SuG 未だ見ぬ領域へ、勇ましくも覚悟に満ちた第一歩を踏み出した夜

レポート
音楽
2016.5.11
SuG

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SuG LIVE「VIRGIN」
2016.5.5(Thu)東京 EX THEATER ROPPONGI

しばしば“ロック”とは“生き様”であると言われることがある。どんな障害があろうとも、もがき苦しむ様まで全てさらして、自らが心に決めた夢を追い求める――。そうした生き様を表明するのがロックならば、このSuGのツアーファイナルほど“ロック”なライヴは無かっただろう。1stミニアルバム『VIRGIN』を引っ提げ、“初期衝動”をテーマに回った全国17公演。その最終地点、5月5日の六本木EX THEATERで彼らが記したのは、何年も目標として見据えてきた“日本武道館”への勇ましくも覚悟に満ちた第一歩であった。

アンコールでの衝撃的な発表を控え、5人の気合は幕開けから全開。ストリート調の“らしい”オープニング映像で登場するや、Chiyu(B)はタフなコーラスを放ってフロアを拳の海にし、その熱狂は最新シングル「SICK’S」のスタイリッシュな響きと融合して、理想と現実の狭間で泣き笑いする疑問形のメッセージをグッと心にねじ込んでくる。その後もヘヴィネス、ヒップホップ、エレクトロ、オルタナティヴと、多彩な要素を欲張りに呑み込んだミクスチャーロックをタフなプレイで披露。湧き上がるオーディエンスに向かい、「このツアー、地方の熱ハンパないです。だからファイナルは、どこよりも盛り上がる義務があります!」と容赦なく煽る武瑠(Vo)の語気も、いつになく凛々しい。

SuG 武瑠(Vo)

SuG 武瑠(Vo)

中盤にはステージ上のスクリーンにメンバーの姿が大映しになって、武瑠が表情豊かに楽曲を伝える様もクッキリ。「sweeToxic」ではタイトル通りの甘い毒のような微笑みで魅了し、シャッフルチューン「DEAD or DEAD」にガレージパンクな「JUICY」で客席を揺らすと、「FRIDAY!!」では“ゴールデンウィークを 俺たちにくれよ”と歌詞を歌い替え。オーディエンスとの一体感を高め切ったところで、しかし一転、ラブソングを連発してムードを一変させるのだからニクい。まず「桜雨」では星空や花火といった映像をバックに、お立ち台に座り込む武瑠の切々たる歌唱が、叙情味豊かな楽曲に秘められた情熱を浮かび上がらせる。そこから場内の空気を甘酸っぱく染め変えた「純・不純異性交遊」に、ファンへの愛が詰まったバラード「0 song」ではタイトルコールから悲鳴があがる場面も。フィクションとリアル、どちらの世界観においても、緻密にアプローチを研究しつくしたSuG楽曲の威力は絶大だ。

SuG masato(G)

SuG masato(G)

加えてshinpei(Ds)のドラムソロで始まる楽器隊のセッションを挟んでの後半戦では、フィジカルな高揚感を天井知らずで高め合う怒涛の流れに。ゴリゴリの「In the shadow」に続く「HELLYEAH」では一斉にオーディエンスが飛び跳ねる一方、スクリーンには巨大な逆さ十字が映し出されて、まさしく“HELL”YEAH。そこに“容易く手には入らない そうだからこそ飽き果てない”と歌詞の文言が重なると、その逆境を逆手に取った強気のメッセージに、ゾクゾクと武者震いが止まらなくなる。さらにORANGE RANGEのヒット曲をSuG流の遊び心たっぷりにカバーした「上海ハニー」や、ダンサーを交えて熱さと説得力を増した二度目の「SICK’S」等、アガる曲のオンパレードで迎えたラストに、武瑠はこう告げた。

「10年前、俺は何もやりたいことがなくて音楽を始めたんだけど、そのときに比べたら今の方が何倍もバンドが、音楽が、お前らのことが好きです。よく“夢が無い”とか言うけど、夢なんて無くて当たり前だから。何年も続けていって、それを夢と呼べばいいんだから、一緒に夢見てこう! お前たちと一緒に歌いたくて、この曲を書いたんだ!」

