高木万平・心平ら若手俳優と阪東妻三郎、伊東四朗ら伝説的な俳優たちの共通点とは?『昭和最強高校伝 國士参上!!』公開記念イベントレポート
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左から、高瀬将嗣監督、高木万平、高木心平、山根和馬、脇知弘、久田将義氏
映画『昭和高校最強伝 國士参上!!』の1話、2話が渋谷ユーロライブにて公開中だ。同作は1970年代の東京を舞台に、“世田谷の皇士舘”とライバル“十条の高麗学園”、2つの不良高校による血で血を洗う抗争を、壮絶なアクションとコメディドラマで描いた娯楽活劇。劇中で繰り広げられる日常や喧嘩の数々は、当時に実際に起きた2つの学校による抗争のさなかにあった高瀬将嗣監督の実体験にもとづくものである。不良たちが身に着けるジャバラの学ランもモデルとなった学生たちが着ていたものを使用し、剃りこみやアイパーなどの髪型も完全に再現し、当時のツッパリたちのすべてをリアルに映像化することにこだわった意欲作である。
ここでは、8月4日に渋谷ロフト9にて開催された同作の公開記念トークショーのもようをレポートする。イベントには、主人公・小川錦市役の高木心平・万平、皇士舘一年の番長・阪東靖国役の山根和馬、「フカシの帝王」富田仲次役・脇知弘、皇士舘教師・牧野省三郎役の秋野太作、そして高瀬将嗣監督が登壇した。若手俳優たちは、観たこともない昭和の時代をどう演じたのか?そして、『ビーバップ・ハイスクール』『あぶない刑事』シリーズといった昭和のアクション映画に殺陣師として携わってきた高瀬監督は、彼らをどう演出したのか? この記事では当時と現在の俳優陣を結ぶポイントにフォーカスしてお送りする。イベントの進行は、東京ブレイキングニュース編集長の久田将義氏。
「全員が台本全部を頭に入れてきた」名優・秋野太作が絶賛する撮影現場
高瀬監督:まず台本を読んだときにどういう印象をもったのか、演じるにあたってどういう心構えが必要だったのかをキャストのみなさんにうかがっていきましょう。
万平:小川錦市という役をいただいたのは、たしかクランクインの半年くらい前でした。高瀬監督はすごく尊敬している監督の一人なので、背筋が伸びたというか、うれしかったです。それと、以前『疾風虹丸組』という映画でご一緒させていただいたので、今の自分を見せるチャンスだと思いました。題材が昭和の不良ということで、ぼくたちの時代とは全然ちがう。監督の青春でもあるということで、すごく興味が湧きました。
高瀬監督:わたしたちは不良という意識はなかったですよ! しっかりと硬派の看板を背負っていたので、不良と呼ばれるのは忸怩たる思いがあります(笑)。
万平:(笑) 道場で監督とご飯を食べさせていただいたときに、当時のいろんな話を聞かせていただいて、セクシーだと思ったんです。男として必要なものを持っていた人たちがぶつかり合って、プライドや意地やいろんなものを賭けて喧嘩をするっていうのが、すごくかっこいいと。もちろん、いろんなツッパリ映画もチェックしましたし、学ランも監督が士舘時代に着てらっしゃったものだったので、筋のある男を演じようと撮影中も稽古中も気持ちとしては切らせたことはなかったです。自分が出られてよかったと心から思える作品ですね。
高木万平
心平:ぼくはまずタイトル(『昭和高校最強伝 國士参上!!』)を見て驚きました。「殺されるんじゃないか?」と思うくらい迫力のあるタイトルだったので。内容を読んでからは、また監督からお仕事をいただけたということが嬉しかったのと、監督の青春時代をほんとにぼくらが演じられるられるだろうか、という不安はありました。ぼくは『虹丸組』に少しだけ出演させてもらったんですが、そのときに監督にすごく怖いイメージをもっていていたので、「心していかないとヤバい」と万平と話していて。でも、台本を見ると、今までやったことのない二人で一人の役をやるお話だったので、すごく楽しみになりました。双子ですけど生きている時間は違うので、万平とはまた違う小川錦市を演じていくことを一番大事にしました。あと、万平の出番がめちゃくちゃ多いのがめちゃくちゃ悔しかったです。「(台本の)読み合わせ付き合ってよ」と万平に言われるんですけど、めっちゃくちゃやりたくなくて……「おれにやらせろよ!」みたいな感じはありましたね。
万平:おれも台本をみたときに、「心平、くやしいだろうな」と思ったけどさ。
心平:けどさ、じゃねえよ(笑)。だけど、自分にできる仕事ってあるし。最初は万平と競いましたけど、だんだん気持ちが変わって、この時間だからこそ作れる何かがあると思って現場に入って、役作りをしました。
