ブリヂストン美術館からモネ、ピカソも駆け付けた!特別展『石橋美術館物語 1956久留米からはじまる。』レポート

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アート
2016.7.21
特別展『石橋美術館物語 1956久留米からはじまる。』 (c)girls Artalk

特別展『石橋美術館物語 1956久留米からはじまる。』 (c)girls Artalk

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青木繁、坂本繁二郎、古賀春江ら、名立たる洋画家たちを生んだ街・福岡県久留米市。今から60年前、東西の名画を観られる美術館としてこの地に開館した石橋美術館が、この秋より「久留米市美術館」へ名称がと変わるという知らせが耳に入った。

石橋美術館という名では最後となる特別展『石橋美術館物語 1956久留米からはじまる。』には、青木繁や坂本繁二郎ら久留米出身の画家たちの作品に加え、現在休館中のブリヂストン美術館から、セザンヌ、ピカソ、ルノワール、モネらの絵画たちも出品されている。これまでの60年の歩みをたどる『石橋美術館物語』とはどんなものだろうか。豪華な顔ぶれを一目見ようと、久留米市に向かった。

(C)girls Artalk

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空へとのびる入道雲が夏を想わせる午後。石橋美術館のある石橋文化センターの庭園には大きな噴水があり、訪問者たちに束の間の涼を与えてくれる。美しい庭園のある自然豊かな美術館とあって、この日も訪れた人々は思い思いに休日を過ごしていた。

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今回の『石橋美術館物語』を先導する学芸員の森智志さんは「紹介したい作品が沢山ありすぎるんです」と語る。選りすぐりの作品の顔ぶれからは、学芸員たちが60年記念へかける気合が感じられる。

本展は、7つの章に分かれている。第1章「東西の名画を」では、ここ石橋美術館の開館記念展を訪れた人々が選んだ、人気ベスト8の作品たちが迎えてくれる。

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青木繁の《天平時代》、ポール・セザンヌの《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》に加え、開館時に作られた目録の表紙を飾ったパブロ・ピカソの《女の顔》が、当時の目録とともに飾られている。開館当時の新聞の切り抜きや写真から、訪れた人たちは60年前へと思いを馳せることができる。

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》/石橋財団ブリヂストン美術館蔵

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》/石橋財団ブリヂストン美術館蔵

 

第2章「より多くの人に」では藤島武二の作品をはじめ、石橋美術館を代表する作品がならぶ。また、第3章では久留米の画家・坂本繁二郎の作品をめぐる構成となっている。石橋美術館の創設者である石橋正二郎は、高等小学校時代に教師であった坂本繁二郎に図画を学んだ過去があるという。ここでは、坂本繁二郎がフランス留学していた時代に描いた作品《帽子を持てる女》をはじめ、八女移住後に取り組んだ馬をテーマにした《放牧三馬》や《窓の馬》などの作品が観られる。

坂本繁二郎《放牧三馬》/石橋財団石橋美術館蔵

坂本繁二郎《放牧三馬》/石橋財団石橋美術館蔵

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また第4章では、日本の近代で初めて国の重要文化財に指定された青木繁の代表作《海の幸》、今回の展覧会のメインビジュアルでもある《わだつみのいろこの宮》が必見の品といえよう。

青木繁《海の幸》/石橋財団石橋美術館蔵

青木繁《海の幸》/石橋財団石橋美術館蔵

青木繁《わだつみのいろこの宮》/石橋財団石橋美術館蔵

青木繁《わだつみのいろこの宮》/石橋財団石橋美術館蔵

フィナーレの第7章「ともに楽しむ」では、クロード・モネ《睡蓮の池》や、石橋財団によって修復され見事によみがえった松本豊太《二人の少女》、藤田嗣治《横たわる女と猫》が並んでいる姿を見ることができる。

日本美術史において色褪せない輝きを放ち続ける青木繁と、坂本繁二郎を生んだ久留米という街。彼らが生まれたこの場所で、彼らの作品とともに60年という年月を歩んできた石橋美術館が贈る最後の“物語”が、この夏あなたを待っている。

 

 

文 ・撮影=永田菜海

 

展覧会情報
特別展    石橋美術館物語 1956久留米からはじまる。
会期:2016年7月2日(土)~8月28日(日)
休館日:毎週月曜日(7月18日、8月15日は開館)
開館時間:10時~17時(入館は16:30まで)
会場:石橋美術館 (839-0862 福岡県久留米市野中町1015)
入館料:一般800円(600円)、シニア600円(500円)、大高生500円(400円)、中学生以下無料
※( )内は団体料金、シニアは65歳以上
※前売券はぴあ、ローソン取扱い店などにて500円で販売 (Pコード767-240)、Lコード85093)
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