ミュージカル『八犬伝』熱いステージの模様をレポート
(c)2015 あべ美幸・株式会社KADOKAWA/古那屋一座 撮影:立川賢一
熱のこもった芝居、歌、殺陣!笑いあり涙ありの素敵なステージを見逃すな!
あべ美幸原作のコミック『八犬伝―東方八犬異聞』がミュージカルになった。8月14日に初日を迎え、23日までの10日間をかけて全15公演が行われる。
ミュージカル『八犬伝―東方八犬異聞―』は、その身に妖刀“村雨”を宿す犬塚信乃と、犬の四白の姿になることのできる青年で、信乃の保護者的存在・犬川荘介を中心に、8つの玉に導かれた若者たちが、様々な人物と出会い、戦う運命を描いた物語。
妹のような存在・浜路との日常や、普段は信乃たちとは離れた協会特区で特別主席司祭を務める、獣憑きの四家のひとつ里見家の里見莉芳や、五狐を妖神に持つ尾崎家の尾崎要などの人物たちとの関係性が紹介されつつ、物語の幕があがる。
(c)2015 あべ美幸・株式会社KADOKAWA/古那屋一座 撮影:立川賢一
舞台の序盤で印象的なのは、坂口湧久さん演じる信乃が、北村諒さん演じる荘介の言うことを聞かずに怒られ、田上真里奈さん演じる浜路の作った個性的な味だけど体には良さそう(?)なハーブティーについて、言い合いをしながらも笑い合うという3人の日常を描いた微笑ましいシーンだ。
だが、浜路が石渡真修さん演じる要に連れ去られたことで平和な日常は打ち破られ、運命に導かれていく。ここで印象的だったのは、黒い髪の可愛い少年の姿である信乃や、黒い学生服風の服を着た荘介とは違い、帝都にいる莉芳と要は白い制服風の服に金髪という格好で登場する点だ。もちろんそれはコミックでもそうなのだが、この2つのグループが実際に舞台で見るととても対照的に映る。可愛い印象の、これからの成長が楽しみな信乃たちと、西洋風の王子様のようなできあがった大人な雰囲気満点な三上俊さん演じる莉芳たち。どちらも女性の心にはキュンとくる雰囲気なのだが、どちらが好みかは舞台を見て確かめて欲しい。
(c)2015 あべ美幸・株式会社KADOKAWA/古那屋一座 撮影:立川賢一
浜路を救うため帝都へと入った信乃たちだが、畠山遼演じる犬田小文吾や、前内孝文演じる犬飼現八と出会うことで事態は一変する!後半は戦いのシーンも増えてくるため、殺陣などのアクションシーンも頻繁になる。そこで活躍していたのは、ファントムズの皆さん!体全体を使ってアクションを繰り広げ、要の妖神の五狐たちも普段の可愛さとは一転、戦いになれば素早い身のこなしで舞台上を飛び回る。虫を体に宿した坊主の青蘭(西山丈也)が虫を出すシーンでは、女性ファントムズが手を休めることなく動かし、床に体を近づけたり、バク転をしたりなどのパフォーマンスで飛んでいる虫様を表現する様なども見どころだ。
(c)2015 あべ美幸・株式会社KADOKAWA/古那屋一座 撮影:立川賢一
また、詳細をお伝えするのは避けるが、観客には嬉しいサプライズも用意されているので、そこも楽しみにしてほしい!
(c)2015 あべ美幸・株式会社KADOKAWA/古那屋一座 撮影:立川賢一
物語は切なさも孕みつつ展開し、ラストでは全員での歌唱パートも。その歌も演者の魅力が伝わる名曲!シリアスな部分も勿論あるが、思わず笑ってしまう部分や、可愛い、かっこいいと思えるようなシーンが随所に盛り込まれていた。
原作のテイストを生かしつつ、喜怒哀楽が詰め込まれた正にエンターテイメント作品に仕上がっているので、最後の最後まで楽しめた!千秋楽まで演者皆様には怪我なく走りきってもらいたい。