下ネタOKなアナタと“ギリギリ”なアナタに! 佐藤仁美・明星真由美・安田カナからミュージカル『50Shades!(フィフティシェイズ!)~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』への招待状
(左から)安田カナ、佐藤仁美、明星真由美
全世界で1億冊を売り上げた官能小説をパロディ化したオフブロードウェイ・ミュージカルの日本版、ミュージカル『50Shades!(フィフティシェイズ!)~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』がまさかの日本初上陸! 週に一度、「本を読む会」を開催している主婦3人組が新たに選んだ「50 Shades of Gray」は、ドSな青年実業家グレイ(浜中文一)と純真無垢な女子大生アナ(玉置成実)との、どこまでも歪んだ愛のカタチを描いた大興奮の一冊だった──。ストーリーテラー的な役割も果たす主婦役として、日本版演出の河原雅彦が送り出す“あきれるほどエロティック”な舞台に挑む3人にインタビュー!
下ネタ尽くしでも、芝居の基本は忘れずに
――「あきれるほどエロティック❤コメディミュージカル」という刺激的なキャッチコピーがついていますが、出演オファーがきた時のお気持ちは?
佐藤 私は…何とも思わなかったですね(笑)。ちょっと下品かなあっていうぐらいで、面白そうだな、と。稽古が始まって、ホン以上に下品にはなってきてますけど(笑)、楽しいです。
明星 私も、過激な単語が並んではいますけど、裸にはならなくて良さそうだし…かわいいエロだなと(笑)。河原さんが演出するということで、もっとすごいことをさせられるんじゃないかという危機感はありましたけど、今のところ大丈夫そうです。
安田 私は、とりあえず「何でもやってみよう」の精神なんで(笑)、やっぱり面白そうだなあと。
佐藤 「あきれるほどエロティック」ぐらいで動じる3人じゃなかったってことですね(笑)。 フィストファ●クとかア●ルプラグとか、出てくる単語って全部知ってました?
安田 知らない単語はあんまりなかったです(笑)。
佐藤 そうだよね。玉置成実ちゃんとか、分からなくてネットで調べたって言ってたから、普通はそうなのかなあと思って。
明星 でもあれじゃない? 正式なフィストフ●ックって言われると、ちょっと何か分かってない感じもあるというか。
佐藤 ……“正式”な?
一同 (爆笑)
明星 何の話をしてるんでしょう(笑)。この稽古場にいると、下ネタに関して感覚がマヒしちゃうんですよね。
佐藤 私は普段から、二丁目でこんな話ばっかりしてるんで(笑)。
明星 あ、佐藤さんには日常茶飯事だったか(笑)。
安田 でもこの作品のメンバーでご飯を食べに行くと、下ネタで盛り上がるつもりじゃなく、芝居の話を淡々としてるのにそういう単語ばかり出てきちゃって、焦ることがありますよね。
明星 え、ご飯とか、いつ行ってるの?
佐藤 稽古終わりにたまに行ってるんですよ、急に「今日行く?」みたいな感じで。明星さんは、帰るのめっちゃ早いから誘えないけど(笑)。
明星 そう、私は稽古が終わったらもう、話しかけられるのもヤメテな勢いで帰るので(笑)。
明星真由美
――初共演なのにすっかり打ち解けたこの空気は、あくまで芝居の中で作られたものなんですね(笑)。稽古場はいつも、こんなふうに楽しげな感じなんですか?
明星 河原さんが稽古初日の挨拶で、「ちょっとちゃんとやる忘年会だから」っておっしゃったんです。それでずっと楽しい空気でやってたんですけど、最近になってちょっと、厳しい河原さんが見えてきましたね。「芝居の基本を」みたいな言葉も出てくるようになって。
佐藤 そうですね、「そろそろちゃんと」という空気を感じます。だから私も、怒られないように気を付けよう~とか思って(笑)。
明星 そうだよね、こういう作品、怒られながらやりたくないよね。
佐藤 安田さんは、ちょいちょい怒られてるけどね(笑)。
安田 私は元々、ポヤポヤしてるので…。
佐藤・明星 (笑)
安田 細かいきっかけとかを覚えるのが苦手で、同じことを連続して忘れちゃったりするんですよね~。良くないことです。
明星 分かってはいるのね(笑)。翻訳劇って、背景をすごく勉強して取り組まなきゃいけない作品もあるじゃないですか。今回は必要ないだろうって、タカをくくっていたら「君の役はどういう人なの?」みたいな質問がくるようになって、「あ、そういうの大事なんですね…」というのが現状という感じ(笑)。
佐藤 そうそうそう! でも基本、河原さんが笑えばOKなんですよね。河原さんが笑えば怒られないんだ、っていうのが分かってきたところです(笑)。
安田 面白くなくっちゃ、ですね。
安田カナ
――ではせっかくなので、ご自身の役がそれぞれ「どういう人」なのかをぜひお聞かせいただければと。
明星 これ、ちゃんと答えよう。私いつも、こういう取材の場で自分の役を作るから(笑)。ええとですね、私が演じるパムは……。
佐藤・安田 (見守る)
明星 ……主婦です!
