吉沢亮インタビュー 『仮面ライダーフォーゼ』から初主演映画『サマーソング』まで……若き“職人”俳優はなぜ不安を抱き続けるのか?
-
ポスト -
シェア - 送る
吉沢亮 撮影=西槇太一
俳優・吉沢亮は、特撮ドラマ『仮面ライダーフォーゼ』の仮面ライダーメテオ/朔田流星役で注目を集めて以来、5年の間にさまざまなドラマ・舞台・映画に出演し、着実にキャリアを積み重ねてきた。映画では、『男子高校生の日常』では菅田将暉 ・野村周平とともに等身大の男子高校生を演じ、『オオカミ少女と黒王子』では内向的な青年の成長を表現してみせ、『さらばあぶない刑事』では舘ひろし、柴田恭兵らと共演。2016年も『銀魂』など、出演作が途切れることはない。
そんな吉沢が初主演をかざる映画が、公開中の『サマーソング』だ。吉沢は同作で父親を事故でなくし、サーファーをやめてアイドルを追い続ける等身大の主人公・イッチ―を演じている。順調に俳優として成長し、満を持しての映画主演にこぎつけた吉沢だが、つねにある不安を抱き続けているという。今回のインタビューでは、初主演作に込めた想いとともに、俳優としての葛藤まで語っている。
思っていても行動に移せない瞬間がいっぱいある
吉沢亮 撮影=西槇太一
――本作は吉沢さんの初の単独主演作ですね。オファーがきたときはどう思われました?
単純にすごく嬉しかったんですが、単独での主演は初めてだったので不安もありました。3年前の『ぶっせん』で舞台では主演をやらせていただいたんですが……、「主演って難しいな」と思っていたので。
――具体的にはどういうところが難しいと感じられたんですか?
芝居をするだけじゃなくて、現場の雰囲気とか、普段はあまり気にしていなかった部分を見ていなきゃいけないのが難しかったですね。
――把握するべきことが多くなるわけですね。『サマーソング』はシンプルな青春映画にも見えるんですが、主人公のイッチーが父親を亡くしてサーフィンから遠ざかっている、意外に重い設定が気になりました。演じてみていかがでした?
重い過去を背負ってはいるんですが、父親の死から10年経った今では、サーフィンをしなくなった原因として、“長い間サーフィンに触れなかった”ということのほうが大きいんです。過去に囚われた時間が長すぎたから、“一歩を踏み出す”のに凄い力が必要になってしまったんです。
――お父さんの死はきっかけに過ぎないわけですね。そういった設定・キャラクターはどうやってご自分の中に刷り込んでいくんですか?
やっぱり、脚本を読むことでしょうか。
――分析されるんですか?
そうですね。何回も読んで、「このセリフはどういう意味なんだろう?」というのは細かく気にするタイプです。
――おっしゃられたように、この映画のテーマは「一歩を踏み出すこと」だと思いました。共感するところはありますか?
ぼくもいちいち踏みとどまっちゃう性格です。イッチーみたいな大きな出来事は起きないですが、「やったほうがいいな」と思っていて行動に移せない瞬間が日常生活にいっぱいあるんです。何も考えずにやることは出来ますけど、考え始めちゃうと、どうしてもネガティブな方向に流れちゃう。「これをやるにはまだちょっと……」という気持ちが出ちゃうことも多いので、毎日が闘いのようなものです。
――もうひとつのテーマは「友情」だと思います。一歩を踏み出すのに、周りのひとたちが背中を押してくれるのは、すごく素敵な人間関係だと思いました。ああいう友人関係についてはどう思われますか?
ぼくは今も東京の実家で暮らしていて、いまだに小学校からの友達とばっかり遊んでいるんです。この仕事をしている人よりも、地元の友達と一緒にいる時間のほうが長いので。映画のようにわかりやすく熱い友人関係じゃないですけど、仕事を抜きにして一番安心できる場所があるのはいいな、と思います。
――映画の中では、まこっちゃん(浅香航大)が整備士で、バンズ(赤澤燈)がデザイナーと、バラバラな職業です。吉沢さんも似たような環境を経験してらっしゃるので、共感しやすかったんですね。
ぼくの友人関係はこの映画ほど熱くはないですが(笑)。
――イッチーとまこっちゃんとバンズの、コントのようなやりとりはすごく楽しかったです。何か心がけたことはありますか?