SuG yuji(G)

SuG yuji(G)

そして始まった「Smells Like Virgin Spirit」では、ラウドに突き抜けるサウンドに乗って客席から大合唱が。感極まった表情を見せる武瑠の歌声も、かつてないほどに朗々と力強く広がってゆく。その声に、瞳に滲む底知れない決意の正体は、満場のアンコールに応えた後に明らかになった。“音楽”という夢を追い求める過程を、挫折や諦めも嘘偽りなく交えながら謳い上げる「teenAge dream」をエモーショナルに届け、メンバーそれぞれが今の気持ちを素直に告げると、最後に武瑠が一言一言、噛みしめるように言葉を紡ぐ。

SuG Chiyu

SuG Chiyu

「結成したとき、俺らは最低動員3人でした。でも、1年後に300人のワンマンをソールドさせられました。CDが売れない時代、こんな逆境だからこそ来年、10周年に挑戦します。……日本武道館! 今の俺たちには、悔しいけど“絶対無理だ”と言われると思います。でも、3人から300人の奇跡を起こしたバンドだから、それをもう1回やればいい。こんな時代だからこそ、ありえない奇跡を一緒に起こそうぜ!」

SuG shinpei(Dr)

SuG shinpei(Dr)

想いを吐き出して涙ぐむ武瑠は、続くメジャーデビュー曲「gr8 story」でステージをゆっくりと歩きながら、フロアに“自分らしく自分を裏切る”ことを訴えかける。楽器隊もフリーに行き交い、「1回目の奇跡の一発目の曲です」と贈った「LOVE SCREAM PARTY」、「今、ここにある全て置いてけ!」と叩きつけた「CRY OUT」に続けば、場内のテンションは加速するばかり。「新しいSuGを一緒に作ってくんだぞ!」という武瑠の絶叫に拳を振り上げて応えるオーディエンスもまた、歓喜の涙に濡れていた。

SuG

SuG

「さっき武道館やるっていったけど、まだ日も決まってなくて。だけど昨日から俺は眠れなくて、どうしてもこのツアーで言わなくちゃいけないんじゃないかなって、ライヴ直前にメンバーとスタッフに相談して、やろうって決めました。その晴れ舞台にココにいる全員連れていって、“どうだ、夢叶えたんだぞ!”って言いたいと思います。一緒に刻んでいきましょう」

ダブルアンコールで登場するなり武瑠が告白して客席を驚かせると、ゼロからの出発を「dot.0」で優しく誓う。そしてインディーズ時代、いつもライバルに負けて悔しかったこと。そのたびに良い曲を作ろうと頑張ってきたこと。ライバルたちが次々にステージから姿を消した今、「勝手に(彼らの)夢を背負って叶えていきたいと思います」と宣言して、「ときどきすてきなこのせかい」へ。銀テープが舞う中、大合唱するオーディエンスとハッピーなバイブスを創り上げて、感動的すぎるステージは締めくくられた。


SuG

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興奮冷めやらない場内に、台湾、メキシコ、タイでの追加公演、対極のSuGが2デイズでライヴバトルする『VERSUS』の開催(11月12、13日・大阪IMPホール)、さらに今秋の2ndミニアルバム発売が映像で発表されると、再び歓喜の声が。ライヴ中「このミニアルバム(『VIRGIN』)を出して、俺たち変わったと思う。今までのSuGじゃない」と武瑠も語っていただけに、次作で何が飛び出すのか期待は尽きない。

日本武道館という未来に向かい、この日、奇跡の道を歩み始めたSuG。しかし、彼らは未来だけではなく、常に過去をも抱きしめてきたバンドである。これまで背負ってきたもの、時に笑い、時に泣いた思い出、支えてくれたファンやスタッフ、共に闘ってきた仲間たち。それら全てを真正面から見つめ、その想いを引き受けているからこそ、SuGという樹は向かい風の中でも折れることなく、枝葉を伸ばしてこられたのだろう。そして今度は未だ見ぬ領域へと、彼らならきっと到達できるはずだ。