佐藤・安田 (爆笑)
明星 そして、性に関してマンネリ化しています。……以上?
佐藤 あははは! それ、3人ともの共通点じゃないですか(笑)。
明星 そうだね、ダメだね(笑)。じゃあ、ちょっとお金を持ってる奥さんってことにしようかな!
佐藤 「しようかな」って(笑)。私が演じるキャロルは、夫婦関係が冷め切っていて、この中でいちばん垢抜けなくてモジモジした主婦です。
明星 それは確か、台本に書いてあったような…。
佐藤 そう(笑)。
佐藤仁美
安田 私は河原さんと話して、“普通のおばさん”という感じにしています。何か楽しいことを求めていて、下ネタに対してもノリノリというか。
明星 “おばさん”の性欲って、ものすごそうですからね。って、私の実年齢もしっかり“おばさん”なんだけど(笑)。
安田 私はベブのほかに、女子大生のキャサリン役も演じるんですけど、そっちはそっちでものすごいヤリマ●で(笑)。だからベブに関しては、普通のおばさんって何するだろうな、というところから作っていってますね。
明星 パンチパーマが伸びたような、日本のおばさんとして演じちゃっても面白いような気がするけど、今のところはみんなちゃんとアメリカ人ですよね。
佐藤 そうですね、チラシでは私、金髪のカツラを被ってますし。
明星 でも私たち3人は、本の中の世界とお客さんとをつなぐ存在だから、リアルな空気感も必要かなと。だから、アメリカ人なのになんで日本のネタ?っていうところもあると思いますけど(笑)、その矛盾も含めて面白い、みたいなことになっていくと思います。
二丁目も驚く、浜中文一の体当たり演技!
――改めて、演出家・河原雅彦さんの印象を聞かせてください。
佐藤 (即答で)ヘンな人!(笑)
安田 (しみじみと)ヘンな人ですね~。面白い人だなあ…と思います。
佐藤 ちょいちょい、「俺、演劇賞とか獲ってるんだけどな…」って言いますよね、ふざけた演出をつけたあととかに(笑)。
明星 あははは! パンクな部分と、真面目な部分とが入り混じった人なんでしょうね。あと、すごく繊細でもあると思います。私たちがお客さんに置き去りにされないように、えらい気づかってくれてる感じがしません?私なんか、笑いがこなくてもスッと流せちゃうんですけど(笑)。
佐藤 私も、置き去りにされても全然大丈夫。
安田 私は比較的よく…
佐藤 置き去りにされるの?(笑)
安田 はい(笑)、しーんってなってるところで使われることが多かったりするので。
明星 だから、こっちは意外と大丈夫なんですよね。でも河原さんは俳優陣が傷つくことを心配してくれていて、私が自分の出てないシーンの稽古を見てると、笑ってるかどうかの反応を伺ってたりするんです。
佐藤 それ、ありますね! 私の場合、「佐藤さんが笑ってるのは信じちゃダメです」って、注意につなげられましたけど(笑)。
明星 佐藤さんは、周りがしーんとしてるところで大笑いするタイプのお客さんだから(笑)。
安田 いつも手を叩いて笑ってますもんね。河原さん言ってましたよ、「俺と佐藤さんみたいな人ばっかりの客席だったらすごい盛り上がるのになー」って(笑)。
(左から)安田カナ、佐藤仁美
――やはり笑いの絶えない稽古場のようですね(笑)。では、主演の浜中文一さんの印象は。
佐藤 すごい人見知りですよね。最初なんて本当に喋らなくて、「大丈夫?」みたいな。そこから考えると、今はだいぶ打ち解けてくれたなあと思います。
安田 そうですね、食事をとりわけてくれたりする、優しい一面も見えてきましたし。
明星 仕事に関しては、すごくプロフェッショナル。
佐藤 すごいですよね!河原さんに言われたことを全部、「そんなことまで?」っていうぐらい忠実にやるから。
明星 それにピュアで透明で、彼にできない役ってあるのかな?と思うぐらい。色んな役をやってみてほしいですね。
佐藤 文ちゃん、帰ってからも毎日ちゃんと練習してるらしいですよ。私は家ではあまりやらないから、えらいなあと思って。だって、家で台本とか開きます?
