V6坂本昌行「ピアノの練習は“指の振り付け”」松尾貴史との二人芝居『マーダー・フォー・トゥー』
松尾貴史「マーダー・フォー・トゥー」
一人が刑事役をやり、一人が全容疑者役を演じる二人だけの芝居、オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『マーダー・フォー・トゥー』が大阪公演を経て、6月1日(水)から世田谷パブリックシアターで上演される。東京初日前日となる5月31日(火)マスコミ向けの公開稽古が催され、本作に出演するV6の坂本昌行、そして松尾貴史がステージ上のグランドピアノを中心にめまぐるしいスピードで次々と役を演じ、記者たちを沸かせていた。
「マーダー・フォー・トゥー」ステージ
公開稽古のあと行われた囲み会見の模様をお届けしよう。
まずは、大阪公演の感想から。実際に観客が入っての上演について、坂本は、「稽古場とは違う笑いってあるんですね」と振り返る。松尾も「大阪の皆さんは、良くも悪くも振れ幅が大きいので。最初は緊張感ありましたが、かなり助けていただきましたね」とコメント。なお大阪公演中は、松尾がプロデュースするカレー店に「二人でしっぽり」食べに行ったそうだ。
本作で様々な役を演じることになる坂本は、「大変な役というか…人数が!これはもう観てくださるお客様のイマジネーションを頼るしかないので。僕はそのヒントを与えているだけ。それぞれのキャラクターがより鮮明に見えるように努力をするだけです」と語る。実際何役を演じているのか?という質問については、松尾「どっちがやっている?って素直に取れないような役もあって。でも彼は10役はやってますね。女性も2.5人(!?)くらいやってます。声だけボクで演技は坂本くんというものもあるんです」
松尾貴史「マーダー・フォー・トゥー」
役作りの苦労を聞かれると、坂本の答えを待たずに松尾が「もともと多重人格なんじゃない?」と知っていたかのように答えるので「いや、(今回)初共演だから!」とツッコんで阻止する坂本。
そんな松尾のイメージについて、坂本は「大先輩なのですが、壁がないというか間口が広くて何をやっても返してくださる人。お芝居もそうですが、投げたら必ず何かやってくださるんです。無茶なボールを投げても受けてくれる」というと、「もともと緊張感がない人間なんで」とこれまたひょうひょうと返す松尾。
本作との出会い、そして稽古期間の思い出に話が及ぶ。坂本は「もともとインターネットなどで調べていたらこの作品が出てきて“すばらしいな”と一目惚れ…とまでは言わないですが、そんな想いを抱いてたら、数か月後にこの作品のお話をいただいて。こんな出会いはないと思って二つ返事で受けた。ところがいざ稽古に入ってみたらとんでもないことになっていて!僕も20年以上やってますが知恵熱が出たのは初めてです。あまりのいろいろなプレッシャーに負けて」と驚きの告白。
松尾も「情報処理が大変なんですよ。音的な処理とタイミングとか。加えて膨大なセリフ量なので。立て直す間がないんです。楽屋に入って「ほっ」というのがあってまたステージに出るんだったらいいんですが、それが一切ないので」
劇中でピアノを弾くことについても「弾くだけでも大変なのにそれ以上にやりながらお芝居をしたり、歌ったり、セリフを言ったり、邪魔し合ったり…し合ったりじゃないや。僕が邪魔されたり!もちろん演出ですけどね」と松尾。
松尾貴史「マーダー・フォー・トゥー」
ちなみに今回の舞台に備えてピアノの練習を続けてきた二人。
坂本「去年の11月頃からピアノを借りまして自宅において。夜でも弾けるように、アップライトのサイレントピアノにした。毎日少なくても3時間か4時間練習していましたね」ふと、レンタルピアノ設置当時、坂本がピアノ用の延長コードを探していたことを思い出す松尾。「僕の家は狭いので延長コードはいらなかったんですが…」と、暗に坂本の家は広いんですね…と言いたげな雰囲気を作るので、「何を言っているんですか?うち、知らないでしょ!」とまたまたツッコむ坂本。
ピアノの練習について、坂本が「譜面がどうこうより、“指の振り付け”という感じで」と、ミュージカル俳優ならではの表現で説明すると、松尾が「…折り紙はよくするんですけどね…」とボケ返す。とはいえ、松尾も「稽古嫌い・練習嫌いなので、こんなにちゃんと取り組んだのはこの仕事をしてから初めてかもしれない」と改めて練習の大変さを振り返っていた。ところが「知恵熱は出なかった。知恵がないので(笑)」とまたしても脱力系のボケを挟んでくる松尾。
ボケてはつっこみ、またボケたおす。初共演ながら息ぴったりの二人だった。
松尾貴史「マーダー・フォー・トゥー」
「何も考えずに目の前で起きていることを純粋に笑っていただける作品ですので、ただただ笑う準備だけしていただけたら」と坂本。そして、「パスポートを買ってテーマパークに行ってアトラクションを脳内で楽しんでいるような作品なのでイマジネーションを膨らませていただきたい」と松尾が語る『マーダー・フォー・トゥー』。まもなく開幕だ!
■日時・会場:2016年6月1日(水)~12日(日) 世田谷パブリックシアター
■出演:坂本昌行、松尾貴史
■作:KELLEN BLAIR
■演出:スコット・シュワルツ
■公式サイト:http://www.murderfortwo.jp/
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