ヨーロッパ企画・上田誠氏のお父様・昇氏が死去、劇団の“聖地”上田製菓本舗は営業終了
上田昇氏@「上田製菓本舗」(手前に「カフェ de 念力」装置)
“京都の懐かしのお菓子”の製造・販売を営んでいた「上田製菓本舗」店主、上田昇氏が、去る6月10日に亡くなった。上田昇氏の長男は、劇団「ヨーロッパ企画」を主宰する脚本家・演出家の上田誠氏。誠氏は6月25日、劇団の掲示板「ヨーロッパ日記」に次のように記した。
私ごとで恐縮なのですが、僕の父・上田昇がこのたび逝去しました。6月1日に心停止を起こしたのち、10日になった深夜に息を引き取りました。生前、映像などでお目にかかっていたお客様もおられたかと思い、この場を借りてご報告させていただきます。急なことでしたが、おかげさまで愉しい日々だったかと思います。父に代わってお礼申し上げます、誠にありがとうございました。
また、両親でやっていた上田製菓もこれで営業終了となります。ヨーロッパ企画と関わりも深く、いつも隣で動いていた工場がぽっかり空いてしまっている今ですが、僕らは変わらず、そしてこれまで以上に賑々しくやっていけたらと思っております。日記でこんなことすみません。これからもよろしくお願いいたします。
「上田製菓本舗」入口
「上田製菓本舗」工場内部
誠氏が文中で明らかにしたように、「上田製菓本舗」は営業を終了する。「上田製菓本舗」は昭和8年(1933年)に二条城付近にて創業し、銘菓コンパラスクを代表に、コーヒーサンド、お正月菓子のパサンなどを製造・販売してきた。昇氏は三代目だった。
「上田製菓本舗」の公式サイトには冒頭に次の文章が掲載されている。
お知らせ
いつもご愛顧ありがとうございます。
このたび、急なことですが、店主・上田昇が逝去いたしました。
これに伴いまして、焼菓子の製造をこれまで通り続けるのが難しくなりました。
楽しみにしていただいていたお客様には大変申し訳ありません。
お知らせが遅くなったこと、お詫び申し上げます。
ひとまずこれで、上田製菓の営業は終了とさせていただきます。
発売をお待ちいただいていた周年記念のキーホルダーについては
近日中に販売方法をお知らせいたします。
長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。
上田製菓本舗
筆者が購入したラスク缶
看板商品だったコンパラスク
ヨーロッパ企画は、製菓工場の一角を稽古場兼事務所としていた時期があり、現在も芝居で使われた道具の一部が保管されている。そのため、同劇団のファンの間で工場は“聖地”のひとつとされていた。
筆者は2011年に京都旅行ついでに上田製菓本舗を訪問したことがある。アポなしだったにも係わらず誠氏のご両親には親切に工場内を案内していただいた。上田昇氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
“タイムマシーン”に試乗させていただいた筆者
各種賞状
上田誠氏のお母様
店内には様々なメモリアル品が展示されていた