『Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-』 初日公演を全アクトレポート
(C)Animelo Summer Live 2016/MAGES.
Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-
2016.8.26(FRI)さいたまスーパーアリーナ
毎年夏に行われる最大級のアニソンイベント『Animelo Summer Live(以下アニサマ)』今年も8月26日から28日までの三日間、さいたまスーパーアリーナで開催され、会場は熱気と興奮に包まれた。初日となった26日はまさに幕開けにふさわしいものとなった。毎回サブタイトルがつくアニサマだが、今回のタイトルは『Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-』。刻をテーマとした内容ということで、どのような演出、サプライズがあるか会場は期待に満ち溢れていた。
開演直前、リズムに合わせて手拍子を鳴らす2万7000人の観客席はあっという間に青色に染まっていく。その雰囲気の中登場したのはトップバッターとなるGRANRODEO。KISHOW、e-ZUKAとともに現れたのは地獄からの降臨となったデーモン閣下。二人の圧倒的なボーカルが奏でるのは一発目のコラボレーションとなる北斗の拳主題歌「愛をとりもどせ!!」。「お前はもう死んでいる」と言い残しステージを去ったデーモン閣下を受けてGRANRODEOのアクトがスタートする。
「昨年三日間の最後の最後、トリをつとめさせて頂きまして、賛否両論あったと思いますが!今年は初心を取り戻すという気持ちもあってたっての願いでトップバッターに立候補させて頂きました!」とKISHOWのMCで笑いを誘いつつも、熱いステージを展開する。
次に登場した春奈るなは今回出演予定で、体調不良のため出演をキャンセルした藍井エイルのピンチヒッター。「エイルちゃんと繋がる歌を聞いてください」とTVアニメ『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編のED主題歌である「Overfly」を歌い上げた。
井口裕香は2016年10月放送開始予定の新アニメ『Lostorage incited WIXOSS』の主題歌「Lostorage」を初披露。初出演となったevery♥ing!も初々しさを見せながらゴンドラで客席を移動、ファンに近い所で「カラフルストーリー」や「ゆめいろ学園校歌」を楽しく歌い上げた。同じく初登場となった相坂優歌は「セルリアンスカッシュ」を持ち前の歌唱力で展開、巨大なさいたまのステージを自分のものとした。
続々と登場する出演陣、ソロとしては初登場となった田所あずさは「純真ALWAYS」のラストコーラスを客席と何度もリピート。最後にi☆Risを呼び込み一緒にコール&レスポンスを行い、一体感を産んだ所で田所とi☆Risのコラボ曲、ふしぎの海のナディア主題歌である「ブルーウォーター」を披露し、会場は一気に爽やかな空気に包まれた。
そのままi☆Risは「Ready Smile!!」「Re:Call」と可愛さとクールな印象の二曲でその幅の広さを見せつける。その後ステージに飛び出してきたのはこの日のサプライズゲストである松本梨香、10年ぶりの登場となる松本はi☆Risとbless4を引き連れてポケモンメドレーを激しく歌う。ポケットモンスターというコンテンツが普遍的なものになっていると実感できる圧倒的認知度を垣間見た。
TRUSTRICKは『ダンガンロンパ3―The End of 希望ヶ峰学園―未来編』EDテーマである「Recall THE END」から黒崎真音を呼び込み、OP主題歌である「DEAD OR LIE」を披露した。続いて登場したのはこれもアニサマ初登場となった玉置成実、デビュー曲である「Believe」をダンサーを引き連れて熱唱。
前半戦ラストとなるのはMay’n。「Beilef」「ヤマイダレdarling’」の後に「心をこめて届けたいと思います!」と叫んでからのマクロスFメドレー、圧倒的な声量と溢れる笑顔、顔からポタポタと汗を滴らせるMay’nの「ちゃんと水分とってね!」の叫びで前半戦は終了となった。
