福原美穂×JASMINE 『SOUL CAMP 2016』の見どころをアーティスト目線で掘り下げてみた
福原美穂×JASMINE 撮影=鈴木恵
ジル・スコット、ネリー、マックルモア&ライアン・ルイスなど、ソウル/ヒップホップシーンの豪華アーティストたちが集う『SOUL CAMP 2016』。初開催となった昨年の豊洲エリアから、今年は横浜赤レンガ野外特設ステージに会場を移し9月18日(日)に開催されるこのイベントの、見どころや注目アーティスト、さらに音楽フェスの意外な(?)楽しみ方を、福原美穂とJASMINEの二人にアーティスト目線で語ってもらった。
――福原さんは昨年開催された『SOUL CAMP 2015』に行かれたそうですね。
福原:私は2日目のローリン(・ヒル)が出た日に行きました。ただ、ローリンはあまり長い時間ライブをやらないという噂を聞いていたので30分くらいで会場を出ちゃったんですよ。そしたら最後までいた友人に「そのあとも1時間くらいやったんだよ」って言われて、すごく後悔しました(笑)。
JASMINE:私は去年は行けなかったんですよ。
――じゃあ、今年も開催されるというニュースを聞いたときは?
JASMINE:超行きたい! 超行きたい! 超行きたい! って思いました(笑)。
福原:今年もラインナップが豪華ですよね。去年行ったときに、こういう音楽のファンがこんなにいるんだってびっくりしたんです。熱いお客さんが多くて、ローリンのライブもお客さんが盛り上げてる印象があったから、今年もそういう方がたくさん集まるんだろうなと思うと、きっと盛り上がるんだろうなって。
――今回は野外での開催ですから、開放感もあるでしょうし。
福原:そうですね。野外だから子供たちが遊べるようなスペースがいっぱいあるだろうし、近くにショッピングモールもあるから家族連れには良い環境だと思いますね。最寄り駅からも全然歩ける距離だし。
――出演者の中で、お二人が注目するアーティストは?
JASMINE:私はネリーを聴いて育ってるんです。ネリーは中学生のときに、給食の時間にバンバン流れてたので。
福原:学校で? すごいね、それ(笑)。
――放送委員がお昼休みに流してたんですか?
JASMINE:私が放送委員だったんです(笑)。当時ヒップホップが流行ってたので、私が流し始めたら、後輩がそれを受け継いで「じゃあ、お昼休みは絶対洋楽で」っていう感じになって。
ネリーはDJセットなのか、バンド編成なのか。「Dilemma feat. Kelly Rowland」をやったら絶対盛り上がりますよね。(福原)
――今回の『SOUL CAMP 2016』で聴きたいネリーの曲は?
JASMINE:「Dilemma feat. Kelly Rowland」です。でも、ケリー(・ローランド)の部分は再現できないから、ワガママは言わないですけど。
福原:ネリーはDJセットなのかな、それともバンド編成なのかな。バンドだったらケリーの部分をコーラスの人が歌うこともできるし、「Dilemma~」をやったら絶対盛り上がりますよね。
JASMINE:ジル・スコットがラッパーとコラボしてる曲もメチャクチャかっこいいんで、こうなったらジル・スコットと「Dilemma~」をやればいいじゃん! って思ったりもしますけどね(笑)。
――日本で夢のコラボが実現っていう(笑)。
JASMINE:あと、ネリーで聴きたいのは「Ride Wit Me」とか「Hot In Herre」とか。
――「Ride Wit Me」が収録されている1stアルバム『Country Grammar』は、先日、累計で1000万枚を突破したそうですが、ネリーは2000年にデビューしていきなりブレイクしましたよね。“ヒップホップ王子”なんて呼ばれたりもしてたし。
JASMINE:新しかったんですよね。歌メロラップみたいな感じの先駆けで。
福原:すごい人気でしたもんね。当時のネリーとケリーの感じは、今のドレイクとリアーナみたいな感じかも。日本でも「Dilemma~」はメッチャ流れてたし、みんな着うたとかにしてましたよね。
JASMINE:周りの男子はみんなドゥーラグとかヘッドバンドとかジャージのセットアップを着ていて、ネリーの影響も大きかったと思います。私もその頃、ネリーのアーティスト写真を切り抜いて教科書に貼ってました。授業を聞かないで、ネリーを眺めてた(笑)。
福原:今回、直接会えるチャンスがあったら写真を撮らせてもらいたいね。
JASMINE:えーっ! そんなことできたら、たぶん死んじゃいます(笑)。
福原美穂×JASMINE 撮影=鈴木恵
――福原さんが今回注目しているアクトは?
福原:ジル・スコットですね。最近は、よりアレサ(・フランクリン)っぽくなってきてオールドソウルな感じも出てきてるし、最新作の『Woman』も良かったので、今すごく観たいんです。セルフプロデュースに長けてる人だと思うし、コンセプチュアルなもの作りをする人だから、ステージを観たら刺激や影響を受けるだろうなって思います。
――ジル・スコットの音楽との出会いは?
