クリエイター Rie Mukai |こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第13回】
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Rie Mukai
クリエイター Rie Mukai
「パリのアーティスト」と言うと、なんだか随分遠い存在の人に感じられるかもしれません。私も毎度いろんなアーティストに出会う度に、同じパリに住んでいるのに「アーティスト」というだけで、違う世界の人に感じてしまうことがよくあります。今回取材させていただいたRieさんは、パリでの活動を本格的に始めたばかり。この連載の中で取材させてもらったどのアーティストよりも身近に感じられ、「こんな風に人はアーティスト活動を始めるんだな」という初々しさと、あふれる意欲が感じられるお人柄でした。
――パリで活動されるようになったキッカケを教えてください。
日本にいる時から手作りをするのが好きだったので、仕事をしながらも姉や友人にウェディング用のヘッドドレスを作ったり、大好きなレースを使ったさまざまなアクセサリーを制作していました。ただ、新しいレースは日本で手に入っても、古いヴィンテージやアンティークのものとなるとなかなか手に入りづらいし、高額なものばかりでした。
中世ヨーロッパの世界や服飾史が好きで影響を受けていたので、アンティークの魅力に惹かれ新品レースには何か味気なさを感じていたのです。そこで、パリに行ってもっと作品づくりのためのレースを探してみたいと思い立って、ワーキングホリデー・ビザを申請したら取得できたんです。それからバタバタと渡仏準備をし、仕事を辞めて勢いでパリへ来ました。
――どのような作品を制作されているのですか?
フランスの1900年前後のレースのモチーフをポイントにしたネックレス、イヤリング、ミニBAGが中心です。使っているレースには年代物の機械レースもありますが、当時、手で編まれたレースを主に探し、"昔の人の手仕事に私の手仕事を重ねて、現代ファッションの中で古いレースに再び光を浴びさせる"というスタイルです。手編みのニット、革や布をベースにヴィンテージボタンやビーズ刺繍でレースを一針ずつ手縫いで装飾します。
パリに来た当初は、作品づくりというよりも生活するのに精一杯だったので、アルバイトをしながら週末にパリ中の蚤の市を渡り歩いてレースを集めるという生活でした。パリでは日本に比べて圧倒的にヴィンテージやアンティークの古いレースを手に入れやすくなりました。
ここ最近ようやく作品づくりに取りかかれるようになり、これまで集めてきた古いレースをもとにアクセサリー作りをしています。いつも作品のデッサンなどを描かず、レースのモチーフや素材からアイディアをもらい、全て手作業で作品づくりをしています。「レース」というと、ドレッシーで、フェミニンなイメージの素材なのですが、もっと日常的に楽しんでもらえるような作品づくりを心がけています。
――これからの活動予定を教えてください。
新しく毛糸や金属を使ったアクセサリー作りにも挑戦しているのですが、このパーツは、シルバー・ジュエリーのアーティストでもある夫に作ってもらっているので、夫婦のコラボ作品になっています。この制作スタイルは様々な作品の可能性が拡がります。
今後は、新たに取り組んだ編み物技術の向上を目指し、歴史を刻んで眠っている質の良いレースを探し続けそれを生かしたファッション雑貨全般を制作したいです。やってみたいことは尽きません。本格的な制作や、展示活動もまだまだ始めたばかりですが、これからもっと作品を増やして、展示会などにもどんどん参加していこうと思っています。
福岡県出身。大阪モード学園卒業後、都内アパレル企業数社に勤務し企画生産から百貨店販売等に携わる。
2009年にsalon de reine(サロン ド レーヌ)を立ち上げレースを主体にしたアクセサリーの制作を開始。2010年末に活動を休止し渡仏。週末の蚤の市めぐりを日課に一年間のパリ滞在後、帰国。再渡仏し2015年にフランスのヴィンテージ・アンティークレースを主体にしたアクセサリーをパリで初の合同展示会に出品。2016年にニット×レースの作品を展開。今後もパリからアンティークレースを主体にしたハンドメイドのオリジナルファッションアイテムを発信する。