振り返る異色作『仮面ライダーアマゾンズ』とは一体どんな作品だったのか?

コラム
2016.11.8
仮面ライダーアマゾンズ ©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

仮面ライダーアマゾンズ ©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

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『仮面ライダーアマゾンズ』は、仮面ライダーの居ない世界で仮面ライダーが登場するという異色の作品だったが、特撮ファンの目にはどう写ったのだろうか。昭和から特撮を観続け、ジェリー・アンダーソン作品や仮面ライダー、バロンシリーズなどをフェイバリットとする料理研究家の当呉氏を迎えて、和気藹々と対談してみたので、その模様をお伝えする。まだ未見の方にはネタバレの要素も含むので、承知して頂いて読んでもらうか、『仮面ライダーアマゾンズ』を視聴してから観るか、覚悟して臨まれたし。

子供を一切排除した大人向けのビターな味わい

鶴岡:早速ですが、自分としては、放映方法からして子供には一切向き合わないで、大人が楽しめるドラマを見せられた感じなんですけども、当呉さんいかがです?

当呉:同じく子供向けではなく大人向けの特撮ドラマだなと思いました。期待はいい意味で裏切られたなというのが正直な感想です。

鶴岡:従来の仮面ライダーシリーズと比べてよりソリッドな感じの人間ドラマに加えて、大人の子供心をくすぐる設定やアイテムがあるのが強いなあと。

当呉:閉鎖された空間で、色んな立場の人間が絡み合うドラマと、平成ライダー的なツールが上手く融合していましたね。アマゾンズドライバーやジャングレイダー、アマゾン細胞の活性化を抑えるための腕輪(アマゾンズレジスター)など話のキーになるアイテムが結構出ていたところが昭和ライダーで育った身としては平成ライダーらしいなぁと思いました。

鶴岡:アマゾンズレジスターは昭和アマゾンのギギの腕輪がモチーフですよね。あとアマゾンズドライバーは仮面ライダーXのライドルを意識しているようにも思えます。

当呉:槍になったり、カマになったり便利でしたね。昭和アマゾンではコンドラーがあそこまでアイテムとして活用してなかった記憶があるので仮面ライダーXを意識していたのかもしれません。

©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

2つのアマゾン、その対比の魅力

鶴岡:主人公である悠と仁も、平成ライダー、昭和ライダーを通して珍しい主人公に思えます。仁はクールすぎるし、悠はブレブレだし。

当呉:仁は他のアマゾンを倒す事に一切の躊躇が最後まで無かったですね。悠は一度目的が出来てもブレまくりでしたね(笑)。

鶴岡:もう戻らない! って宣言して駆除班に入ったのに、その後も都度都度揺れてましたもんね、若さゆえの悩みも心情的に重ねやすいのかな。

当呉:若さが危うさにつながってるのかも。実質2歳ですしね。考えがブレるのも仕方ないかと。

鶴岡:確かに。さて、ファン的には悠派と仁派で別れると思うんですけれど、当呉さんはどちらです?

当呉:難しいですねぇ。行動原理しては仁のほうがストレートで分かりやすいのですが、どっちの行動を取るかとしたら悠のほうになってしまいますね。僕個人は仁みたく割り切った考え方ができずに悩んでしまいそうですし。

鶴岡:私的には仁派です。悠は危うさを秘めていると思うんですよね、善悪の線引きができていないというか、アマゾンという危険な生命体の人食まで認めてしまっている。どうやって彼の正義を守るのか? という疑問が残ります。仁は冷酷なように見えて、アマゾン細胞によって産まれたものをすべて取り除いて、人間を守ると誓っている部分が、私的には勧善懲悪に近いと思います。

当呉:ここはファンの間でも喧々諤々かもしれませんね。

鶴岡:アンケート取ってみたい案件ですね(笑)。話は変わりますけど「養殖のオメガ、野生のアルファ」って言われてるのに、闘い方はオメガのほうが原始的というか荒々しいですよね。アルファはポーズ1つとっても洗練されていてスタイリッシュだなと。

当呉:オメガの方は主題歌『Armour Zone』の歌詞にもある「オレの中のオレ」が表に出ていたような戦い方でしたね。基本姿勢も腰が低くて、相手をまず倒してあとは殴るようなイメージありましたし。アルファは野生を上手く押さえ込んで人間らしい感じでした。

