おっちゃん&ミンジュの怪しいK-Pop喫茶[第12話] JYPルネッサンス

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パク・ジニョンのCDジャケット

パク・ジニョンのCDジャケット

おっちゃん「よいしょっと…(ペタペタ)」
ミンジュ「げっ、師匠やん」
おっちゃん「嫌な顔すんなや。自分の恩人やろ」
ミンジュ「それはそうやけど(ゲロゲロ)」
客「なんやなんや、気持ち悪いポスター貼り出してからに。ここをゲイ喫茶にでも変えるつもりか?」
おっちゃん「なんや、JYP知らんのかいな。歌手でダンサーで作曲家で音楽プロデューサーでJYPエンターテインメントの創業者で変態のパク・ジニョンやで」
ミンジュ「変態ちゃう。自分大好きなだけや」
客「JYPゆうたらミンジュちゃんが昔おった事務所やんけ。てことは、このイタイおっさんはミンジュちゃんの元雇い主?」
ミンジュ「不本意ながら(とほほ)」
客「ぴゃー、それは気の毒に。てか、急になんでこんなポスターを?」
おっちゃん「いま、時代はJYPなんや。流れには乗っておかないと」
ミンジュ「時代はJYP? もうとっくに斜陽になったかと思うとったけどな」
おっちゃん「そやな、一時はそう思われとった時期もあった。そやけど自分が辞めてから流れがよおなったんや」
ミンジュ「人を疫病神みたいにゆうな(怒)」
客「…? どおゆうことや?」
おっちゃん「うむ。ほんなら順を追って教えてやろう。元々JYPエンターテインメントは1997年にJYPことパク・ジニョンが興した芸能事務所で、一時はgod、ピ(RAIN)、Wonder Girlsなど次々とヒットさせ、あっと言う間にSMやYGと並ぶ3大芸能社のひとつに数えられるようになった」
客「ほぉ。変な顔の割りにやり手やないか」
おっちゃん「それがホンマにマイダスの手の持ち主やったのかどうかは微妙でな。単にK-Pop急成長の時期にうまく波に乗っただけかもしれん。
その証拠に社会現象を巻き起こしたWonder Girlsの次にデビューしたミンジュなどはさっぱり売れず…」
ミンジュ「ウチのことはええから」
おっちゃん「Wonder Girls自身も国内での地固めをせずにアメリカデビューなどしたもんやから、どっちもあかんよおなってしもうた」
客「あらあら」
おっちゃん「売れそうな歌手を見付けて来て、デビューさせるまでは意欲的やけど、売り続けるための戦略はなにひとつ持たない。
あたら才能のある歌手を潰してしまうと言うのが、最近のJYPの評価や」
ミンジュ「ウチの後にも2PMや2AM、MissAなんか矢継ぎ早にデビューさせたけど、SMエンタみたいにファンの期待を煽りつつキチンと応えるなんてことはなく、常に放ったらかし。結局ウチや2AMは別の事務所に移籍、MissAはペ・スジひとりがドラマや映画で人気を獲得したけど、歌手グループとしてはほとんど実績を残せてない」
おっちゃん「JYP自身が歌手活動を再開させたせいもあるやろうし、アメリカ好き過ぎて韓国歌謡界にあまり熱心じゃなかったのも原因やとかゆわれてたな」
客「ほー」
おっちゃん「ところが、今年になってその流れががらりと変わった」
客「ミンジュちゃんが移籍したからか?」
ミンジュ「しつこいわ!」
おっちゃん「一番目立つ現象としてはTwiceの大ヒットやろうな。以前女子アイドル界の新しい動きとして『セーラー服大戦』と題して解説したのは憶えてるやろ?」
客「あー、あったなぁ」

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【おっちゃん&ミンジュの怪しいK-Pop喫茶[第8話]セーラー服大戦(後編)】