福原:「Golden」ですね。最初に聴いたとき、「なんだこの人?」って衝撃でした。当時はエリカ・バドゥとか、ねっとり歌う人が多かった中で、パワー系ボーカルの人が出てきたからすごく目立って。「Golden」はすごくかっこよかったし、今聴いても古くないと思います。
――じゃあ、「Golden」は演奏して欲しいですね。
福原:それも聴きたいし、あとは新作に入ってる「Run Run Run」っていう曲も聴きたいですね。その曲にインスピレーションを受けて作った自分の曲もあるくらいで、すごくかっこいい曲なんです。
JASMINE:ジルは声がきれいですよね。中学生のときに好きだった映画の主題歌をジル・スコットが歌ってたんです。『セイヴ・ザ・ラスト・ダンス』っていう映画なんですけど。
――ダンサーを目指す白人の少女と黒人の青年の友情を描いた物語ですね。
JASMINE:肌の色の違いについて歌ってる曲なんですけど、最初は誰が歌ってるか知らずに聴いてたらジル・スコットだったっていう。私はそこで彼女の名前を知って聴くようになったんです。
ブラックミュージックには壁や障害を乗り越える強さ、陰の部分があるゆえのパワーを感じるので、今回もそういうパワーやメッセージ性に期待してます。(JASMINE)
――その他に注目してるアーティストは?
福原:マックルモア&ライアン・ルイスですね。映像でしかライブを観たことがないので生で観たいなって。あとは、アリ・シャヒード(・ムハマド)。アリの顔が好きなので、ぜひ会いたいなと(笑)。
JASMINE:顔で好きになるって、ありますよね(笑)。私もマックルモア&ライアン・ルイスは気になります。渋谷AXに彼らのライブを観に行ったこともあるし。
――2014年の初来日ライブですね。
JASMINE:彼らは同性愛を支持する「Same Love」っていう曲を歌ってますけど、私はブラックミュージックに壁とか障害を乗り越える強さ、ちょっと陰とか影の部分があるゆえのパワーを感じるんです。今回のライブでもそういうパワーとかメッセージ性に期待してます。
福原:私は「Thrift Shop」をYouTubeで観て彼らのことを知ったんです。「Thrift Shop」は古着の歌だけど、彼らは表現に独特のユーモアがあるところが好きですね。ホーンセクションを入れたバンド編成でライブをやるという噂を聞いたので、そのあたりも楽しみにしてます。
JASMINE 撮影=鈴木恵
私たち世代の人も、この機会にこれまで聴いたことのないアーティストのライブを観たり聴いたりして、自分の中にない新しい価値観を見つけられるといいんじゃないかな。
――ライブアクトにはもう1組、ジャングル・ブラザーズが登場します。彼らは、'88年に1stアルバム『Straight Out The Jungle』を出している息の長いグループですが、お二人はご存じですか?
福原:私は'87年生まれだから全然リアルタイムじゃないんですよ。
JASMINE:私は'89年生まれだから、生まれてもいない(笑)。
福原:でも、ア・トライブ・コールド・クエストとかナズとか、ヒップホップのドキュメンタリー映画を観ると、影響を受けたアーティストっていう感じで必ずと言っていいほど名前が出てくるんですよね。
――ジャングル・ブラザーズや、今回DJとして登場する面々が在籍していたア・トライブ・コールド・クエスト、ギャングスター、ピート・ロック&CLスムースは、ゴールデンエラと呼ばれる80年代末から90年代初頭のヒップホップシーンで名を馳せた、レジェンド級のグループなんです。
JASMINE:知らないからこそフレッシュだし、観てみたいっていうのはありますね。それに昔からの流れを知ることによって、今の音楽が面白くなることもありますし。私は先輩から勧められて昔の音楽を掘ったこともあるんですけど、その中には当然、好きなものもあれば苦手なものもあったんです。それって自分自身の価値観なわけだから。昔だから良いとか、今だから良いっていうことじゃなくて、自分はどういうものが好きかっていうことを知るのが面白いんですよね。だから、私たちみたいな世代の人も、この機会にこれまで聴いたことのないアーティストのライブを観たり、DJプレイを聴いたりして、自分の中にない新しい価値観を見つけられるといいんじゃないかなと思います。
――そんな伝説のアーティストを小中学生は3000円で観られるのがいいですよね。
JASMINE:3000円!? 安っ!
福原:っていうか、3000円なんだから観て! っていうぐらい。小中学生だったらマックルモア&ライアン・ルイスくらいしか知らないかもしれないけど、彼らもジャングル・ブラザーズとか、そういう90年代のアーティストに影響を受けてビートを作ってるわけですから。そういう関連性で観ても面白いと思うんです。
JASMINE:あと、今はベースミュージックとか、打ち込みの冷たい(聴感の)ヒップホップが当たり前になってるので。そうじゃない時代というか、そうじゃない音があるんだよっていうことを知る機会になればいいですね。
福原美穂 撮影=鈴木恵
バンド内の人間関係を想像するのが好きで、ライブを観ながら「あの人たち、できてるのかな」って勝手に想像したりするんです(笑)。
――ところで、お二人がフェスで楽しみにしているモノは?