鶴岡:仁がコントロールして戦っているとすれば、悠は自分の野生を解き放っていると。

当呉:そういう風に思います。

鶴岡:ついでにお互いのパートナーについても言及しましょうか。ヒロイン対決では悠の美月と仁の七羽さんに別れますが……。

当呉:なぜか七羽さんは「さん付け」になってしまいますね。

鶴岡:これはしょうがない(笑)というわけでいきなり結論ですが、ヒロイン力は七羽さんが上ですよね。仁は実質ヒモですし。

当呉:僕も七羽さん圧勝です。あそこまで仁を理解して信じて惚れてくれたら仁でなくても落ちます。包容力があり過ぎですよね。

鶴岡:行動力もあるし、料理も上手で包容力がある……強い。

当呉:美月は思う気持ちは強いんですけど、ヒロインらしいところはピンチに陥るくらいのところですからね。

鶴岡:若さも一途さもありますよ! なぜか庇ってしまったけど、守ってあげたいヒロインではないかと思います。

当呉:おお、良い着地点ですね。

©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

人物描写とアクションの妙に注目

鶴岡:では説明も兼ねて、ネタバレにもなりますが気になるポイントを頭から振り返っていきましょう。1話で出てくる敵アマゾンが蜘蛛モチーフ、味方アマゾンにモグラアマゾンが居るっていう設定の当たり、昭和ライダーへのリスペクトがありましたね。

当呉:僕らくらいのいわゆる大人で仮面ライダーを知っている視聴者層を惹きつけるには十分な設定だと思いましたし、実際効果はあったでしょうね。

鶴岡:初っ端から食人が一つの柱として描かれて、ホラーテイストだぞ、という看板を掲げていて、これも期待感を煽りましたね。

当呉:序盤で敵を身内から作ってパニックを引き起こし、そこでアルファ、オメガを上手く絡ませていたなぁと思います。

鶴岡:2話で駆除班から出たアマゾンにチームが食われる衝撃の展開ですからね。大人向けでないとこの思い切った展開は作れないかと。

当呉:そうですね。そして1話での屋内での駆除活動をスケールアップしたのが3、4話のアマゾンマンションの話でしょうか。またここで悠と駆除班の共闘が出来たのでドラマ的にも広がりが出来たのではないでしょうか。

鶴岡:アマゾンマンションは単体で切り取っても良いホラー話ですよね。3話といえばジャングレイダーが登場しますけど、これもジャングラーを平成っぽく仕上げていて、かなり良い感じかなと。

当呉:大元のジャングラーはどちらかというとコミカルな風貌でしたがあそこまでスタイリッシュになったのはビックリでした。

鶴岡:アマゾンマンション後編となる4話はアクションがメインで、これがまたよく動いていたイメージがありますけども。

当呉:閉鎖空間で駆除班メインの戦闘と、屋上での対アマゾン戦闘の2本立てで全体を通しても一番戦闘シーンの多い回でしたね。

鶴岡:全体的にアマゾンズはアクションの質が高かったようにも思いますが、注目ポイントは有りますか?

当呉:特筆すべきはオメガのアクションですね。序盤は本能的に戦っているんですが、悠の成長につれて本能的なアクションから人間らしいアクションに変わっていくんです。ここの演出は素晴らしいと思いましたね。

鶴岡:たしかに話が進むに連れて洗練されていきますね、戦い慣れるというか。

当呉:オメガと悠の成長がリンクしていて、ドラマとして成立してるんですよね。他にも仁の宿命を抱えた生き様、駆除班のメンバーの家族感といったドラマ部分でもそれぞれ見所がありますし。

鶴岡:1クールの中できっちり描ききれていましたね。ちょっと話戻しまして、ストーリーを振り返りましょう。5話のあたりから、ここで悠が独り立ちし始めますよね。仁も捕獲されたりして、ドラマも展開していく感じで。初見さんはここまで観たらもう引き込まれるのではないでしょうか。

当呉:特撮好きならまず引き込まれますね。実際テレビ版で初めて見た自分もそうでしたし。4話がアクション中心だったので5話のドラマ中心にして悠の戦う理由を見つけていく形て進むのはよいバランスだと思います。

