sumika、ミセス、感覚ピエロ、BURNOUT SYNDROMES……次世代を担う注目のバンドたちが『Jumpin’jack』で躍動

レポート
音楽
2016.10.21
『Jumpin'jack 2016』 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

『Jumpin'jack 2016』 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

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Jumpin'jack 2016
2016.9.29(THU) 大阪BIGCAT

FM802のDJとしてもお馴染みの中島ヒロトと国民的タレント高橋みなみがMCを務める、関西テレビ深夜の名物音楽番組『ミュージャック』が主催するライブ・イベント『Jumpin’jack』も今年で6回目。ユーモアに富んだ企画内容や軽快なトーク、アーティストに対する確かな眼で、関西圏では大きな人気と信頼を得ている同番組が、大ブレイク間近と見るアーティストをブッキングした一夜ということで、チケットは発売間もなくソールド・アウト。そしていざ迎えた当日は、開場してすぐに、プレミアムな時間を余すところなく楽しもうとする観客の笑顔で、フロアは埋め尽くされた。

Rick Rack

Rick Rack 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

Rick Rack 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

オープニング・アクトを務めたのは、平均年齢20歳の女の子3人組Rick Rack。初々しさや可愛らしさだけでなく、群雄割拠のロック・シーンを戦い抜かんとする強さを感じさせる、このバンドの存在意義を宣言するかのような「ソルジャーガールズ」が鳴り響く。フロントマンSERINA(Vo/Gt)のロック・スターと二次元ヒーロー的な魅力が重なり合う存在感は唯一。弾けて歌える、今年に入って正式加入したMEI(Ba/Cho)も、SERINAと共にバンドの顔として堂々たるプレイを披露。2人を後ろで支えるNATSUKI(Dr)の、華やかな出で立ちとタフなドラミングとのギャップも実にクール。そのファースト・インパクトをどんどん塗り変えながら駆け抜けたあっという間の3曲に、「もっと観たかった」という声が、フロアの各所から多く聞こえてきた。
 

BURNOUT SYNDROMES

BURNOUT SYNDROMES 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

BURNOUT SYNDROMES 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

Rick Rackがステージを終えてしばらくして、会場横に掲げられた大きなスクリーンに高橋みなみが登場。イベントの開幕宣言のあと、トップバッターとしてBURNOUT SYNDROMESの名前がコールされた瞬間、大きな歓声とともにステージに向かって押し寄せる人の波。そして、メンバーが登場し、ますます上昇する熱気のなか、彼らの名をシーンに知らしめることになった「文學少女」からスタート。熊谷和海(Gt/Vo)がストイックに歌い上げる、エモーショナルなメロディーに乗った熱い言葉とフロアの間に橋を架けるように、ヘッドセット・マイクを装着しステージを縦横無尽に駆け巡り、観客を煽る石川大裕(Ba/Cho)のキャッチーなキャラクター。フロント2人の対比が実に興味深い。石川が「一人ひとりの名前を呼ぶように、心を込めて歌います。コイツが」と、熊谷を指し大きな笑いを取ってからの、強い希望の光が差すナンバー「FLY HIGH!!」への持っていき方などに、MCの大西ライオンが「芸人さながら」とちょっとビビっていたのも分かる。緊張と緩和、彼らならではの“伝える力”がみなぎったステージだった。

BURNOUT SYNDROMES 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

BURNOUT SYNDROMES 撮影=ハヤシマコ(maco-j)


 

感覚ピエロ

感覚ピエロ 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

感覚ピエロ 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

“9月29日” “Jumpin’jack”という言葉が入ったオリジナルのファンキーなSEで登場するやいなや、フロアを隅から隅まで埋め尽くす手拍子をそのままかっさらうかのように「拝啓、いつかの君へ」が疾走。「どうも、この辺に住んでいる感覚ピエロです」と横山直弘(Vo/Gt)。大阪はミナミ、キタに根を張った広範囲で活動しているからこそ、日本全国のフェスや、この日のような大きな舞台に立つことができるんだろう。レぺゼン大阪、我らが希望、それが感覚ピエロ。「リア充大爆発」から「O・P・P・A・I」では、その強烈なタイトル・フレーズを観客と共に連呼。それは傍から見れば、極端な楽しみ方に見えるかもしれない。しかし過激であるがゆえ、そこに乗るには思いっ切り自分を開放しなければならない。そう、これは彼らなりの、己の心をとことん開いて楽しめというメッセージなのだと感じたのは、横山が「音楽が好きな奴は手を上げろ。本当に音楽が好きならジャンルなんて関係ないでしょ」と語ったところ。そしてぶっ放した「加速エモーション」から次のsumikaのステージへと、彼らの魂は受け継がれていく。

