柳楽優弥、ヨコハマ映画祭主演男優受賞で男泣き「役者バカになりたい」
第38回ヨコハマ映画祭の授賞式が、2月5日に関内ホールで開催され、三浦友和、柳楽優弥、筒井真理子、杉咲花ら豪華ゲスト陣が舞台挨拶に登壇。『ディストラクション・ベイビーズ』(16)で主演男優賞に輝いた柳楽は、鮮烈な俳優デビュー作『誰も知らない』(04)で第26回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞の受賞時以来の登壇となり、これまでの道のりを振り返って男泣きをした。
柳楽は言葉を詰まらせながらも力強くスピーチ。「『誰も知らない』で受賞した時は、たしか海外で映画を撮影していて来れなかったんです。それから悩んだりいろいろなことがあったりしましたが、12年経って、またここに立てて本当にうれしいです。とても名誉ある賞だと思っているので、押しつぶされないように筋トレを頑張って、負けないメンタルと演技力をつけて、役者バカになりたいなと思いました」。
サプライズゲストとして、柳楽優弥が高い評価を受けた『許されざる者』(13)の李相日監督が登場すると「いろんな人に迷惑をかけてきたよね。家族とか」と柳楽を支えた家族のこともねぎらった。さらに「当時、やる気とは違う切実さが現場で強かった。自分のすべてを懸けてる感じが伝わってきました」と当時の柳楽についてコメント。
続いて登壇したのは、三浦友和『葛城事件』(16)で同じく主演男優賞を受賞した三浦友和だ。三浦も『台風クラブ』(85)での助演男優賞以来31年ぶりの受賞となった。「相米(慎二)監督と壇上に立ってトークをした記憶があります。相米監督は天国に逝ってしまいましたが、あの作品のおかげで変わった役をたくさんいただけるようになり、それが『葛城事件』につながっています」。
『淵に立つ』(16)で主演女優賞に輝いた筒井真理子は「こうやって表彰されるのは小学校でお絵描きで金賞をいただいて以来です。続けてきて良かった」とおちゃめにスピーチ。本作で、3週間で13kg体重を増量するという過酷な役づくりに挑んだ筒井は「3週間食べ続けました。深夜に担々麺屋さんで担々麺と水餃子を食べてスープまで飲み干す。食べる度に手がしびれてきて生活習慣病になるかと思いました」と壮絶な舞台裏について述べた。
作品賞を受賞した 『この世界の片隅に』の片渕須直監督のスピーチにも思いの丈が込められていた。クラウドファンディングを立ち上げてからの苦労を口にしつつ、支えてくれた大勢の人々に感謝した。
「こんなふうに大変大きな賞をいただけることになったのは、現在述べ130万人にこの映画の存在をきちんと伝えることができて、みなさんが映画館に来ていただけたからだと思います。お客さんがどんどんお客さんを招き入れてくれました。いままでも僕は映画を何本も作ってきましたが、どこかでアニメーションであることがたくさんの方に届けることができない要因なのかとも思ってしまっていて。でも、受賞によって僕がいままで思い悩んでいたことが払拭されたんじゃないかと。アニメーションが新しく広がる礎になれればいいかなと思いました」。【取材・文/山崎伸子】