文=清水素子

 
セットリスト
SuG LIVE「VIRGIN」
2016.5.5(Thu)東京 EX THEATER ROPPONGI
01. SICK’ S
02. 不完全 Beautyfool Days
03. overflow
04. MISSING
05. sweeToxic
06. DEAD or DEAD
07. JUICY
08. FRIDAY!!
09. 桜雨
10. 純・不純異性交遊
11. 0 song ~ソロセッション
12. In the shadow
13. HELLYEAH
14. 無限 Style
15. 上海ハニー
16. B.A.B.Y.
17. SICK’ S
18. Smells Like Virgin Spirit
[ENCORE]
19. teenAge dream
20. gr8 story
21. LOVE SCREAM PARTY
22. CRY OUT 
[ENCORE 2]
23. dot.0
24. ときどきすてきなこのせかい 
ライヴ情報

『武瑠聖誕祭「birthday SCREAM party!! 2016」』
2016.05.11 東京・TSUTAYA O-WEST

『masato聖誕祭Hair and Makeup SHOW「illuMillusion」-with Nobuto Yanagi-』
2016.05.26 SHIBUYA REX

『DRUM☆GODS vol.12』
2016.06.02 渋谷RUIDO K2(shinpei)

『第一回,国立ダウト委員会主催TOUR'2016 NIPPON【V】LYNPIC
2016.7.28(木)新宿BLAZE
開場17:00/開演17:30
<出演>
ダウト/SuG/FEST VAINQUEUR/BULL ZEICHEN 88/the Raid. 他
代>All Standing DRINK代別
前売 ¥4,000(税込)/当日 ¥4,500(税込)

『LSV』
出演:SuG、vistlip、lynch.
2016/7/17(日)高松MONSTER
2016/7/18(月・祝)広島CLUB QUATTRO
2016/7/20(水)福岡DRUM Be-1
2016/7/31(日)大阪BIGCAT
2016/8/1(月)名古屋E.L.L.
2016/8/25(木)仙台Rensa
2016/8/30(火)東京・TSUTAYA O-EAST
※TSUTAYA O-EAST公演のみ、opening gest: The THIRTEEN

スタンディング ¥5,000(税込/ドリンク代別)
※未就学児童入場不可
一般発売日 2016/5/28(土)

 
『VersuS 2016』 
2016年11月12日 大阪・IMPホール
2016年11月13日 大阪・IMPホール
 

SuG TOUR 2016 VIRGIN 追加公演
2016.6.26. 台湾 The Wall
2016.7.3. メキシコ Lunario Auditorio Nacional 
2016.7.9. タイ MUSE thonglor
2016.7.10. タイ MUSE thonglor
 

 

リリース情報
1st major mini album『VIRGIN』
2016年3月9日発売
【LIMITED A】PCCA-04344 CD+DVD ¥4,500+税
【LIMITED B】PCCA-04345 CD+DVD ¥3,000+税
【STANDARD】PCCA-04346 CD  only ¥1,852+税
<CD収録曲>
1. teenAge dream
2. SICK'S
3. 桜雨 Music Video
4. 純・不純異性交遊
5. 無限Styles
6. In the shadow
7. Smells Like Virgin Sprit
<LIMITED A 特典DVD収録内容>
撮り下ろし映像コンテンツを豊富に使用した、計60分以上に及ぶ映像。
・ヨーロッパツアードキュメンタリー
・ライブ「VersuS 2015」ドキュメン タリー
<LIMITED B 特典DVD収録内容>
・「桜雨」Music Video
・「Smells Like Virgin Spirit」Music Video
・「SICK'S」Music Video
・「teenAge dream」Music Video
・「桜雨」Music Video Shooting OFFSHOT

 

DVD『SuG 武瑠のコセイファクトリー ~この世にないモノ~』
2016年3月30日発売
仕様:DVD1枚組 本編(28分)+特典映像(21分)
HPTV-0001 ¥2,700(税込)

 

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