MUCCミヤ主催イベント『COMMUNE Vol.2』で“仲間”にメッセージ「ウチらも待ってるんで」
MUCC 撮影=西槇太一
11月25日(金)、26日(土)の二日間、東京・Zepp Tokyoにて『COMMUNE Vol.2』が行われた。
DANGER CRUEに脈々と受け継がれる“イズム”を継承すべく、2015年にMUCCのミヤ(G)をオーガナイザーに始動した『COMMUNE』。二度目の開催となる今回はMUCC、Plastic Treeの2組を中心に、強烈な個性を放つバンドが集結。ただのお祭り騒ぎでなく、刀で斬り合うように互いにしのぎを削るヒリヒリした空気感と白熱のライブアクトに両日、超満員の観客が熱狂した。
11月25日(金)はMUCC、Plastic Treeに、昨年の『COMMUNE』にも出演したDEZERTを加えての開催。
DEZERT/千秋 撮影=西槇太一
初日トップバッターという、ある意味イベントの方向性が決まる重要な役割を託されたDEZERTは、序盤から「おはよう」「変態」と人気曲を畳みかけてオーディエンスを引き込むと、約50分の持ち時間を一気に完走。後輩だからと臆することなく、激しく重厚なサウンドと攻めるステージングでイベントの幕開けを華々しく彩った。
DEZERT/千秋 撮影=西槇太一
Plastic Tree 撮影=西槇太一
続いては両日の出演となる、Plastic Tree。今回、ミヤが“オルタナティブ”をキーワードにイベント出演者を考えた時、真っ先に声を掛けたというこのバンド。「Thirteenth Friday」で静かに力強く始まると、代表曲と言える「メランコリック」で、会場を自身の色に染め上げる。
有村竜太朗(Vo)のメロウで繊細かつ求心力のある歌声、息の合った奥ゆきのある演奏でオーディエンスを魅了すると、ラストはたっぷり感情を込めた歌と演奏で聴かせた「スロウ」でフィニッシュ。初めて見る人の心にも、その存在をしっかり知らしめた。
MUCC/逹瑯 撮影=西槇太一
初日のトリで登場したのはMUCC。前半、「ズタズタ」「盲目であるが故の疎外感」など、初期DANNGER CRUE時代の楽曲たちを惜しみなく披露すると、熱心なファンから「キャーー!」と悲鳴に近い声が上がる。
「ヤバいの見に来たんだろ?」と逹瑯(Vo)が煽って会場が熱を上げる中、「僕が本当の僕に耐え切れず造った本当の僕」、「友達(カレ)が死んだ日」と切なさや苦しさを含む曲が心に闇を落とし、MUCCの本領を発揮。MCでは逹瑯がこのイベントへの出演が急遽、キャンセルになってしまったlynch.に「文句を言いたくても、みんなの前に顔を出すのを待ってないと言えないから。lynch.が帰ってくるまで、その心の拳をしまったまま待っててください。ウチらも待ってるんで」とメッセージを送り、「夜」、「およげ!たいやきくん」と、再び貴重な楽曲たちを披露。
その後、「蘭鋳」、「MAD YACK」が最高潮の盛り上がりを生むと、アンコールでは「あの~、アルバム出るんです」と来年1月25日にニューアルバム『脈拍』をリリースすることをさらっと発表してMUCCのファンを歓喜させると、「歌える人がいたら、歌ってください」とこれまたさらっとlynch.「MIRRORS」のカバーを披露。lynch.のファンを歓喜させた。
NOCTURNAL BLOODLUST 撮影=西槇太一
11月26日(土)はMUCC、Plastic Tree、メトロノーム、NOCTURNAL BLOODLUST、アルルカンというラインナップで開催。
