「樋口一葉の喜怒哀楽を出していきたい」永作博美が思いを寄せる舞台『頭痛肩こり樋口一葉』
永作博美『頭痛肩こり樋口一葉』
樋口一葉の没後120周年を記念して、井上ひさし作の人気戯曲『頭痛肩こり樋口一葉』が8月5日(金)から日比谷シアタークリエにて上演される。明治になってまもない東京を舞台に、一葉の19歳から死後2年までのお盆の16日を描く物語。夏子と家族、知人、そして謎の幽霊との交流を描くファンタジー作品だ。本作の主人公・樋口夏子(一葉)を演じるのは女優・永作博美。アイドルとして芸能界デビューし、その後本格的に女優の道を選んで生きてきた永作が、早逝の天才・樋口一葉にどんな思いを抱いているのか。
――『頭痛肩こり樋口一葉』という作品を知ったときの第一印象は?
女性の群像劇。生きてても死んでてもみんな元気だなーって(笑)。それでいて、やさしさも感じます。助け合って生きている、そんな時代を感じますね。作者の井上ひさしさんの中にある「女性」への想いがたくさんつめこまれているんだろうなって。
永作博美『頭痛肩こり樋口一葉』
――これまで旬の女優さんが演じてきた夏子(=一葉)役を演じることになりましたが、どう演じようと思っていらっしゃいますか?
「樋口一葉」というタイトルがついている割には、そんなに一葉さんについて詳しく書かれている訳ではなく、「樋口一葉という存在」としての説明をしているだけなんです。だから一葉さんの人となりを探し出すのが非常に難しい台本だなって。とにかく台本を読み倒して台本の中に隠れている「想い」を探り出すしかないなと。「一葉はこのときは辛かったであろう、楽しかったであろう」というのが見えるような作品にできたらいいなぁと思います。
一葉さんって、名前だけは有名なんですが、実はあまり知られてないんですよね。資料もたくさん残っているのでもっとたくさん語られてもいいと思うんですが。そこは私なりの振り幅で一葉さんの喜怒哀楽を作ってみたいと思います。一葉さんって喜怒哀楽の印象が少ないんですよね。いつも口をむっとつむんだ印象が強くて。彼女の感情を豊かにできたらなと思います。
永作博美『頭痛肩こり樋口一葉』
――この作品では一葉の10代から20代前半を描いています。永作さんの10~20代前半ってどんな風に生きていましたか?
あの頃はせつないくらい何も考えていなかったです(笑)。一葉さんとの差が激しすぎて。誰かに「右に行け」と言われたら右に行く…そんな生活でした。もちろん働いていたので社会人ではあったけれど、子どもでした。いや、子ども以下でした。私に比べたら、一葉さんはすでに大人だったと思います。最近本当に心の底から「大人になりたい」と思っているので、これを機に一葉さんに大人の道にひっぱっていただきたいと思っています(笑)。
今、女優を続けていてよかったなと思います。途中で女優の道は向いてないなと思うこともあったし、他に適した場所があるんじゃないかなって思ったり。紆余曲折しての今ですからこれを続けることに大きな意味を感じています。いろいろな人の人生をやらせていただき、疑似ながらも普段自分には起こらないことをいっぱいやらせていただけるお仕事ですから。役を通して「人生勉強をしろ」と言われているようです。未熟ですみません、と思いながら頑張っています。
永作博美『頭痛肩こり樋口一葉』
――製作発表のときにすでに垣間見えていましたが、今回共演する方々との交流がおもしろくなりそうですね!
先輩たちの楽屋での話術を盗みたいです! すごいですね、本当に一気に明るくなるし、心を奪われます。それでいて偉い人が楽屋にくるとスッと行儀よくなる(笑)。あれはすごい。勉強させていただきたいです。あの技が手に入れば、役者としての幅がもっと広がりそうです(笑)。「行くよ!」とか「そろそろ始まるよ!」って誰かが言ってくれないと、ずっとしゃべり続けていますね(笑)
永作博美『頭痛肩こり樋口一葉』
――『頭痛肩こり~』は、人間と幽霊がなぜか共存する物語ですが、永作さんが幽霊でもいいから共演したい、一緒にお仕事してみたいと思う人、と言われたら誰が思い浮かびますか?
うーん…高峰秀子さん!あとエディット・ピアフ。ナマで歌声を聴きたいです。できたらお酒とかもご一緒したい。どんだけハチャメチャな人だったのか聞きたいですね。もちろん井上ひさしさんともお会いしてみたいですね。
永作博美『頭痛肩こり樋口一葉』
永作博美さん、NHK『あさイチ』プレミアムトークに出演決定!
7月22日(金) 午前8:15~
『頭痛肩こり樋口一葉』の稽古の様子も紹介されます。
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/160722/1.html
樋口一葉没後120年記念
東宝・こまつ座提携特別公演『頭痛肩こり樋口一葉』
■日時・会場:
2016年8月5日(金)~25日(木)日比谷シアタークリエ(東京)
2016年9月3日(土)~4日(日)兵庫県立芸術劇場文化センター 阪急中ホール(兵庫)
2016年9月7日(水)新潟県民会館(新潟)
2016年9月15日(木)電力ホール(宮城・仙台)
2016年9月17日(土)南陽市文化会館(山形)
2016年9月22日(木)びわ湖ホール 中ホール(滋賀)
2016年9月25日(日)アルカスSASEBO 大ホール(長崎)
2016年9月28日(水)~30日(金)中日劇場(名古屋)
■作:井上ひさし
■演出:栗山民也
■出演:永作博美、三田和代、熊谷真実、愛華みれ、深谷美歩、若村麻由美
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