監督の演出もありますが、“女子がいたら絶対に出ない男子のノリ”みたいなものは意識しました。「なんでこんなくだらない話でバカみたいに笑ってるんだ(笑)」と思うことって、男同士でよくあるじゃないですか。そういうものを出そうと思いました。(撮影が)終わった後に映像を見ると、やりすぎだろうっていうくらいメチャクチャにテンションを上げているシーンもありますね。夜中の撮影でナチュラルハイになって、ぶっとんでいるシーンもあって。
――アドリブも多かったんですか?
基本は脚本どおりです。海の家のようなところに泊って、朝から晩まで撮影していたので、そういう空気みたいなものが出ていたかもしれないです。
「何回読んでもダメだなあ」と感じることが増えた気がします
吉沢亮 撮影=西槇太一
――吉沢さんはすごく真面目で人見知りな方という印象を持っていたので、劇中でのテンションとのギャップが気になりました。軽いノリを演じる秘訣みたいなものはあるんでしょうか?
たぶん、ぼくの中にああいう部分があるんだと思います。地元の友人と飲んでいたりすると、バカみたいなことになったりもします。普段はこの(落ち着いた)テンションなんですけど、安心するところにいると感情の起伏が激しくなるというか、スイッチみたいなものが入るんでしょうね。だから、お芝居をするときもテンションを上げるのは苦ではないです。それと、一昨年あたりは三枚目のバカっぽい役をやることも多かったので、そういうお芝居ができるようになったのかもしれません。
――引き出しが増えたんですね。『仮面ライダーフォーゼ』に始まり、『男子高生の日常』のような普通の高校生役、ヨーロッパ企画の舞台、そして『さらばあぶない刑事』のような刺激的な作品にも参加されている。色々な現場を経験されて、何か変わってきたと感じることはありますか?
変わってきているんでしょうか……。やればやるほど不安になってきます。「あと何回(台本を)読めばいいんだろう。何回読んでもダメだなあ」と感じることが増えました。
――周りの凄い俳優さんのお芝居と比較してしまうとか?
比較してしまうわけではないんですが、「この役をこういう形に仕上げたい」という自分の理想みたいなものがあるんです。それになかなか届かなくて、「もしかして、こっちのほうがいいんじゃないかな?」と考え始めて、迷路に迷い込んだようになってしまったり。
――完璧主義者なんですか?
完璧主義者ではないと思いますが、「こっちかな?」というのがなんとなく固まっているというか。
――具体的な理想の俳優像はあるんでしょうか?共演した方とか。
具体的な理想像はないです。ただ、(『さらばあぶない刑事』で共演した)柴田恭兵さんはすごかったです。お芝居そのものもそうですが、現場での立ち居振る舞いとか。柴田さんは誰よりも現場を見てらして、照明さんがこういう角度から見ていて、カメラはこの角度から向いていて……というような位置関係も全部わかっていらした。わかっているうえで、どういう芝居をするかが全部想像できている。その感覚がすごいと思いました。
――それは確かにすごいですね。
それまでぼくはカメラの位置を意識するなんて考えたこともなかったんですが、そんなことはないんだ、と。そういうことを全部わかったうえで、自分の見せ方みたいなものがあるんだ、ということが、あの方を見ていてわかりました。
――はじめにおっしゃっていた、主演で気を付けないといけないことに重なってきますね。映画だから特に気を付けたことはありますか?
