劇団□字ックの好評作『荒川、神キラーチューン』が待望の再演! 山田佳奈・町田マリー・小野寺ずるインタビュー

山田佳奈、町田マリー、小野寺ずる

山田佳奈、町田マリー、小野寺ずる


生活者の感情をリアルに描きつつ、エンターテイメントとしての作品作りにもこだわりを見せる劇団□字ックが、2年前に上演してウェブサイトでの演劇賞を受賞するなど好評だった作品『荒川、神キラーチューン』を再演する。その作品作りの“要”となる3人、劇団の主宰で作・演出の山田佳奈、主人公の教師を演じる町田マリー、その主人公の14年前の中学生役、小野寺ずるに作品作りへのポイントを聞いた演劇ぶっく6月号の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

 

 

ある意味、革命というかお祭り騒 ぎにしたい
 
──今回は再演ですが、どんな作品になりますか?

 

山田 この作品は2年前、私が29歳のときに書いたものです。それまで世の中に許せない事や自分のこだわりがすごくたくさんあって、それらを手放せた頃に、改めて20代最後に自分が許せなかったことに向き合って書いた作品です。なので、主人公がすごく葛藤しています。現在教師をやっている主人公の女性が、14年前の自分が中学生のときのクラスのこと、すごく仲が良かった女の子や、担任の先生が亡くなった事件のことなどを回想していくうちに、「もしかしたら」といろいろ気づいていくような構成になっています。今回の再演は、町田さんに初演の台本を読んでいただいて、お話をしたときに、「最後の方に書いてある台詞が、わたしはいつ読んでも涙が出てくるんです」とおっしゃっていただいたのが、すごく大きな励みになっています。
 
──町田さんは台本を読まれて、いかがでしたか?
 
町田 最初に台本をいただいた時、電車の中で読み始めたんですけど、わーっていう感じで、止まんなくなっちゃって。台本自体にものすごい勢いがあったんですね。「え、すごい!」「この本すごい!」と思って。最後のシーンに行ったところで、自分の感情が止まらなくなって。「なんか、すごいものを読んでしまった!」という感じだったんです。その後に映像をいただいて、□字ックさんの作品を拝見したことがなかったので、「見なくちゃいけないな」と思って見始めて。そしたら今度は、さらに台本以上に勢いがあって。「すごいことをやってる人たちだ~!」って。ちょっと自分が毛皮族をやっていた頃を思い出したり。それ以上に勢いだけじゃなくって、感情や人間関係のいろんな部分が描かれていて、すごく作品としてクオリティーの高いものだなと思いました。
 
──小野寺さんはいかがですか? 今回、町田さんが演じるショーコの、14年前のショーコ役で、初演でも同じ役でしたが。
 
小野寺 今回の再演で、メンバーも役も私以外全員変わっていて、自分はどうしても同じ役をやったので、2年前に引きずられるのが怖い部分もありました。でも、衣装のフィッティングで町田さんにお会いしたときに、何だろう、町田さんは目がまっすぐで。宇宙の無心というか。何ておもしろい方が自分の14年後を演じてくださるんだろうと思って。今回は、自分の14年後っていうのをちょっと舞台上で意識してみたいです。大人になった自分と私が演じる自分を繋げてみる視点を考えるというか。初演のときに、うわーって思うことがたくさんあったので、そこで得たものもプラスで生み出せたらいいなと思っています。
 
──14年前の自分を演じる小野寺さんの印象を町田さんはどんなふうに。
 
町田 小野寺さんの映像を見たときに、「この役はこの人にしかできない」と思いました。私はその小野寺さんの部分を大人になっても持ってなくちゃいけない、だけど大人になってるし。でも小野寺さんが演じていたショーコちゃんの特異な部分はエッセンスとして自分の中ではすごく大事な部分だと思うので。大人になるっていうことだけではなくて持っていたいなと思って、稽古に挑もうと思っています。
──最後にこの作品に向けた山田さんからのメッセージを聞かせて下さい。
 
山田 今回の作品は再演ですが、今の自分の新作として作っていきたいなと思っていて。新作だからこそ、この今のキャストで何ができるかというのをしっかり考えていきたいなと思っています。どの役者さんも今回の作品が好きだと言って下さる方や、今、□字ックとやりたいんだという方ばかりの中、スタッフもすごく力が入っているのを感じていて。全員にとってある意味、革命というかお祭り騒ぎにしたいなと思っています。
 
小野寺ずる、町田マリー、山田佳奈

小野寺ずる、町田マリー、山田佳奈


 
やまだかな〇作家・演出・役者。□字ック主宰。20代、30代の男女の深層をリアルに描くエッジの効いた戯曲と、ポップで疾走感ある演出が持ち味。『荒川、神キラーチューン』でCoRich舞台芸術まつり!2014グランプリ受賞。音楽×映画プロジェクト「MOOSIC LAB2016」(K's cinema 8月下旬上映)で監督・脚本を務めることも決定。

 

 

まちだまりー〇立教大学在学中に江本純子と劇団「毛皮族」を旗揚げし、看板女優として活躍。こまつ座『日本人のへそ』、世田谷パブリックシアター『サド侯爵夫人』/『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』、KERA・MAP『グッドバイ』など客演多数。映像では09年、主演映画『美代子阿佐ヶ谷気分』でヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。

 

おのでらずる〇役者。思春画家。89年生まれ。気仙沼市出身。□字ック所属。異物と呼ぶにふさわしい存在、子どもの声と獣の瞳を武器に一進一退。KAKUTA『アンコールの夜』(5/7~22)に出演予定。「CoRich舞台芸術まつり!春 2014」俳優賞受賞。イラスト&エッセー「お芝居のアソコ」を演劇ぶっくに連載中。

〈公演情報〉

 

 

□字ック『荒川、神キラーチューン』
作・演出◇山田佳奈 
出演◇町田マリー、澤田育子、鬼頭真也、小野寺ずる
日高ボブ美、石橋穂乃香、エリザベス・マリー 、大塚宣幸、傳田うに、青山祥子、とみやまあゆみ、濱田真和、安川まり、納葉、かさいみよ、鈴村悠、田島冴香、龍野りな、花村雅子
●6/29~7/3◎東京芸術劇場シアターウエスト 
〈料金〉前売
3,900 当日4,300  U-24¥1,800 高校生以下¥2,000(全席指定・税込) 
●7/9・10◎穂の国とよはし芸術劇場PLATアートスペース 
 
〈料金〉前売・当日3,600  U-24¥3,300 高校生以下¥1,000(全席自由席・税込) 

【構成/坂口真人 文/矢崎亜希子 撮影/岩田えり】

 

 

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