JASMINE:ビール!(笑) ビールは普段飲めないんです。だけど、フェスの時期は暑いし、なぜかお酒はビールしか売ってない感じになってて。それでしょうがなく飲んでみると「あれ? 美味しいぞ」って(笑)。それがフェスマジックですね。
福原:私は今回のような野外フェスのときはどこでも横になっちゃうんです(笑)。開放的な空間で音楽を聴けるのが気持ちいいんですよね。
――福原さんは今年出産されましたが、フェスのホスピタリティーについて思うことはありますか?
福原:オムツ替えができるトイレとか授乳室があると嬉しいですね。あと、妊婦さんにはマタニティマークをぜひ付けてもらいたいです。今って大きいお腹を目立たせないようにする洋服もたくさんあるし、「私、妊婦中なんです」って強く言えない人も多かったりすると思うから、外見からはわからなかったりするんですよ。それにトリくらいになるとお酒が入って足元がふらついてる人もいたりするし……。なので、妊婦さんはマタニティマークを付けて、それを見た人は席を譲ったりして、お互い気遣って楽しめるといいなと思います。
――自分流のライブ鑑賞法、楽しみ方はありますか?
福原:私はバンド内の人間関係を想像するのが好きで、ライブを観ながら「あの人たち、できてるのかな」って勝手に想像したりするんです(笑)。
――コーラスの女性とドラマーが怪しいぞ、みたいな。
福原:そうそう。「あ、ずっと見つめ合ってるな」とか(笑)。
JASMINE:それ、面白いですね(笑)。確かにそういうのはあるかも。
福原:長いツアーをやってるとそういうのが出てくると思うんですよ。特に海外アーティストはツアー期間が長いから。
JASMINE:あと、フェスは自分の好きなところで自由に観られるのがいいですよね。
福原:私は必ずPAの近くで観るんです。ライブの音を作ってる人がそこにいるわけだから、その人たちに近いところで観て、聴くっていう。だから大体PAの横か前にいますね。
JASMINE:私はお目当てのアーティストになったら人を掻き分けて、掻き分けて前進っていうタイプですね。「どいてください!」みたいな(笑)。前の方に行くと、そのアーティストが好きな者同士で集まってるからテンションがすごいことになってるんですよ。男の子がいきなり肩車をしてくれることもあるし、うわー!って盛り上がる。そのカオス感を楽しむのが好きですね。
福原:あと、フェスは出会いを探すのもいいんじゃないかなって気がします(笑)。お酒も入ってるし、開放感もあるから。
JASMINE:話が早そうですよね。好きな音楽が一緒だから「いやよ、いやよ」みたいな駆け引きとかなさそうだし。「好き」「私も♡」みたいな(笑)。
取材・文=猪又 孝 撮影=鈴木 恵
福原美穂×JASMINE 撮影=鈴木恵
2016年9月18日(日)横浜赤レンガ野外特設ステージ
<出演>
【LIVE】
マックルモア&ライアン・ルイス/ジル・スコット/ネリー/ジャングル・ブラザーズ
【DJ】
DJ PREMIER/アリ・シャヒード・ムハマド(ア・トライブ・コールド・クエスト)/ピート・ロック
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一般 ¥14,000(税込)
小中学生 ¥3,000(税込)
VIP一般 ¥28,000(税込)
VIP小中学生 ¥6,000(税込)
※VIP特典:専用入場レーン・客席内専用エリア・専用トイレ
※入場時、1ドリンク代500円が別途必要。
※未就学児に関しては、保護者同伴に限り1名まで入場無料。
※出演アーティスト変更による払戻しは致しません。
※雨天決行。
2016年8月28日(日)HARLEM PLUS(東京・渋谷)
OPEN 17:30/START 18:00
<出演>
JASMINE, RISKY DICE, ATTACKDEM,DJ HIPS
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前売り ¥3,000 / 当日 ¥3,500
※ご入場の際、別途ドリンク代(¥500)が必要になります。
<出演>
福原 美穂(Vo) , YANCY (Pf) , 中條卓(Ba / シアターブルック), 川崎昭(Dr / mouse on the keys), 福原望(Cho)
■大阪公演(2days) [ビルボードライブ大阪]
2016年12月1日(木)
[1st] OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd] OPEN 20:30 / START 21:30
[1st] OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd] OPEN 20:30 / START 21:30
■名古屋公演(2days) [ブルーノート名古屋]
2016年12月4日(日)
[1st] OPEN 16:00 / START 17:00
[2nd] OPEN 19:00 / START 20:00
[1st] OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd] OPEN 20:30 / START 21:15
■東京公演 (2days) [ビルボードライブ東京]
2016年12月11日(日)
[1st] OPEN 15:30 / START 16:30
[2nd] OPEN 18:30 / START 19:30
2016年12月12日(月)
[1st] OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd] OPEN 20:30 / START 21:30
■福岡公演 [gate’s7]
2016年12月18日(日)
[1st] OPEN 15:30 / START 16:30
[2nd] OPEN 18:30 / START 19:30
■小樽公演(2days) [小樽GOLDSTONE]
2016年12月24日(土)
[1st] OPEN 15:30 START 16:30
[2nd] OPEN 18:30 START 19:30