高木心平
高瀬監督:二人一役の意味は二人ともよく理解してくれたんですが、とくに心平くんはそうだったな、と思います。映画では小川錦市の中学生時代から始まって、高校生になる1年弱の成長を見せたかった。中学時代の小川錦市はある種チャーミングであってほしくて、それがもまれてどんどんヘビーになる高校時代の万平につなげたかったんです。これをきちっと理解してくれたんです。PART1の冒頭や、PART2の中に非常に重要なイメージのシーンをご覧いただければ、二人の存在意義というのがわかります。二人も含めて、今回のキャスティングでは失敗はひとつもなかった。みなさん思い通りのキャラクターを脚本にのっとって描いてくれているんです。山根くんなんか、チャラさが微塵もない、渋い渋い男前の役で。スタッフの中では「彼は一番おいしい役をやってるよね」と。
劇中での山根和馬(阪東靖国役)
山根:ぼくたち役者は歳を重ねていくと絶対に演じられない役が自動的に増えてくるんです。できる役も増えていくんですけど、学生の役にはどこかで限界がやってくる。だから、できる限り学生の役をやっておきたい。今回の台本を読んだときに、まだイケるということを証明しようと思いました。ぼくは今までの作品の九割くらいは“悪い”役を演じていて、「オラ!」みたいなキャラクターが多かったんです。でも今回は内容もエグイシーンがいっぱいあるわけじゃなくて、心情味あふれる話なので、悪いというよりはひとつ筋の通った役を演じられればいいなと思いました。監督とは『虹丸組』でもご一緒させていただいたんですが、ぼくが「こういう風にやりたいです」とガンガン言うとそれを取り入れてくれたり、話し合ってくれる方という印象があったので、できる限りやれることを挑戦していこうという気持ちでした。
山根和馬
脇:ぼくは、台本の最初のほうに「地元から新宿までをすべてシメていた」というセリフがあったので、「こんなアタマの役とかやったことないぞ」とワクワクしながら読んでいました。髪型も「二グロ」と書いてあったので、「気合の入ったヤンキーだな!」と思って。でも読んでいくうちに、だんだんしょぼい口だけの役になってきまして(笑)。最初は「おれっぽくないな」と思ってたんですが、読んでいくうちに「これ、おれだよ」と内心ほっとしたので、さすがは監督!と思いました。ぼくは今年36歳になるので、「まだ高校生ができるんだな」というのもあったんですが。
脇知弘
高瀬監督:小川錦市、阪東靖国、富田仲次、この3人の名前には共通性があるんです。小川錦市は、萬屋錦之介、中村錦之助の本名の小川錦一からとっているんですね。中村錦之助の演じた一心太助のようなキャラクターで演じてほしいという思いで小川錦市にしたんです。「神田のやっちん」こと阪東靖国の阪東は、今は田村正和さんのお父さんと言ったほうがとおりがいいかもしれないですが……戦前戦後を通じて時代劇最大のスターと言われた阪東妻三郎からとりました。富田仲次は富田仲次郎というバイプレイヤーの俳優さんからです。時代劇でヤクザや旗本としてブイブイ言わせて出てくるんですけど、中村錦之助や主人公に必ずメタメタにやられてしまう。これは脇くんに演じてもらうしかないな、と思ったんです。そして、秋野太作さんの牧野省三郎は、「郎」の字をとると、牧野省三になるんです。牧野省三は「日本映画の父」と言われる、日本で初めて劇映画を監督した人で、阪東妻三郎を育てたということで有名なんですね。
秋野太作
秋野:それほど素晴らしい役とは思わずに演じてしまいました(笑)。ほんとに申し訳ない。みなさんの話を聞いていて、もっともだと思うんです。台本をもらうたびにワクワクして、自分の役がどんな役か、どうやったらいいのか、自分にあってるのかな、とかね。でも、ぼくくらいの歳になってくると、全体が気になるのよ、世界観が。この台本を読んだとき……本人を前にして言いにくいんだけどね、「いい脚本だな」と思ったんだよ。読む人によっていろいろとり方があるんだろうな、と。それに、予告編ではいきなり日章旗が出て、あの音楽だからさ……すごい世界だと思うでしょ? 偏ってるように思うんだけど、これが偏ってないんだよね。中庸という言葉があるけど……右にも左にも偏らない、このへんのバランス感覚がすごいんだよ。そして、素材としてもすごくユニーク。家庭なんか何も出てこない、学校だけの狭い世界を描いてるのに、けっこう青春モノとしても観られる。普遍的なものがあるし、面白いと思ったんだよ。だけどね、だんだん話を聞いていくうちに……前後編でどう見たって3時間以上の作品になるのに、たった9日で撮るって言うんだよ!
