秦 基博がその歌で東京国際フォーラムに描き出した“青の光景”

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秦 基博 撮影=河本悠貴

秦 基博 撮影=河本悠貴

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『HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2016 -青の光景-』 2016.6.3 東京国際フォーラム ホールA

昨年12月にリリースした約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『青の光景』を携え、3月から全国ツアー『HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2016 青の光景』を行った、秦 基博。約3ヶ月のツアーの最終公演会場は、秦にとって初めての東京国際フォーラム ホールA(6月3日、4日)だった。

暗転後、アルバム『青の光景』をモチーフにした映像が流れ、舞台後方のスクリーンにツアータイトルが浮かび上がると、秦 基博とツアーメンバーを迎えた観客から拍手が沸き起こった。しかし、そのあとすぐさま静寂が生まれる。会場にはこんなにも大勢の観客がいるのに、誰もが皆その始まりの一音を聞き逃すまいと耳を傾けていたのだった。自分に何ができるのかを問いかけながら作り上げたアルバム『青の光景』は、青をテーマカラー、コンセプトにした作品だが、あのアルバムの1曲目「嘘」で深く暗い青を切り取った彼は、今回ツアーでもライブの1曲目に「嘘」を選び、そこからグラデーションを描くように曲を並べていった。

秦 基博 撮影=河本悠貴

秦 基博 撮影=河本悠貴

約3年ぶりのバンド編成でのツアーを一緒に回ったのは、弓木英梨乃(ギター、バイオリン)、皆川真人(キーボード)、鈴木正人(ベース)、あらきゆうこ(ドラム)。秦のツアーに女性プレイヤーが2人参加したのは初めてのこと。2曲目「ダイヤローグ・モノローグ」では秦の声に弓木がユニゾンで合わせるなど、このメンバーだからこそできた新しい試みが早くも見ることができた。また、バンド編成で臨んだツアーであっても、「美しい戯れ」「恋はやさし野辺の花よ」では秦が一人で弾き語りをしたり、「次の曲は男だらけでやります」と秦、皆川、鈴木の3人で「季節が笑う」を届けたりと、それぞれの曲が担った役割を異なるスタイルで表現。それはライブに静と動のメリハリや躍動感を生み、それぞれの曲がお互いの個性を引き立てる効果を生んだ。

秦 基博 撮影=河本悠貴

秦 基博 撮影=河本悠貴

深くて暗い海の底にもぐりこんでしまったかのような「ディープブルー」。怒りや憤りをぶつけた「Q&A」。場面を一気に変化させた「グッバイアイザック」。それぞれの曲の中にあるストーリー性や感情の揺れが、ひとつのライブの中で見事な繋がりを持ち、秦 基博が描いた様々な感情の景色がライブの中で描かれていく。また、今回は新しいアルバムを携えたツアーということもあり、『青の光景』に収録した全11曲をすべて演奏していたが、中でも映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌として書き下ろした「ひまわりの約束」は、とても大きな印象を残した。それは今や秦 基博の代表曲となり、世代を超えて多くの人たちにこの歌がちゃんと届いていたのだということを、一人ひとりの反応からあらためて実感できたからだ。目をつぶって聞き入っている人。小さな声で口ずさんでいる人。ハンカチで涙を拭いていた人。そんなみなさんの姿を目の当たりにして、秦 基博の歌はそれぞれの生活や日常の中で育まれて、大切な歌になっているんだなと思った。

秦 基博 撮影=河本悠貴

秦 基博 撮影=河本悠貴

また、「スミレ」ではこの曲のMVで評判となった振り付けを自らレクチャーし、会場のみなさんと一緒に振りをしたり、「(初めて秦のライブを見に来た人に)どうですか? 実物は。テレビで観るよりもシュッとしてるでしょ? 今のテレビはワイドですからね。太って見えちゃうんですよね」と、話して笑いを誘ったり、バンドメンバーとのざっくばらんなやりとりからは、秦 基博の人柄がまっすぐに伝わってきた。

青には抜けるような空の色もあれば 深い海の底には暗い青もある。青は青臭さや悲しみや悲哀を表現する色でもある。彼が本編の最後に選んだ曲は『青の光景』のラストに収録した「Sally」。この曲は旅立って行く人を見送る視線で書いた歌だが、彼の歌声はそこに光や希望を注ぎ、本編のラストに空を見上げる景色を重ねてくれた。

秦 基博 撮影=河本悠貴

秦 基博 撮影=河本悠貴

アンコール。バンドで「聖なる夜の贈り物」「トラノコ」を届けたあと、秦はメジャーデビュー前からずっと歌い続けてきた「僕らをつなぐもの」を一人、弾き語りで届けた。アコギ1本と秦 基博の声だけが会場に響いたその空間がとても贅沢な場所と時間に思えた。最後に「また会いましょう」と、場内を見回しながら手を振り、秦 基博は笑顔でステージを去ったが、席が立つのがとてももどかしく感じられるほど、余韻がいつまでも消えることのないライブだった。

この翌日、同会場で行ったツアーファイナル公演では、デビュー10年にして初めてアリーナツアーを行うことが発表された。『青の光景』ツアーを経た彼は、10周年という節目にどんなライブを見せてくれるのか、今から楽しみでしょうがない。


レポート・文=松浦靖恵

秦 基博 撮影=河本悠貴

秦 基博 撮影=河本悠貴

セットリスト
『HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2016 -青の光景-』 2016.6.3 東京国際フォーラム ホールA
01.嘘
02.ダイアローグ・モノローグ
03.花咲きポプラ
04.ROUTES
05.鱗(うろこ)
06.美しい穢れ *弾き語り
07.恋はやさし野辺の花よ *弾き語り
08.季節が笑う
09.Fast Life
10.ディープブルー
11.水彩の月
12.デイドリーマー
13.Q & A
14.グッバイ・アイザック
15.あそぶおとな
16.スミレ
17.ひまわりの約束
18.Sally
[ENCORE]
19.聖なる夜の贈り物
20.トラノコ
21.僕らをつなぐもの *弾き語り

 

ツアー情報
秦 基博 10th Anniversary アリーナツアー
 
2016年11月1日(火)神奈川県 横浜アリーナ
2016年11月4日(金)大阪府 大阪城ホール
2016年11月5日(土)大阪府 大阪城ホール
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※詳細は近日発表
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