大地真央と森公美子がサスペンスコメディでデュエット 『一人二役 ~殺したいほどジュテーム~』観劇レポート
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イギリスの文豪サマセット・モームによる『夫が多すぎて』から2年。今度はフランスのヒッチコックと称されるロベール・トマのサスペンス喜劇『一人二役~殺したいほどジュテーム~』で、大地真央がそのコメディエンヌとしての魅力をたっぷりと披露する。
タッグを組むのは、大地と同様、多くの作品で抜群のコメディセンスを発揮している森公美子と、無名塾出身で映像作品での活躍も続く益岡徹だ。ほか、山崎一、おかやまはじめら実力派俳優たちが脇を固める。
物語はパリ郊外の豪邸で展開していく。祖父の莫大な遺産を相続しているフランソワーズ(大地)は、一瞬にして恋に落ちたリシャール(益岡)と結婚。だが、リシャールは酒好き、賭博好きの乱暴者で、この結婚も彼女の財産目的だったことが分かる。
そんな結構生活に辟易していた時、家政婦のルイーズ(森)の恋人が、リシャールの代わりに投獄されている弟のミシェル(益岡・二役)で、兄弟は瓜二つであることを知る。フランソワーズは、リシャールの留守中、ミシェルにリシャールを演じてもらい、離婚の手続きを済ませる計画を思いつくのだが……。
大地演じるフランソワーズがとにかくチャーミング! お嬢様育ちらしい気品とともに、これ以上リシャールの言いなりにはならないという芯の強さ、突拍子もない計画を実行する大胆さを持ち合わせた婦人をいきいきと演じている。高い報酬に目がくらみ、フランソワーズに協力する森のルイーズが右へ左へとあわただしく奔走する様には思わず笑いが。横暴な兄リシャールと臆病でヘマばかりの弟ミシェルという正反対の2役を巧みに演じ分ける益岡の演技にも目を奪われる。
計画はリシャールが予定より早く渡航先から戻ってきたことですぐに狂ってしまう。何とか計画を軌道修正しようとするフランソワーズとルイーズ、彼女たちの罠をきわどいところで(意図せずに)かわし続けるリシャールとの攻防は前半の山場で、ハラハラドキドキ、手に汗握らずにはいられない。さらには思ってもみなかった“事件”まで起こり、一気にサスペンスの世界に誘われる。
一番の見どころは、同じトマの『8人の女たち』にも通じる、終盤の大どんでん返し。ジェットコースターのような展開の中、あっと驚く真実が明らかになる度に、観客はこれまで自分がまんまと騙されていたことを知る。果たして、どんな真実が待っているのか? その答えはここでは伏せておくが、どうやら作品のタイトルに隠されたヒントがありそうだ。
劇中には、大地と森によるオリジナルテーマソングのデュエットなど、原作にない歌唱シーンが盛り込まれており、そちらも楽しみの一つ。豪華キャスト陣によるサスペンスコメディの名作で、あなたも華麗に騙されてみては?
サスペンスとコメディーを両方楽しめて、最後には大どんでん返しが待っている。本当によく書けている面白い作品です。その大どんでん返しをお話できないのが残念なんですけど(笑)。内容が濃いので、稽古では『ああじゃないか、こうじゃないか』と(試行錯誤をして)時間が足りないくらいでした。劇場に移ってからも発見があります。お客様が入られることで作品もできあがっていくのだと思います。ぜひお越しください。
結末は言えませんが、騙して騙して騙されて……みたいな作品です。それしか言えません。だから、ご覧になった方は絶対にネットに結末を書き込まないように!(笑) 真央さんと歌わせていただいたり、キャストのみんなでちょっとだけ踊ったり。こちらも見ものですよ。
共演者、演出家、スタッフのみなさんに助けてもらいながら稽古を続け、いよいよ本番を迎えられることを、嬉しく、またありがたく思っています。大地さんもおっしゃったように、これからはお客様にも助けていただきながら、精いっぱい2役を演じたいと思います。
■日程
10月22日~11月8日 シアタークリエ
11月10日 富山・新川文化ホール(ミラージュホール)
11月16日 岩手・奥州市文化会館Zホール
11月19日~20日 大阪・新歌舞伎座
11月23日 静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)
11月26日 福島・郡山市民文化センター
11月29日 福岡・福岡市民会館
12月1日 福井・越前市文化センター
12月3日~4日 愛知・中日劇場
12月7日 石川・北國新聞 赤羽ホール
12月9日~11日 兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
■作:ロベール・トマ
■演出・上演台本:福島三郎
■出演
大地真央、森公美子/山崎一、おかやまはじめ/木津誠之、権藤昌弘/益岡 徹
■公演HP:http://www.tohostage.com/hitorifutayaku/
■10月23日(日)17:00公演終了後