ラドミル・エリシュカ(指揮) 札幌交響楽団 東京公演 ドイツ・ロマン派の傑作に聴く巨匠の至芸

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クラシック
2017.3.12
ラドミル・エリシュカ Photo:佐藤雅英

ラドミル・エリシュカ Photo:佐藤雅英


 チェコの名匠であり、ヤクブ・フルシャなど現在活躍中の若手指揮者たちを育てた名伯楽でもあるラドミル・エリシュカ。1931年生まれなので、今年86歳にならんとする巨匠が、2006年から共演を続ける札幌交響楽団(現在は名誉指揮者となっている)と共に再び東京公演を行う。

 前回は、演奏後にオーケストラが舞台を去っても拍手が鳴り止まず、エリシュカが再びステージに呼び戻されたというほど、熱狂的にその演奏が支持された。札幌でエリシュカが指揮をするたびに東京から“通っていた”音楽ファンも多かったが、東京での公演は再び熱い雰囲気に包まれそうな予感がする。

 さて、今回の東京公演はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」に始まり、シューベルトの交響曲第5番、そしてブラームスの交響曲第1番と、ドイツ・ロマン派の名作を集めたプログラムである。エリシュカと言えば、当然のことながら、チェコ、東欧の作品では他者の追随を許さない豊かな演奏を聴かせてくれた。しかし、実はブラームスも昔から得意としており、すでに第2番〜第4番の交響曲を札幌交響楽団と録音に残している。そして最後に残っている第1番を、今回はライヴで体験できるのだ。情感豊かなメンデルスゾーンの音楽、一陣の爽やかな風のようなシューベルトの傑作、そして作曲家の苦闘の跡も見られるブラームスの重厚な交響曲。信頼を置く札響と共に、エリシュカがロマン派への旅へ誘ってくれる。

文:片桐卓也
(ぶらあぼ 2017年3月号から)


ラドミル・エリシュカ(指揮) 札幌交響楽団 東京公演
3/14(火)19:00
東京芸術劇場 コンサートホール
問合せ:カジモト・イープラス0570-06-9960/札幌交響楽団011-520-1771
http://www.kajimotomusic.com/
http://www.sso.or.jp/
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