ぼくは映画が一番好きなんです。映画は作風にもよりますが、ナチュラルにいて、そこに馴染むことが大事だと思っています。だからといって、役は作りこまなきゃいけない。作りこむのは舞台も同じだと思いますが。映画は難しいけどやりがいがあるので、やっていて一番楽しいです。
――映画の中でも、やっていて一番楽しいジャンルはありますか?アクションとか、サスペンスとか。
やっぱりアクションは楽しいです。今撮影している『銀魂』は基本的にバズーカしか撃ってないですけど(笑)。
――ある種のアクションですけどね(笑)。
『仮面ライダーフォーゼ』もそうだったんですが、体を動かすのが楽しいです。
――『フォーゼ』のアクションシーンでは活き活きしてらっしゃったんで、お好きなんだろうと思いました。こういうところでアピールしておくと、オファーがあるかもしれませんね。
坂本浩一さん(『仮面ライダーフォーゼ』の監督・アクション監督)のアクションはすごいです。是非! 鍛えますので。
――年齢的に学園ドラマで“イケメン”を演じることも多いかと思います。そうすると、メディアの取り上げ方も“イケメン”扱いになりがちだと思うんです。ただ、今日お話しした吉沢さんからは“職人”のようなイメージを受けました。いわゆるイケメン扱いをどう思われているのか気になります。
ありがたいです。もちろん、やりたいのはそういうことじゃないんですが、ファンの方に「イケメン」と言われるのは嬉しいです(笑)。
――最後に、これから映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。
この映画は、男がバカなことをやっているだけのお話です。でも、みんなが抱えていることから、一歩踏み出すための映画でもあります。そういう力って、意外と自分から湧き出るものだったり、他人に背中を押してもらったりと、色んな形があると思うんです。「一歩を踏み出さなきゃ」という瞬間は誰にでもあると思うので、この作品がその時に背中を押せるものの一つになれればいいな、と思います。
映画『サマーソング』はシネマート新宿ほかで公開中。
シネマート新宿 好評につき9月30日(金)まで上映延長決定 ※9月24日(土)、25(日)は休映、詳細は劇場公式サイトへ
取材・文=藤本洋輔 撮影=西槇太一
※Twitterでご応募ください。
STEP2:SPICEアカウント<@spice_topics>をフォロー(当選案内DM用に必要です)
STEP3:あとは該当ツイートをリツイート(RT)するだけ!
応募期間は終了しました。
※当選者には、ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)でご連絡いたします。
・日本に居住されている方(賞品配送先が日本国内の方)。
・応募に関する注意事項に同意いただける方。
※本キャンペーンに関して、弊社が不適切な行為がされていると判断いたしましたアカウントは、キャンペーン対象外とさせていただきます。
※弊社は、応募いただいた方のツイート内容には一切の責任を負いません。
※当選発表は、当選者様への当選のご連絡をもってかえさせていただきますので、ご了承ください。
※当選通知後、2日間ご連絡がない場合は、当選を無効とさせていただきます。
※当選結果に関するお問い合せは受け付けておりませんので、ご了承ください。
※当キャンペーンの掲載内容や条件は、予告なく変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
※当選の権利の譲渡はできません。
※キャンペーン参加にあたっては、必ず弊社個人情報保護方針「プライバシーポリシー」をお読みください。
※当選時にご連絡いただく住所、氏名、電話番号は、その確認などの関連情報のご案内のみに使用し、キャンペーン終了後は弊社の定める方法に基づき消去いたします。
※インターネット通信料・接続料およびツイートに関しての全ての費用はお客様のご負担になります。
※次の場合はいずれのご応募も無効となりますのでご注意ください。
・応募時の内容に記載不備がある場合。
・お客さまのご住所が不明、または連絡不能などの場合。
映画『サマーソング』
(2016/日本/カラー/16:9/DCP/88 分)
吉沢亮 / 浅香航大 赤澤燈 / 筧美和子 丸高愛実 天野麻菜 / 和田琢磨 馬場良馬
主題歌: 1 FINGER「ヤシの木~Sha la la~」
監督・脚本:中前勇児
エグゼクティブプロデューサー:中川真吾 河野正人 和田忠士
プロデューサー:大城哲也 佐伯寛之 宇都木基至
撮影:高島一宗
照明:山口賢二
録音:笹川圭介
美術:小林民雄 荒平一楼
ヘアメイク:天野良美
衣裳:池田友紀
編集:板部浩章 音楽:矢野公英
製作プロダクション:ジニアス
製作:映画「サマーソング」製作委員会
配給/宣伝:クラスター
配給協力:トリプルアップ
宣伝協力:ボダパカ
公式サイト http://www.summer-song.com/
©映画「サマーソング」製作委員会