感覚ピエロ 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

感覚ピエロ 撮影=ハヤシマコ(maco-j)


 

sumika

sumika 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

sumika 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

片岡健太(Vo/Gt)は言う。「あなたが挙げたその手、その声、全てが大事な楽器なんです。sumikaのライブは(自分たちの演奏と)それらの音が、(フロアの真ん中辺りの天井を指して)この辺で鳴っているんです」「僕らは演奏ではなく(観客と)合奏しに来ました」「ミュージャックがなぜテレビ番組の枠を越えてイベントを開くのか。それはスタジオではできないこと、皆さんが家ではできないことがあるから」と。ライブは皆で楽しむもの、トラディショナルな音楽の魅力から最新のトレンドまで吸収した、受け皿の大きなサウンドがひた走る有言実行ドラマ。sumika流のステージが今宵も炸裂する。ラストの「伝言歌」は1番のサビを片岡が、2番を観客が高らかに歌い上げる感動の結末だった。本編終了後のトークで、再び片岡を呼び込んだMCの中島ヒロトが数回発した「sumikaのライブは本当にいつもハッピー」という言葉。百戦錬磨の喋り手が、衝動を抑えきれず同じことを言ってしまうほどに、多幸感溢れるパフォーマンスだった。

大西ライオン、片岡健太(sumika)、中島ヒロト(左から) 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

大西ライオン、片岡健太(sumika)、中島ヒロト(左から) 撮影=ハヤシマコ(maco-j)


 
 
Mrs. GREEN APPLE
 
Mrs. GREEN APPLE 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

Mrs. GREEN APPLE 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

物心ついたときにはフェスがそこに。90年世代の大躍進を象徴するバンドのひとつ、Mrs. GREEN APPLEの出番がやってきた。聴き込む、浸る、踊る、ライブの楽しみ方は人それぞれ。そのなかで、とりわけ“目に見える観客の動き”という部分で、彼らのステージには毎度圧倒される。若さあっての勢いと、そこに頼らない鍛え抜かれた演奏力が見事に融合。山中綾華(Dr)のソロに乗ってメンバーが登場した瞬間から最後の最後まで、止まることのない観客のダンスやジャンプ、合唱、歓声がフロアを彩る。「久々の大阪、気合入ってます。声を出してもどうせ届かないと思っている方もいらっしゃるかもしれないんですけど、そんなことはありません。届いてますよ」という大森元貴(Gt/Vo)のMCから入り、割れんばかりの大合唱が巻き起こった「Speaking」、「20歳になって初の大阪ライブ。Mrs. GREEN APPLEが初めて遠征したのも大阪。だから始まりの歌をやります」と「StaRt」、「大阪の人はみんなあったかい。車で7時間とか8時間かけて来て、こうしてライブができることは当たり前のことじゃない」とラストの「我逢人」、大阪の地に対する思いもしっかりと表してくれた、締めに相応しいステージだった。

Mrs. GREEN APPLE 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

Mrs. GREEN APPLE 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

各バンドのアウトプットは様々だが、共通して、大阪でパフォーマンスをすることや『ミュージャック』が主催する『Jumpin’jack』であることの意味、そしてそこに集まる人たちへの感謝を気持ちを、言葉と演奏でしっかりと示していたことが印象的だった。アーティスト、番組とイベントの制作スタッフ、そして観客、それぞれがそれぞれの道で積み重ねてきたことが響き合い、ひとつの空間を作った夜。その場にいた皆の、心の底から湧き上がる感情ががっちり噛み合ったことが、なによりの価値。最後に中島ヒロトは語った。『Jumpin’jack』は、この一体感を大切にしつつ、ネクスト・レベルを目指すと。その理想は、この日の余韻と今後への期待を胸に、良い音楽を求め続けるあなたがいてこそ完成するのだ。また会おう、この場所で。


取材・文=TAISHI IWAMI 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

尚、当日の模様が本日(10月21日)の深夜1:55~・関西テレビ『新感覚音楽情報番組ミュージャック』にて放送されるので、こちらも合わせてチェックしてみてはいかがだろうか。

イベント情報
Jumpin'jack 2016
日時:2016年9月29日(木)
会場:大阪BIGCAT
出演者:感覚ピエロ / sumika / BURNOUT SYNDROMES / Mrs. GREEN APPLE / Rick Rack[OA]
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