明星 昨日はね、譜面は開きました。
安田 私は結構見ます、台本も譜面も。
佐藤 見てるんかーい(笑)。
安田 はい、見てるのにポヤポヤしちゃうんです…(笑)。
明星 今回に関しては、台本の中には答えがない気もしますよね。私はそれで、ビヨンセの映像とかを見てるんですけど(笑)。
佐藤 私も、飲み屋で知り合ったセクシーな人に「ちょっと面白い動きをやってみて」とか頼んだりしてます。まだ一切、取り入れられるようなものには出会ってないですけど(笑)。
安田 やらせてるだけってことですか(笑)。
明星 まあまあ、答えはそういうところにあるのかもしれないですからね!
(左から)佐藤仁美、明星真由美
――何だか型破りな舞台になりそうですね!では最後、「こういう人に観に来てほしい」というメッセージをお願いできればと思います。
佐藤 何の感動もない(笑)、くだらないけれど、ただただ面白い舞台が好きな人。私は元々そういうのが好きですし、下ネタが大丈夫でさえあれば楽しんでもらえると思います。
明星 下ネタが“大丈夫”という人はもちろんですけど、“ギリギリ”の人にも来てほしくないですか?こうなんか、「キャー」「いやあ~」って言いながら顔を背けるような人に(笑)。
一同 (爆笑)
安田 私はもう、幅広くどなたでも。下ネタに怒り出す人は怖いなっていうぐらいで(笑)、色んな方に観ていただきたいです。
明星 あとそうだ、私、音楽寄りのお客さんにも来てほしいかもしれない。
安田 あ、分かります。曲がかっこいいですもんね。
明星 うん。それに、演劇のお客さんって重心後ろで観る方が多いけど、今回はちょっと前のめりで観てほしいから、コンサートのノリを持ち込んでもらえたらと思って。
佐藤 確かに、冒頭の私たち3人のシーンは「何これ?」っていう、しーんとした空気になりそうですからね(笑)。食いついていいのかっていう迷いが、最初は絶対あると思う。
安田 お客さんの反応、気になりますね~。
佐藤 まあ私たちは、お客さんが引いてても気にしないですけどね!(笑)
明星 うん、でも河原さんは気にしてるから、河原さんのためにも、ぜひ最初からノリノリでご覧ください(笑)。
(左から)安田カナ、佐藤仁美、明星真由美
(取材・文:町田麻子 写真撮影:早川達也)
■上演台本・訳詞・演出:河原雅彦
■出演:浜中文一、玉置成実、明星真由美、安田カナ、佐藤仁美、大澄賢也/宮河愛一郎、松之木天辺、副島淳
■公式サイト:http://www.ktv.jp/event/50
<東京公演>
■日程:2016年11月28日(月)~12月11日(日)
■会場:新宿FACE
■料金:9,500円(全席指定・税込/1ドリンク付)/立見7,500円(税込 / 1ドリンク付)
※立見は指定された位置で立ったままご覧頂きます。場所の移動はできません。
※本公演は15歳未満、中学生以下の方はご入場頂けません。
<大阪公演>
■日程:2016年12月28日(水)〜29日(木)
■会場:サンケイホールブリーゼ
■料金:9,000円(全席指定・税込)
※本公演は15歳未満、中学生以下の方はご入場頂けません。
<あらすじ>
週に一度、「本を読む会」を開催している主婦三人組パム、ベブ、キャロル。マンネリ化した性生活を送る彼女たちが選んだ本は、女子大生のアナが若き企業家のグレイに惹かれていく恋愛小説、いやその実、官能小説。小説で描かれるのは、これまで平凡に生きてきた純真無垢な女子大生・アナ(処女)と、リッチで色男、だけどとんでもない性癖を持った青年実業家・グレイの、どこまでも歪んだ愛のカタチ…。果たしてアナの心のビッグ・ホールは、グレイのビッグ・ラブよって埋められるのか?それとも拡張されちゃうのか?惹かれ合う二人の行方やいかに?!