Amelie、強さも弱さもありのままを晒け出して挑んだ過去最大のステージ

レポート
2016.12.9
Amelie Photo by JUNPEI HIYOSHI

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『君が為に鐘は鳴る / さよならバイバイ』 Release Tour 2016 2016.11.30 TSUTAYA O-WEST

今年9月に1stシングル『君が為に鐘は鳴る / さよならバイバイ』をリリースしたAmelie。東名阪をまわったそのレコ発ツアーは東京・TSUTAYA O-WESTでファイナルを迎えた。そもそもO-WESTはメンバーにとっても思い入れの強い場所。まず、mick(Vo/Gt/Pf)がまだ学生の頃、初めて“ライブハウスでライブを観る”という経験をしたのがこの会場だったという。そして何といっても、O-WESTはワンマンとしてはAmelie史上最大規模のハコである。シングルリリース時のインタビューの際、“自分たちの歌っていることに嘘をつきたくないから”という理由でこのタイミングで挑戦することに決めたのだということを話してくれた。

Amelie Photo by JUNPEI HIYOSHI

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演奏を始める前にmickが「今日みたいにまたひとつ、みんなと夢を叶えることができて超幸せです。楽しむ準備はできてますか!?」と伝えてから「honey」でライブはスタート。挨拶代わりに七色のサウンドを煌めかせたあとは、スピード感抜群のサウンドが炸裂する「GuruGuru」でギアチェンジ。続く「アネモネ」でさらにアクセルを踏み込む流れだ。mickはハンドマイク片手にお立ち台へと駆け出し、早口でグワーッとフロアを煽っていく。序盤の数曲はやや演奏も固かったのだが、最初のMCが明けたところで、「ここから先はみんなの力がうちらには必要なの!」とmick。こういうところで躊躇いなく相手のことを求められる“人たらし”なところがこのバンドの良さだよなあ、と思わず頬を緩めてしまったところで、演奏がグンと良くなったから驚いた。メロウな旋律もエッジの効いたカッティングも繰り出す直人(Gt/Cho)。前傾姿勢でオーディエンスの表情一つひとつを確かめながらニコニコと演奏するあっきー(Ba/Cho)。時にはバンドをクールダウンさせ、時にはバンドをさらに焚きつけ……という縁の下の力持ちポジションのアサケン(Dr/Cho)。そしてジェスチャーをしたり飛び跳ねたりして全身を目一杯使いながら、その歌声を届けていくmick。4人のサウンドはワンパクに転がり始め、メンバーの表情も見る見るうちにやわらかくなっていく。

Amelie Photo by JUNPEI HIYOSHI

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どうしても強がってしまうその気持ちを表した「GuruGuru」や「アネモネ」があり。ここから抜け出したい、でもなかなか抜け出せない、というもどかしさを御伽話風に味付けした「月夜に君とランデヴー」があり。自分のコンプレックスを認めてくれる人に出会えた喜びを覚悟に変えていく「WONDER」があり。オーディエンスとの相乗効果を経てバンドの演奏がどんどん自由なものに変わっていった点も含めて、この日のライブはAmelieが持つ陰と陽をグラデーションで表したような、もっと言うと、このバンドが歩んできた道のりそのもののようなライブだった。「今こうやって目の前にみんながいてくれるから、あの日の後悔だって許せたんだよ」――mickによるそんな言葉のあとに披露された新曲「タイムライン」を経て、セットリストはいよいよ後半戦へ。バンドが変わるキッカケになった曲だという「グッバイハロー」が温かく響きわたる中、オーディエンスによる手拍子が軽やかに鳴る。

<たった数十センチの勇気で世界が、輝き出した/君はどうだい?>。手に入れた勇気を胸にそう問いかけるこのバンドは、その気持ちを糧に、今度は出会った人々の胸に勇気を灯すような存在になっていく。「さよならバイバイ」「君が為に鐘は鳴る」が連続で演奏され、感情全部乗せ状態になったサウンドにはそういうエネルギーが漲っていたし、そんな中、mickは「ツアーファイナルだけど、終わりではなくここからが始まりの日だと思ってやってきました!」と叫んだ。この日のライブは、AmelieAmelie自身を認めていくような温度感のものだったが、それはつまり、聴き手が抱える陰と陽を受け止めることとイコールであるのだということを改めて実感する。

Amelie Photo by JUNPEI HIYOSHI

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冒頭に書いた通り、この日はAmelieにとって挑戦の一日だったが、終盤のMCで明かされた通り、チケットはソールドアウトしなかった。そんなことは最後まで言わなくてもこのワンマンを終えることはできたわけだが、自分たちの音楽を求める人たちが集まる場所でそういう部分を誤魔化すことが嫌だったのかもしれないし、後に続くスタッフやオーディエンスに対する感謝の言葉をきちんと伝えるためにあえて口にしたのだと思う。「今まではギリギリでソールドしてたけど今日はダメだったんだよ。ソールドアウトすることが正義だと思ってたし、正直ここに立つまでビビってました。けど、そういうことじゃないなって」と、彼らはありのままの気持ちを伝えていた。

そんな流れもあったからだろうか、本編ラストに演奏された「ヒーロー」は“ずっとあなたのそばにいるよ”というバンドの頼もしい宣言である一方、“だから私のそばにいてね”と言っているようにも聴こえた。肝心な時に「ありがとう」や「大好き」、「ごめんなさい」を素直に言葉にできなくて人間関係の糸を絡まらせてしまいがちな私たちと同じように、このバンドもある種の弱さを抱えたまま前へ進み続けている。それぞれが抱えた弱さや不器用さを音楽の中で曝しあっては笑いあいながら、そうして1人では足りないところを互いに補い合いながら、Amelieと彼らの音楽を愛するみんなの日々は続いていくことだろう。この日披露されたもうひとつの新曲「ドラマチック」は、全感情を溢れさせるバンド対聴き手の関係性を祝すような明るい響き方をしていた。

Amelie Photo by JUNPEI HIYOSHI

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来年1月11日には1stミニアルバム『ドラマチック』を発売。その後は地元のライブハウス・越谷EASYGOINGSを皮切りに、全国をまわるという。ツアーファイナルは今から約半年後の5月19日、東京・渋谷CLUB QUATTRO。キャパシティはもう一段階アップするが、自分のことをひとつずつ許しながらどんどん素直になっていく彼らの音楽ならば、もっと多くの人を巻き込み、笑顔にさせることができそうだ。その挑戦はまだまだ続くが、今度は満員の会場で観られたらいいなと思う。


取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=JUNPEI HIYOSHI

Amelie Photo by JUNPEI HIYOSHI

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セットリスト
『君が為に鐘は鳴る / さよならバイバイ』 Release Tour 2016
2016.11.30 TSUTAYA O-WEST
1. honey
2. GuruGuru
3. アネモネ
4. 月夜に君とランデヴー
5. リリィ
6. WONDER
7. 手をつないだ
8. タイムライン
9. グッバイハロー
10. 手紙
11. parade
12. さよならバイバイ
13. 君が為に鐘は鳴る
14. メグリメグル
15. ヒーロー
[ENCORE]
16.ドラマチック
17. monster

 

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