鶴岡:6話からはマモルと交友を深めていきつつ、仁が自分の意志でアマゾン細胞を移植したと衝撃の告白が出ます。そしてようやく悠が自分の意志を示して、独り立ちして折り返します。仁も脱出して、話が一度リセットする感じになり、7話はコメディタッチな出だしになるので個人的に必見な感じですね。

当呉:6話は悠と仁の戦う理由が明確になった序盤のクライマックスの話でしたね。個人的にも大好きな話です。また大人向けの話の中で勧善懲悪というよりはワガママに近いですが「守りたいものを守る」というヒーロー的思考がようやく出てきたなと。仁はアマゾンを滅ぼすという点はずっと変わりませんね。

©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映

シーズン2の前にぜひAmazonプライム・ビデオで予習しておきたい

鶴岡:シーズン2の制作が決まって、これから予習する人もいると思うんですけれども、アマゾンズを見ようと思ったフックってあると思うんですが、今から見る人のアンテナに届きそうなキッカケを教えてもらえますか。

当呉:最初はやはりビジュアルでした。最近の平成ライダーを見ると昔からの仮面ライダーの記号がなくなって来ている感じがしたので。そこに今風デザインのアマゾンアルファが出て、昔のアマゾンを思わせつつカッコよく仕上がっていたので、「どうなんだろう」と興味を持ちました。

鶴岡:アルファは昭和の上位互換、オメガは新種、シグマは悪いやつってすぐわかりますもんね

当呉:昭和ライダーで育った世代には見る理由として十分な説得力がありましたねw。

鶴岡:ちなみに一番かっこよく戦うのがシグマっていうのが面白いですよね。

当呉:ですね、アルファよりもスタイリッシュ。そこも含めて、初見の方にはバトルシーンを観て欲しい。あれは今の仮面ライダーに慣れてると「こんなライダーもいるんだ」と驚いてもらえる事請け合いだと思います。

鶴岡:今から見るとなるとアマゾンプライム会員になって、アマゾンズを視聴する形になりますけれど、地上波放送とは違ったノーカット・オリジナル版なので、ゴア表現も増えているみたいなので、より大人向けになるかもですね。

当呉:シーズン2の前に、中野サンプラザホールでスペシャルイベントもあるので、それに備えて見てもいいんじゃないでしょうか。

鶴岡:イベントならではのスペシャルトークとかもあるようなので、気になってます。白倉プロデューサーもトークに参加するみたいなので、かなり濃い話しが期待できそうです。スタッフとキャストがお互い作品について語り合うのを見るのはなかなかない機会ですしね。

当呉:自分は行こうかと思っているので、今から楽しみですね。

鶴岡:イベントとシーズン2を控えて盛り上がるこのタイミング、特撮に興味があるなら一度は見ておきたいのが『仮面ライダーアマゾンズ』ということで、是非鑑賞を! ということですね。本日は有難う御座いました!

 

 

イベント情報
仮面ライダーアマゾンズ スペシャルイベント A to M Open Your AMAZONS​

日時:2016年11月22日 18:30開場/19:00開演

中野サンプラザホール

出演:    【トークショー出演者(予定)】 
藤田富 (水澤悠 / 仮面ライダーアマゾンオメガ 役) 
谷口賢志 (鷹山仁 / 仮面ライダーアマゾンアルファ 役) 
武田玲奈 (水澤美月 役) 
東亜優 (泉七羽 役) 
俊藤光利 (志藤真 役) 
小林亮太 (マモル 役) 
馬場良馬 (大滝竜介 役) 
宮原華音 (高井望 役) 
朝日奈寛 (前原淳 役) 
勝也 (三崎一也 役) 
田邊和也 (福田耕太 役) 

白倉伸一郎(プロデューサー) ほか 

【ゲストアーティスト(予定)】 
小林太郎(仮面ライダーアマゾンズ主題歌「Armour Zone」)
曲目・演目:    仮面ライダーアマゾンズ オープニングアクトステージ 
仮面ライダーアマゾンズ 小林太郎スペシャルライブ 
仮面ライダーアマゾンズ 番組キャストスペシャルトークショー


 

 

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