一同:(笑)
秋野:何を考えてんだろうと思いましたよ。でも、(高瀬監督は)またこれが要領がいいの。9日って言ったって、昼間はそんなにないから、実働時間はそんなにない。冬だから、撮れるのは夕方の4時くらいまでなんだよ。それも昼間のシーンばっかりで、夜のシーンがあまりない。それで9日で撮るっていうんだから。でも、撮り終わってから、「この人は相当いろんなところで揉まれてきたんだろうな」と思った。詳しく聞いたことはないけども、いろんな現場でいろんな思いをして、いい意味で要領の良さを身につけたんだと思って。今はとてもびっくりしているし、尊敬しています。
高瀬監督:おっしゃっていただいたように、冬場のデイシーンというのは夕方の4時くらいまでしか撮れない。基本的に高校生のお話ですから、ナイターが少ないんですよ。そうすると、実質1日の実働時間がインドアを含めてせいぜい10時間前後。しかも、ロケセットだと費用が上がっていくので、時間がさらに限られてくる。それでも成立したのは、俳優さんが誰一人現場に台本を持ってこなかったからなんです。全部(頭にセリフを)入れてきた。Vシネなんかを撮っていますと、自分のぶんだけ台本をコピーして現場に持ってくる俳優さんもいます。でも今回は、若手のみなさんには、「台本を全部頭に入れて、なおかつテストは2回まで。本番はNGも2回まで。それをオーバーしたら、スタッフ・キャスト全員を叙々苑に招待するように」というプレッシャーをかけたところ、誰もNGを出しませんでした。本当に今回の俳優部には感謝しています。そのうえで秋野さんにはお詫びをしないといけない。さんざんお褒めいただきましたけども、秋野さんがご出演される日は非常にタイトなスケジュールで、どんどん前のシーンが出番に食い込んでいった。仕方がないので、「3ページあった分の1ページ半を切らせて下さい」とお願いしたんです。きっちりリズムで覚えていただいているものを抜くのはすごく負担をかけるし、無礼なことなんですけど。秋野さんは「おっしゃる通りにやりましょう」と、見事にクリアされて。本当に秋野さんには、この場を借りて深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
秋野は「22時には寝る」とのことで途中で帰宅
秋野:まあ、セリフが増えるわけじゃないから。減るんだから楽なんだよ。
一同:(笑)
秋野:減らし方も要領がいいんだよ。セリフは必要なところだけ残して、画があれば説明できるところは画でいい。そのカットの仕方が巧いんだよね。ヨイショしてるみたいに聞こえるかもしれないけど、そうじゃないんだ。だって、9日間で3時間ぶん撮るって相当なことだよ、これ。だいたい現場が混乱するに決まってるのに、サラッと撮っちゃうんだから。これは才能です。頭の良さです。ぼくはね、才能の無い人が嫌いなの。
一同:(笑)
秋野:才能がある人と付き合うほうが楽なんだもの。才能のないヤツと付き合うと大変。時間ばかりかかって、ウダウダウダウダ文句言われて、朝から晩まで寝ないで4日間くらい徹夜でやって、フラフラになっちゃう仕事がいっぱいあるんだから。(高瀬監督は)ちゃんと寝かしてくれるし、夕方には帰してくれるんで。
高瀬監督:秋野さん、これから9日で3時間の仕事しかこなくなっちゃいますから……わたしはわたしなりに大変だったんです(笑)。
阪東妻三郎と同じ方法?若手俳優たちの意外なセリフの覚え方
イベントでは、お気に入りのセリフの読み上げコーナーも
久田:現場に台本を持ってこなかったと聞きましたが、セリフはどのように覚えられますか? という質問がお客さまから来ています。
万平:ぼくの場合はそのシーンを想像しながら読みますね。何度も何度も読んで、自分の中に入れて、かつそこにで何が出せるか、台本にない部分を付け足して反復して。たまに心平や友達の役者に手伝ってもらったりして覚えます。
高瀬監督:読むというのは、黙読じゃなくて音読?