トップバッターを務めたNOCTURNAL BLOODLUSTは、デスボイスとエクストリームな轟音でフロアの熱を急上昇させると、「銃創」ではウォールオブデスで盛り上がりを生む。「ここは先輩ともガチで戦う場所だと思ってるので、戻って来たらlynch.とも対決して欲しい」と語っていた尋(Vo)は、タンクトップを脱ぎ捨てて筋肉美を披露しながら、過激にメロディアスにと変幻自在のボーカルでオーディエンスの心を掴んだ。
NOCTURNAL BLOODLUST/尋 撮影=西槇太一
アルルカン/暁 撮影=西槇太一
続いて登場した『COMMUNE』初出演のアルルカンは、「今の自分たちをそのままみんなに見せたい」とこの日にかける想いや覚悟を語り、歌と演奏にたくさんの想いとメッセージを込めて、オーディエンスに全身全霊でぶつかっていた彼ら。「ダメ人間、準備はいいか?」と始まった、ラスト「ダメ人間」ではオーディエンスが拳を上げて応えて、会場に一体感を生んだ。
アルルカン 撮影=西槇太一
メトロノーム/シャラク 撮影=西槇太一
3番手に登場したメトロノームは09年に活動を休止し、今年9月に活動を再開したばかり。この日のライブのMCで「昔見て“カッケェ!”と思ったのが間違いじゃなかったと思って嬉しかった」と逹瑯が語っていたように、MUCCがインディーズ時代に共演していたこのバンド。「みなさん、一瞬で7年、歳を取ったことはありますか? 僕らはあります」と笑わせると、ブランクを感じさせないステージパフォーマンスと、エレクトロとバンドサウンドを融合した独創的なサウンドでオーディエンスの体を揺らす。9年ぶりの新曲「解離性同一人物」では、重厚かつポップなサウンドにキャッチーなメロディを乗せて、シンセやテルミンの演奏を加えた最新型のメトロノームサウンドで沸かせた。
メトロノーム 撮影=西槇太一
Plastic Tree/有村竜太朗 撮影=西槇太一
続いて登場したのは、Plastic Tree。「イロゴト」、「曲論」と続き、「やあやあ」と自然体のMCで自分たちの空気を作ると、「イベントも後半。化粧も落ちてきてるみたいだけど、僕らも早く追いつきたい」と激しくエッジィで悲痛な「梟」で熱いパフォーマンスを見せる。
さらに「一番マッチョな曲やります」と披露したのは「Ghost」。たくましく切ない歌声が映えるヘヴィな演奏にオーディエンスがヘドバンを合わせる中、竜太朗もヘドバンをして笑顔を見せる。「楽しい夜をありがとう。僕らはそろそろ記憶の星になります」とラストに演奏されたのは、「アンドロメタモルフォーゼ」。美しく力強いバンドアンサンブルと伸びやかな歌声が壮大で幻想的な世界観を生み、会場を包みこんだ。
MUCC 撮影=西槇太一
2日間に渡って行われた『COMMUNE』の大トリを務めたのは、もちろんMUCC。YUKKE(B)の野太いベースが鳴る中、逹瑯が「暴れられんのか!」と煽り、「大嫌い」でライブがスタート。
前半戦は「絶望」「スイミン」といった、初期DANGER CRUE時代の楽曲を中心に構成したセットを前のめりな攻めのステージで展開。SATOち(Dr)のドラムで始まり、ファンから歓声が起きた「イタイ手紙」や「暗闇に咲く花」は、深みのある演奏にたっぷり気持ちを乗せた逹瑯の歌声が映え、オーディエンスが釘付けになる。
「このイベント楽しくないか?」と始まったMCでは、「またこういうイベントをウチのリーダーがやってくれると思うので。その時はlynch.も呼ぼう。そんなに遠くない未来に会いましょう」と語り、「さぁ、踊って暴れる時間だぜ!」と「娼婦」、「蘭鋳」で大きな盛り上がりを生む。
希望溢れる「TONIGHT」で本編を終えると、アンコールではPlastic Treeの竜太朗、ナカヤマアキラ(G)をステージに迎えて、前日に続いてlynch.「MIRRORS」のカバーを披露。このステージで叶えられなかった3組の共演を別の形で叶え、『COMMUNE Vol.2』を締めくくった。
取材・文=フジジュン 撮影=西槇太一