おっちゃん「ワシは、あの中で取り上げたセーラー服新人の中でどのグループが勝ち上がるのかと、興味深く見守っておったのじゃよ。去年までの流れでは女友達(GFriend)が一歩上を行ってる感じやったが、その予感通り、今年になって大ブレイクした」

女友達(GFRIEND)『時をかけて(Rough)』

客「お、可愛ええ」
おっちゃん「今回は“冬の体育少女”的なコンセプトで、相変わらずキレキレのダンスを見せながら、曲調はちょっとシリアスで緊張感がある。ただし、例によって男の気配を微塵も感じさせない、女子高的雰囲気は踏襲しとる」
ミンジュ「ええ所は継承しつつ、進化も見せる。上手いよねぇ」
おっちゃん「うむ。この戦略はズバリと当たり、『時をかけて(Rough)』は2月に歌謡界を席巻。音楽番組でトータル15冠という偉業を達成した」
客「すげー」
おっちゃん「この時点で、女友達には誰もかなわへん、『セーラー服大戦』は女友達のひとり勝ちや、とそう思うとった」
客「違うたの?」
おっちゃん「そやねん。そこに立ち塞がったのがTwiceや」
客「あー。さっきそおゆうとったな」
おっちゃん「1曲めの『ウワハゲ(優雅に)』もデビュー曲としてはそこそこ売れたんやけど、2曲目の『CHEER UP』のヒットは桁が違うた」

TWICE『CHEER UP』

客「こりゃまた女友達とはじぇんじぇん違うね」
おっちゃん「そやねん。女友達が少女時代の正当後継者らしく、カル群舞(全員が一糸乱れぬダンス)を武器に一体感で売っているのと逆に、Twiceは技術的にはだいぶ落ちるけど、その代わりメンバーの個性を前面に押し出しとる。
歌を聴くと判るけど、『CHEER UP』にはアンサンブルがほとんどない。曲のほとんどのパートを、それぞれがソロで歌うという変わった構成や」
ミンジュ「あ、ホンマやね」
おっちゃん「そこで台湾人美少女のツゥイや日本人3人娘(モモ・サナ・ミナ)の人気が先行し、それがグループ全体を引っ張る形でヒットに結びついた」
ミンジュ「サナの“シャシャシャ(Shy Shy Shy)”て歌詞は流行語にもなったもんね」
客「なるほど。全員憶えなくてもいいです、個人だけでも応援して下さいって戦法か」
おっちゃん「Wnder GirlsもMissAもそう言う個人売りの所はあったから、これはJYPの伝統かも知れんが、上手くハマったと思うね。折しも少女グループは過激なセクシー競争の反動から、脱セクシーで個性化の時代へ向かいつつあるとゆわれとる。その一角がTwiceだと思うね」
客「JK特有の清潔なお色気は残して欲しいなぁ」
おっちゃん「あと、この曲はJYP師匠の作詞作曲やない」
ミンジュ「なるほど!(ポン) 師匠の余計な息がかかってないから、妙にレトロアメリカンにならず、延び延びとした歌になったとゆう訳か」
おっちゃん「うむ。師匠、百害あって一利なし」
客「えらいゆわれようやな(呆)」
おっちゃん「とにかくこの『CHEER UP』はカムバック後パーッと1位まで駆け上がった後、すぐ順位を下げて後発に道を譲ったように見えたんやけど、どっこいそっから驚異の粘り腰で1位に返り咲き、結局トリプルクラウン(同一番組で3週間連続1位を獲得すること)2回を含む11冠を獲得した」
ミンジュ「少女時代のティファニー(のソロ曲)を正面からバッサリ切り落としての1位やから、世間の見る目も“こりゃ本物や”て感じになったよね」
おっちゃん「あの時は少女グループに新しい時代が来た、と思うたもんね」
客「へー、そりゃすごいね」
おっちゃん「おかげでJYPの株価もずいぶん上がった」
ミンジュ「TwiceはJYPエンタ復興の祖となるかもしれんね」
おっちゃん「そうなんやけど、JYPエンタ復興の兆候は実は去年からあって、ひとつには男グループのGOT7がまぁまぁ人気が高いまま維持できてたこと」
客「男には興味ないで(ばっさり)」
おっちゃん「あとひとつは、ペク・アヨンの活躍や」
客「ペク・アヨン? 女子?」
おっちゃん「そう。アヨンはオーディション番組の『K-POPスター』で3位になりJYPにスカウトされたんやけど、この時の1位は同じくJYPのパク・ジミン、2位がYGにスカウトされたイ・ハイやった。イ・ハイはすぐに頭角を現して『1.2.3.4』で4週連続1位になるなどトップ歌手の仲間入りを果たしたけど、JYP組のペク・アヨンとパク・ジミンはさっぱり売れんかった」
ミンジュ「パク・ジミンはペク・イェリンと15&って名前のコンビで売り出したんよね」
客「パクとかペクとかばっかりやな」
ミンジュ「代表がパクやからね」
おっちゃん「とにかく、パクとかペクとかは全然売れんかったんや。
JYPのプロデュース能力が疑われて来たのもこの頃(2012~14)の話」
ミンジュ「ウチはJYP暗黒時代と呼んどるけどね。その後すぐ、ウチはJYPを辞めてWoollimに移籍したんや」
おっちゃん「当然アヨンもミンジュと同じように消えていくものと思われた」
ミンジュ「失礼やな。ウチは移籍しただけやって」
おっちゃん「ところが、事務所に突き放され、自分で曲を作るしかなくなったアヨンは、意外な才能を発揮する。自らの失恋体験を赤裸々に綴った『そんなことならハナからせんといて(意訳)』を、去年の5月にリリース。当初は事務所の応援もなく、さして話題にもならへんかったけど、素直な内容の歌が次第に若い女子の共感を得て口コミで広がり、発売3週後には音楽番組に呼ばれるようになった。そしてついに音源配信チャートで1位を獲得するに至ったんや」