万平:音読です。声に出して。
高瀬監督:スタンダードですね。心平くんは?
心平:ぼくはまず台本全部を2回くらい黙読で読みます。そして、自分のシーンの黙読を10回くらいして、最後は音読ですね。書いたりはしないです。目で流れを覚えると、その言葉にも慣れてくる。居酒屋の店員さんに、「ちょっといいですか?」ってセリフを言ってもらったりもします。
高瀬監督:居酒屋の店員さんに!?
心平:「いいよ」っていうセリフも、「いやいや、いいよ」と言う場合とか、いろんな言い方があると思うんです。いろんな人のとらえ方を知りたくて、居酒屋の店員さんに「ちょっと、『いいよ』って言ってもらっていいですか?」って聞いて。
一同:(笑)
心平:いろいろあるじゃん! 自分だけの考えにとらわれて(視野が)狭くなるのがいやで、いろんな人と触れ合うのが大事な人生です!
山根:ぼくはセリフをノートに書きますね。ノートに書いて、それを見ながら読む。多少覚えられたら、誰かに(相手役を)やってもらう。時間があるときは、例えば2人だったら、自分じゃない役を自分がやる。相手が言ってることが自分のセリフになんですけど、意外に人が言っているのを聞くと覚えられる。まあ、時間があるときですけどね。自分だけじゃなくて、相手が言うのを聞くためにそうします。
高瀬監督:山根くんのセリフの覚え方は初めて聞きましたが、それは極めてスタンダードな方法のひとつですね。奇しくも阪東靖国の役名の元になった阪東妻三郎は、自分の出るシークエンスのセリフを、相手のものもふくめて書いて、それを部屋に貼って音読しながら、歩きながら覚える。その間は誰も部屋に入れない。そして、阪妻もやっぱり現場に台本を持ってこない。自分のセリフだけ覚えているとキャッチボールができないんですよ。そうではなくて、あくまでセリフは自分がこう言いました、相手はこう返してくる、だから自分はこうだというもの。よく、三点リーダ(…)というのを見かけますが、これも‟間”というセリフなんです。あれをすぐにはしょって相手のセリフを食ったりすると、全体のリズムが壊れる。そこまで含めて阪妻は覚えていたんです。こんな古典的な方法を若い山根くんが踏襲しているのを知って、ちょっとびっくりしました。真面目な話ですけど、大事なことですよ。ということで、真面目じゃない役をやった脇くんはどうですか?
脇:ぼくも真面目に覚えてますよ(笑)。まず全体を読んだあとに、教室のシーンだとか、外のシーンだとか、自分のセリフの部分にそれぞれのシーンで決めた色を塗るんです。「ここは青だったな」と思い出せるように。だいたい寝る前に覚えて、次の日の朝には忘れているところを反復して覚える。そこから歩きながら自分のセリフを言ったり、相手のセリフを想像して返す、という練習をしています。
高瀬監督:歩いて覚える俳優さんは多いですよ。伊東四朗さんもそうですよね。あの方は読み合わせのときには台本を持ってこないで、置いたまま開けないというので有名なんです。毎朝ウォーキングしながら反復してセリフを全部頭の中に入れてしまう。歩かないと頭に入らないとおっしゃっていましたね。
階段落ちで顔が真っ青に……『昭和最強高校伝 國士参上!!』アクションの裏側
万平の階段落ちシーン
久田;これはぼくが聞きたかったんことなんですが、アクションは相当準備されたんでしょうか?