休憩時間にはTVアニメ『石膏ボーイズ』 の映像もはさみながら後半戦への期待で場内の密度は膨らんでいく。既にこの段階で開演から2時間超、普通のライブなら終わるくらいの時間が立っているが、観客はまだまだこの後の後半戦に思いをふくらませている。やはりアニサマは1年に一度きりの祭典なのだと痛感した、誰しもアニメへの思い、愛情を持ちながらこの時間を最大限楽しもうとしている。
後半戦は再度降臨したデーモン閣下、Zweiの『テラフォーマーズ リベンジ』主題歌つながりからスタート。山本陽介のギターソロから始まった『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』のセクションではZAQが魂を込めた歌唱を見せ、「いつもアニサマではラップを披露してきましたけど、今日は相棒と一緒に思いを伝えようかと」とピアノに向かい『紅殻のパンドラ』OP主題歌の「hopeness」を情熱的に歌った。
初登場の声優村川梨衣と相坂優歌は『中二病でも恋がしたい!』EDテーマである「INSIDE IDENTITY」を歌うと会場は地鳴りのような歓声で迎え、7年ぶりに登場となったSuaraが披露した「キミガタメ」、AKINO with bless4が歌う「創聖のアクエリオン」などのヒット曲でも観客は震えるほどの大歓声でそれを迎え入れた。
アニソンとは必ず作品に紐付かれた楽曲である。曲の一つ一つに作品への思い出があり、フレーズを聞くだけでその時の感情が揺り返し心に到来する。どんなに昔に歌われた曲だとしても、作品への思い入れとともに楽曲も決して色褪せない。それは毎年開催され、その年のヒット曲が津波のように押し寄せるこの巨大イベントでも変わらない。名曲は光り続け、歌い継がれる。
次に登場したKOTOKOが歌った「→unfinished→」もそういう一曲、TVアニメ『アクセル・ワールド』EDテーマとして有名だが、6年ぶりの登場のKOTOKOもまさにアクセル全開、遠慮無く会場をグイグイ引っ張っていく。
劇場版『アクセル・ワールド -インフィニット・バースト-』主題歌である「PLASMIC FIRE」をALTIMAと披露した後、ALTIMAがなんと本日をもって活動休止を発表。「5年前このアニサマのステージで生まれた僕達ですが、今回チーム全員で話し合った結果活動休止を決めました」とMOTSUがコメント。「僕は続けたい気持ちはあるんですが、またいつの日かパワーアップしたALTIMAをお見せするために、活動休止します」とSATもコメントした。
最後のステージとなったアニサマでALTIMAはまさに余すところ無く全力のパフォーマンスを見せる。「Burst The Gravity」から続けて見せた「CYBER CYBER」ではKOTOKOを再度呼びこんだが、KOTOKOは出演を終えた演者を引き連れてALTIMA最後のステージを全力で盛り上げる。全て出し切った表情のMOTSUの「また会う日まで!」の言葉でALTIMAは一旦の幕を下ろした。
初日のトリを務めたのはアイドルマスター シンデレラガールズ。「M@GIC☆」から始まったアイドルたちの舞踏会は一瞬でさいたまスーパーアリーナを自分たちの色に染めていく。ヒット曲メドレーから「GOIN’!!!」「お願いシンデレラ」へと繋がったステージは彼女たちのスケールの大きさを感じさせるものだった。ゲームから生まれ、アニメ化、そしてさいたまのステージを圧倒した彼女たちを見ると、本当のシンデレラ・ストーリーはあるのではないかと信じられる。それほどの喜びとパワーにあふれたアクトだった。
最後は演者たちが登場して“アニメロサマーライブ2016 刻-TOKI-”テーマソングである「PASSION RIDERS」を熱唱、出演者登場ではリオ五輪の安倍晋三首相を模してデーモン閣下がマリオの姿で現れるなどのサプライズもあり、熱気と笑顔にあふれる初日となった。
この一大ライブが三日間行われるというのはヤハリとんでもないことだと実感した。1会場1ステージのみで行われているが、実際これはアニソンで構成された夏フェスであり、観客も演者もスタッフも全力で成功に導くために動いている。この熱量を集約できる「アニメソング」の求心力とエネルギーは是非、アニソンを知らない人にこそ体感してもらいたいと思った。一瞬で会場中が青く染まるあの瞬間を体験してしまったら、もう抜けられない気がするのだ。
取材・文:加東岳史
(C)Animelo Summer Live 2016/MAGES.
2016.8.26(FRI)さいたまスーパーアリーナ
01. 愛をとりもどせ!! /デーモン閣下×GRANRODEO