のベクトルに向かって絡み合っていく「For divers areas」ではまるでカーニバルのような光景が目の前に広がった。

Dragon Ash:HIROKI/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash:HIROKI/撮影=浜野カズシ

空気をひっぱり、温度を上昇させていくKjのボーカル、センシティブ且つアグレッシブなHIROKIのギター、サポートベーシスト、KenKenのうねるグルーヴと色気のあるフレーズ、まったく違う個性を持つDR-VとATSUSHIの肉体の美しさと躍動感を感じさせてくれるダンス。最新アルバム『THE FACES』からの楽曲やDragon Ashのステージでおなじみのキラーチューン、久しぶりに演奏される楽曲も盛りこまれたライヴはいろんな感情を飲みこんで肯定するエネルギーに満ちあふれていた。

Dragon Ash:桜井誠/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash:桜井誠/撮影=浜野カズシ

この日、KjがDragon Ashについて語った言葉はなかったが、何よりも物語っていたのが、事前に予告していた通りに披露された2曲の新曲だった。

「ゴリゴリの新曲、やらせてください!」という言葉とともに鳴らされたのは破壊力のあるエッジーなナンバー「Headbang」。「頭、振れ~!」と叫び、場内はヘドバンの嵐となった。まさにゴリゴリのパンクスピリッツ搭載のスピードチューンは初めて聴いても曲の中にダイブしていけること間違いなしで、エンディングでKjが思わず「最高だ、オマエら」と漏らしたのも印象的だった。そして、もう1曲、新曲が投下される前に初めてKjはオーディエンスに語りかけた。

Dragon Ash:DRI-V/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash:DRI-V/撮影=浜野カズシ

「俺たちはオマエらとは他人だから、オマエらが助けてほしいときに助けられないかもしんねえけど、地震があっても力になってやれないかもしんねえけど、みんないろんな想いがあって生きていて、それでもライヴハウスに来たら、俺たちは一つだって胸を張って言えるんだ。夏フェスでもそうだし、野外でも、屋内でもそう。(会場が)でかい、ちっちゃいなんて関係ない。みんな、いろいろあるだろう。そんなの、みんな一緒だ。でも、ライヴハウスではみんな仲間だ」

Dragon Ash:ATSUSHI/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash:ATSUSHI/撮影=浜野カズシ

怒濤の歓声がZeppを揺らし、「circle」はオーディエンスをさらに強く結びつけるようなエモーショナルなロックチューン。理屈抜きに血が騒ぐ。Dragon Ashの中でもストレートな部類に入るだろう新曲たちこそが、彼らが再び新たな地平に向かって走り出していることを提示しているように思えた。

KenKen/撮影=浜野カズシ

KenKen/撮影=浜野カズシ

「Fantasista」では上半身、裸になったKjが「飛び跳ねろー!」とすでに沸騰状態のオーディエンスを更にたきつけ、KenKenがセンターの台の上でベースソロを披露し、HIROKIが下手、上手へと移動してフロアを煽る。濃密にしてぎゅっと凝縮された時間が瞬く間に過ぎていく。

再び口を開いたKjが、前日に熊本を襲った地震についてオーディエンスに呼びかけた。

「帰る時に募金箱用意しておくから。みんな知り合いとかもいるだろうし、ちょっとでも力になりたいと思うヤツは小銭でもいいし、入れてってください。お願いします。(今回のツアーは)九州がファイナルだからさ。直接、渡せるから、どこかの利益にもならないし。俺たち音楽好きのちょっとの力が全部廻って大きくなってさ、誰か1人でも笑わせられたら最高じゃん」

Dragon Ash/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash/撮影=浜野カズシ

押し付けがましさなど微塵もないKjの誠意ある言葉を受け、熱い拍手が場内を包み、会場がみんなの歌う声であふれていった。これは想像に過ぎないが、もしかしたら彼はこの日のMCで未来のDragon Ashについて何か語るつもりだったかもしれない。が、いちばんに優先すべきは、今、この瞬間に起きていること、そこで心折れそうになっている人たちのことだったのではないか――。ふと、そんなことが脳裏をよぎった。

Dragon Ashから放たれる強くしなやかで熱いエネルギーをシャワーのように浴びられるツアーは5月4日の福岡県Zepp Fukuokaでファイナルを迎える。なお、4月24日に宮城県石巻BLUE RESISTANCEで開催される公演はLINE LIVEでバンド初となる生配信が決定。メンバーも活動に参加した「東北ライブハウス大作戦」によって作られたライヴハウスでの貴重なステージをリアルタイムで目撃することが可能となった。

撮影=浜野カズシ 文=山本弘子

Dragon Ash/撮影=浜野カズシ

Dragon Ash/撮影=浜野カズシ

 
ライヴ情報
Dragon Ash Tour 2016 “The Lives”
4/22 いわき アリオス
4/24 石巻 BLUE RESISTANCE
4/27 なんばHatch
4/28 Zepp Nagoya
5/1 高松 festhalle
5/3 BLUE LIVE 広島

Dragon Ash Tour 2016 “The Lives” FINAL Zepp Fukuoka ~FINAL WEEK~
5/4 Zepp Fukuoka


<イベント>
5/29 VIVA LA ROCK 2016
6/4 百万石音楽祭 2016 ~ミリオンロックフェスティバル~
6/25 Xmas Eileen Presents 暁ロックフェス
7/30~7/31 OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.7
11/5~11/6 MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 16

 

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