万平:クランクイン前に監督の道場に通わせていただいて、本番の手順をつけていただきました。今となっては思い出なんですけど、辻本(祐樹)さんとのシーンで、アクションで転がる場面があるんです。道場の練習で転がりまくっていたら、ちょっと三半規管が弱いのか、トイレに行くことになって……。「これは言うべきじゃない」と我慢してたんですけど、顔色が真っ白になっていてたので、監督に言ってトイレに籠って。「大丈夫です」って始めたら、また吐いちゃって……監督の家のベッドで寝るという(笑)。その後、タクシーで家に帰って、タクシー代まで監督に払わせてしまいました(苦笑)。でも、その帰りにいただいたオニギリは人生で一番美味かったです! 6つくらいもらったんですが、美味すぎて全部食べたんです。それくらい染みたというか……。
心平:オニギリの話になってるじゃん! すごいなお前(笑)。
久田:(笑) 監督の波濤流は格闘技とはまた違いますよね。
アクションはすべてリアルヒッティングスタイル(マジ当て)で撮影
高瀬監督:アクションというのはダンスですよ。殺陣・チャンバラは日舞・踊りですよね。全部振付けが決まってるわけですから、台本にあるセリフの応酬と同じ。それをいかに予定調和に見せず、自然に見せるかは俳優さんの力です。今回のメンバーはそれを全部うまく反映させてくれました。でも、気の毒だったのが心平くんです。冒頭のビリヤード場の下りは、そのままアクションに移行するはずだったんです。でも、どんどん場所を借りていられる時間が迫ってきたので、全員がボールやキューを持ったアクションの寸前のところで終わっちゃうんです。心平くんは落ち込んじゃいまして。相手がハマの狂犬こと黒石高広くん(『THE OUTSIDER』などで活躍した元格闘家・俳優)で、二人で一生懸命ガチンコのアクションを練習したのに、それをずっぽりカットすることになった。もう干からびたナメクジみたいに落ち込んじゃって。そしたら、黒石くんが「自分は京都の撮影と重なってるんですけど、この日のこの時間だったら一緒にやります!」と、ある日の午前中だけ予定を空けてくれたんです。そこでその部分のアクションを全部撮ったんですが、いいアクションしてますよ。発展途上の小川錦市がちゃんと描けている。あのアクションがないとスカスカになっちゃう。それから、PART1では(万平の)階段落ちのシーンが出てくるんですけど……階段落ちは、(俳優につける)プロテクターを組むのに時間がかかるんですよ。だから、「そうだ。これは心平くんがやってくれたら、万平くんはプロテクターつけなくていいよね」って言ったら、心平くんは「万平、お前がやれよ」って(笑)。
心平:「それは話が違う。階段はお前だ」ってね(笑)。
高瀬監督;階段落ちるまでに、(万平の)顔色がみるみるうちにローソクみたいに真っ青になっていって(笑)。どんなシーンかは本編をご覧になってください。では、最後に俳優陣からお客様に一言ずつ、お願いします。
脇:今までの話を聞いただけでも興味は湧いたと思うので、この勢いを大事に観にきてください。よろしくお願いします!