ペク・アヨン『そんなことならハナからせんといて(shouldn't have...)』

ミンジュ「素直でええ歌やね」
おっちゃん「うむ。事務所主導ではこう言うシンプルな曲は作りにくい。半ば見捨てられた歌手やったから出来たのかもしれんな」
ミンジュ「やはりJYP師匠レスなのが成功の要因か(笑)」
客「なにが幸いするか判らんもんやな」
おっちゃん「『K-POPスター』で勝てなかったイ・ハイやパク・ジミンに、プロになってようやく逆転勝利した訳で、それも感動的やな。もっともルックスでは大差で勝ってたけど」
客「いや、目くそ鼻くそやろ」
おっちゃん「アホゆえ。アヨンちゃんはK-Pop界最高の美脚の持ち主やぞ」
客「そおなの?」
おっちゃん「膝下限定やけど」
客「(こけっ)どんな美脚やねん」
おっちゃん「顔かて整形してからずいぶん可愛ゆくなったわい」
ミンジュ「それを言うなら、イ・ハイかて最近整形してかなり見れるようになったで」
客「そうゆうのを目くそ鼻くそゆうんやって」
おっちゃん「…で、このアヨンが最近カムバックしてな」
客「お」
おっちゃん「事務所が見付けられたなかった自分自身の個性ちゅうものを『そんなことならハナからせんといて(意訳)』で発見したせいやろうか…」
ミンジュ「もお『shouldn't have...』でよくね?」
おっちゃん「今回も自作曲で、実に素直でシンプルで共感出来る若い女子の心境を歌っておる」
ミンジュ「なんで若い女の子の心境におっちゃんが共感出来るんだよ?」
おっちゃん「こう見えても心は乙女なんじゃい」
ミンジュ/客「おえー」

