高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第300回を壮大に彩る充実の音楽ドラマ

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クラシック
2016.9.10


 いま、高関健&東京シティ・フィルへの注目度が増している。高関の常任指揮者就任披露となった昨年4月のスメタナ「わが祖国」以来、音楽的な充実度の高い公演が続き、特に今年5月のシベリウスの交響曲第7番とマーラー「大地の歌」では、この難プログラムの美感を精緻かつ的確に描いた、密度の濃い名演を展開。機能やサウンド面での進境も示し、群響で証明した高関のオーケストラ・ビルディングの手腕を実感させると同時に、就任2年目のシーズンへの期待を大きくさせた。

 さて、第300回記念演奏会でもある9月の定期では、ベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」が披露される。ゲーテの「ファウスト」を脚色した本作は、大編成の管弦楽に、4人の独唱、6部の合唱と児童合唱を加えた全4部の大作。ドラマ性や迫力はもとより、叙情味や愉しさなども盛り込まれた、聴きごたえ満点の音楽であり、「ラコッツィ行進曲」「妖精の踊り」「鬼火のメヌエット」などの名曲も耳を楽しませる。

 そしてこの壮大な音楽ドラマは、ブルックナーなどで実績ある高関の類い稀な構築力がフルに生きる作品。今年3月のドヴォルザーク「レクイエム」や「大地の歌」で示した声楽付き大作での巧みなバランス感覚も多大な効果を発揮するであろう。ソリストには、西村悟(ファウスト)、福島明也(メフィストフェレス)、林美智子(マルグリット)、北川辰彦(ブランデル)と日本屈指の歌手たちが揃い、東京シティ・フィル・コーアも記念公演だけに渾身の名唱必至。高関&東京シティ・フィルの充実ぶりを確かめつつ、「自己犠牲によって究極の愛を勝ち得た男のスーパーロマン」(チラシより)を、存分に堪能したい。

文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年7月号から)


高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
定期演奏会 第300回記念演奏会
ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」
9/10(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル サービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp
WEBぶらあぼ
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