山根;今は「この映画はこれだけお金をかけて、こんなにCGを使ってる」っていう風潮にはすごい違和感あるんで。そのせいで雑になったりというのもあるので、本当に大事なのは、気持ちとか、何を伝えたいか、ということ。この作品はスタッフとキャストがそういうことじゃなく、必死に頑張った作品だから、観れば何か伝わると思います。やっているほうも、この作品に関わってよかったと思える。そういう意味で、この現代に大事な作品を作れたんじゃないかと思います。みなさんにも手伝っていただいて、みんなで広げて、できる限りのことはしたいと思いますので、よろしくお願いします。
心平:今年の1月からスタートしましたが、監督はずっと前から準備して、本当にたくさんの思いをかけてクランクインした作品です。この時代・時間を現代に持ってくるために誰一人妥協していないし、怖がっていないと思います。今の時代の人たちが忘れかけているものがたくさん詰まっています。タイトルは怖いんですけど、中はとても熱くて笑えて、最後はスカッとした気持ちで帰れる作品になっていますし、ぼくにとっても宝物です。お時間のある方は一度見ても二度見ても、また新たな発見があるので、何度も足を運んでいただいても楽しめます。公開がスタートしても、作品はまだまだ続いていくので、ぜひ皆さんの力を貸していただいて、この作品を盛り上げていけたらと思っております。ありがとうございました。
万平:心平も言ったように、監督の熱くて大きな思いが詰まったところからスタートして、キャスト全員がひとつになった。男臭い妥協ひとつない現場で真ん中に立てたということは自分にとってすごく誇りです。この作品は自分の役者人生だけじゃなく、人生において大いものになったと思います。役者は作品が終わったら次の作品へ進むものなんですけど、今までいろんな作品をやらせていただいた中でも、ここまでプライベートで自分で動いたことがないくらい作品のために動いてます。おれは公開が始まっても、この作品が終わるまで、そして次につながるように全力で魂を込めて小川錦市として動いていきたいと思いますので、ぜひ皆さんたくさんの人を呼んで映画を見せてください。で、感想をいろんな人に話して、ポケモンGOブームに勝つくらいのブームを起こして、監督や道場のみなさんにもお返ししたいと思っていますので、ぜひ皆さんも力を貸してください。今日はありがとうございました。
高瀬監督:重複になりますが、この作品では俳優部が頑張ってくれました。これは偽りのないところで、ご覧いただければ彼らの健闘ぶり奮闘ぶりが本当に伝わります。ご覧になっていただいて後味の悪い作品ではありません。先ほど山根くんが言ってくれたように、大きな予算で、たくさんのCGを駆使しなくても鑑賞に耐えるドラマにしました。これを支えていただくのは、今後の皆さまのご感想だと思います。下駄をはかせてくれとはいいません。ただ、本当に俳優部の健闘を観てあげてください。そこに打たれる思いが必ずあると思います。重ねて、本日足をお運びいただいた皆様に御礼申し上げます。本日はありがとうございました!
イベントでは劇中で使用された学ランも展示された 左から2番目の脇が着用したものだけ特注品、そのほかは‟士舘”OBのもの
今回のイベントでは、俳優陣の役作りや撮影裏話の一部をお伝えした。現在発売中の高瀬監督の著書『技斗番長活劇戦記 実録日本アクション闘争記』では、同作を製作するまでに歩んできた殺陣師・監督としての人生、秋野太作が絶賛したわずか9日間での撮影の壮絶な裏側なども詳細に描かれている。そのほか、『ビーバップ・ハイスクール』で苦楽をともにした故・那須博之監督の『デビルマン』こぼれ話や、SPICEでもレポートした日本俳優連盟アクション部会の逸話も収録。読めばさらに『昭和最強高校伝 國士参上!!』が描いた、高瀬監督の半生が楽しめるはずだ。
『昭和最強高校伝 國士参上!!』渋谷ユーロライブでの上映は残りわずかながら、まだまだゲストが登壇するもよう。少しでも気になった方は、スクリーンで昭和のツッパリたちの熱い青春を体感してみてはいかがだろうか?
【キャスト】
上映概要
日程:2016年8月6日(土)~11日(祝・木)
◎土日祝
第一話13:30~/17:30~/20:40~
第二話15:10~※/19:10~
◎平日
第一話15:00~/18:10~
第二話13:30~/16:40~/19:50※
【
券種:シングル(S:1回鑑賞)ダブル(W:1話2話連続割引)
当日券(S)1,800円(W)2,800円
特別割引:1.000円(高校生以下、60歳以上)
問合せメール:ガイズエンタテインメント guys@takase-dojo.com
発売中
著者:高瀬 将嗣
ISBN 9784800310200
判型・ページ数 4-6・280ページ
定価 本体1,500円+税
第二章 男たちの『ビー・バップ・ハイスクール』
第三章 日本の活劇を支えたすごい殺陣師たち
第四章 アクションは武道ではない!
第五章 刑事ドラマとテレビ活劇
第六章 Vシネマと新たなアクションの時代
第七章 スクリーンの外で待つ闘い
第八章 平成の世に不良の矜持を!
『ビー・バップ・ハイスクール』『あぶない刑事』など過激なアクションを作り続け、日本俳優連合でアクションにかかわるすべての人たちを支え、監督作『昭和最強高校伝 國士参上!!』の公開も控える、元不良少年映画監督の矜持を見よ!