ペク・アヨン『so-so』

おっちゃん「完全にアヨン節とでも言うような、自分ならではの曲づくりをモノにしとると思わんか?」
客「確かに」
おっちゃん「今回はリリースと同時にヒットとなり、音楽番組ではTwiceと1位を争う程の話題となった」
ミンジュ「ほえー」
おっちゃん「結局破竹の勢いのTwiceを止めて1位になったのはアヨンの方やったんやけど、思わぬ身内同士の1位争いにパク・ジニョンは大いに喜んで“(プロデューサーとして)僕はどうすればいい?”とInstagramに書き込んだとか」
ミンジュ「いや、なにもせんかったからここまで伸びたんやって」
客「へー、あの美人揃いのTwiceに勝ったんか、アヨンちゃんが」
おっちゃん「当然や。アヨンはJYPで一番美人やからな」
ミンジュ「マニアックやなぁ(呆)」
おっちゃん「まぁ、そんな訳で、売り上げでもSMやYGにだいぶ水を空けられてたJYPがここに来て大躍進。再び3強時代を形成したと言う訳や」
客「まさにルネッサンス(再生・復活)やな」
ミンジュ「ウチの妹たちが仰山おるから、それはやっぱり嬉しいわ。事務所が儲かれば、曲作りにもプロモーションにも、いろんな所にお金かけられるようになるしね」
おっちゃん「そやねん。それはペク・イェリンの活動に如実に表れておる」
客「またペク?」
ミンジュ「さっき出た15&の片割れや」
おっちゃん「そのイェリンが去年『宇宙を渡って』ちゅう曲を出してスマッシュヒットさせておってやね…」

ペク・イェリン『宇宙を渡って』

客「ええ歌やけど、地味やねぇ」
おっちゃん「インディーズ界では大人気のCheezeちゅうデュオがおってな、そこのクラウドってにいちゃんがプロデュースと作曲を担当しておるのじゃ」
客「へー、知らん」
おっちゃん「もうメジャーデビュー寸前てくらい人気あるんやで」
客「だったらメジャーデビューしてから聴くわ」
おっちゃん「うきーっ! Cheeze、すごく良いのに」
ミンジュ「どおどお」
おっちゃん「まぁそんな風に、ええ歌やけどどうしたって地味やから次はないと思われてたんやけど、Twiceやアヨンの相次ぐヒットで余裕が出来たのか、あるいはJYPレスの方が売れると悟ったのか、この度ペク・イェリンも再びCheezeのクラウドと組んで新曲をリリースすることが出来ました(パチパチ)」
客「おっ」
おっちゃん「それがまた似たような地味な曲なの。ウケルー(笑)」

ペク・イェリン『Bye bye my blue』

客「ホンマや、地味」
ミンジュ「この子の魅力は、大声で張らなくてもしみじみと心に染み入ってくる伸びやかな声だと思うんだけど、そう言うのってプロモーションが難しいんだよね。大ヒットするはずもないし」
おっちゃん「そんな歌手が活動を続けていける余地が出来たんなら、SMやYGのような事務所には出来ない戦略も展開していける訳で、JYPならではの個性が認められる時代が来るかもしれん」
客「そやな、JYPの未来は明るい」
おっちゃん「師匠さえ介入してこなければな」
客「(がくっ)そこだよなぁ」
ミンジュ「大丈夫や。師匠は師匠で、自分の活動で忙しく、他人にちょっかい出す余裕はなさそうやから」

J.Y. Park『どっこい生きてるで』

おっちゃん「相変わらずやなぁ(呆)」
客「自分大好きか、なるほど」
ミンジュ「こんな時代に在籍しとったら、ウチも移籍せずに済んだかも(しみじみ)」
おっちゃん「まぁまぁ。さ、今後のJYPを祝して乾杯でもしますか」
客「お、ええですな」
おっちゃん「ほな…」
おっちゃん/客「ルネッサーンス!(チ~ン)」
ミンジュ「やると思った…(渋)」

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