女優・知英がミュージカル初挑戦! ミュージカル『スウィート・チャリティ』稽古場レポート

レポート
2016.9.10

1966年ブロードウェイにて初演、1968年にはシャーリー・マクレーン主演で映画化もされた大ヒットミュージカル『スウィート・チャリティ』が2016年9月23日(金)より天王洲 銀河劇場にて上演される。『シカゴ』や『ピピン』を手がけた天才演出・振付家ボブ・フォッシーの代表作としても知られる本作に挑むのは、これが初舞台・初主演となる元KARAの知英。
さらに平方元基、岡幸二郎ら実力派キャストが脇を固める。

「ずっと夢だった」と語るミュージカルで、知英はどんな顔を見せるのか。注目の稽古場に潜入した。

その日の練習開始時刻は正午ちょうど。取材陣が到着すると、ひとりスタジオで振付の確認をしている女性の姿があった。動きを身体に馴染ませるように何度も何度も同じステップを繰り返す。その姿こそ、本作のヒロイン、チャリティ・ホープ・ヴァレンタインを演じる知英だ。

女優デビューから2年余り。その間、ドラマ・映画などで次々と新しい魅力を開花させてきた知英にとって、舞台は本作が初めて。「初めてなので緊張ももちろんあります」とコメントしていたが、そんな不安を吹き飛ばすように、熱心に稽古に取り組んでいる。

今日の稽古シーンは1幕第6場。NYのダンスホールで働くチャリティが、縁あって世界的映画スターであるヴィットリオ・ヴィダル(平方元基)のアパートを訪ねる場面だ。信じていた恋人に裏切られたばかりのチャリティにとって、まさに夢のような一夜。浮き立つ気持ちを、ソロナンバー『今の私を見てほしい』と共に元気いっぱいに表現する。

まずこの『今の私を見てほしい』という楽曲が実に軽快だ。一度聴けばすぐに口ずさめるほどキャッチーなメロディ。振り付けも軽やかで小気味が利いている。それを知英が持ち前の愛くるしい笑顔を武器にポップ&キュートに踊るものだから、自然とスタジオが華やかな空気で満たされていく。

途中、チャリティはヴィットリオから今夜の記念としてハットとステッキをプレゼントされる。すると、今度はそれを小道具にダンス、ダンス、ダンス! 舞台には彼女ひとりしかいないはずなのに、その後ろに煌めく舞台照明とアンサンブルダンサーの一糸乱れぬ群舞が見えるような、不思議な魔法にかけられてしまう。知英が演じるチャリティには、そんなチャーミングな魅力がたっぷりつまっていた。

ひと通り踊り終えると、知英はその場に座りこみ、「歌って大変」と思わずひと言。トップアイドルとして数々のステージをこなしてきた知英をもってしても、本作は相当ハードなようだ。すでに前髪は汗で濡れ、頬も赤く上気している。特に苦戦しているのは、やはり小道具を使ったダンス。振りも細かく、移動も多いだけに、「帽子が落ちそう」と不安げな表情を浮かべる。振りの性質上、どうしても深く帽子をかぶることはできない。途中で帽子が落ちないように、どう決められた振付をこなすか。入念に鏡を見ては、自分の動きをチェックしていた。

また、ある場面では、ステッキを回しながら小刻みにターンをする場面が上手くできず、演出の上島雪夫氏から直々に指導が。アドバイス通りに再現すると、途端に動きがスムーズに。数々の傑作ミュージカルを生み出してきた名匠の教えに、知英も顔を輝かせていた。

次は、1幕第8場。職業訓練センターにやってきたチャリティと真面目な会計士のオスカー・リンキストが、エレベーターの中に閉じこめられてしまうシーンだ。

ここではオスカー演じる岡幸二郎が本領発揮。突然、停止したエレベーターの中で青ざめ、パニックに陥るオスカーの小心っぷりをコミカルに表現した。声をひっくり返らせ、せわしなくエレベーターの中を動き回ったり。その表情豊かな演技に、スタッフからも笑い声が。彼を落ち着かせようと、あるゲームを提案するチャリティ。それに乗ったオスカーから飛び出たギャグには、取材陣一同、思わず吹き出していた(その内容は、ぜひ劇場でのお楽しみに)。

もちろんミュージカルスターとしての貫録も抜群だ。圧巻なのは、エレベーターの中でチャリティと歌う『勇敢な人間』。ポジティブな歌詞が印象的なアップナンバーを、伸びやかに歌い上げる。その艶と重量感を兼ね備えた歌声に、誰もが聞き惚れることだろう。

ミュージカル初挑戦の知英を、稽古場では岡が温かくリード。途中、前後した台詞をお互いもう一度確認し合う。知英の質問に岡がユーモアを交えて回答し、周囲を笑わせるなど、ムードメーカーとして現場を盛り上げていた。

本作は、お人好しで男運のないチャリティが、愛を求めていくつもの壁にぶつかりながら、それでも立ち上がる姿を描いたロマンティックコメディだ。たとえどんなに傷つき落ちこんでも、決して笑顔を絶やさないチャリティは、そのまま素顔の知英と重なる。初めてのミュージカル。恐怖やプレッシャーがないはずがない。全編ほぼ出ずっぱり。歌にダンスにお芝居に、覚えなければいけないことだらけの毎日に心が追いつめられてしまうことだってあるだろう。

だが、稽古場の彼女はそんなネガティブな雰囲気を一切感じさせない。とびっきりの笑顔で、少しずつ作品を自分のものにしようとしている。そんな天真爛漫な笑顔こそが、本作の輝きのひとつ。きっと観客も、この笑顔溢れる新しいヒロインに、爽やかな元気をもらえるはずだ。

 
公演情報
ブロードウェイミュージカル『スウィート・チャリティ』


■日時:2016年9月23日~10月2日
会場:天王州 銀河劇場
 
脚本:ニ-ル・サイモン
作曲:サイ・コールマン
作詞:ドロシー・フィールズ
原案:ボブ・フォッシー
 
上演台本・演出・振付:上島雪夫
音楽監督:玉麻尚一

<出演>
チャリティ・ホープ・ヴァレンタイン役:知英
 
ヴィットリオ・ヴィダル役:平方元基
ヘルマン役:坂元健児
ダディ・ブルーベック役:黒須洋壬

 
ニッキー役:原田薫
ヘレン役:ジェニファー

 
オスカー・リンキスト役:岡幸二郎


■公式サイト
http://www.nelke.co.jp/stage/SweetCharity2016/

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