国家を揺るがす運命の恋の幕が上がるーー藤木直人×マイコ×河原雅彦が語る音楽劇『魔都夜曲』の魅力

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『尺には尺を』から1年、俳優・藤木直人が4度目の舞台に立つ。

音楽劇『魔都夜曲』は、1930年代の上海を舞台にした、禁断の恋と陰謀が渦巻くスリリングな大人のエンターテイメントだ。藤木直人が演じるのは、公家の血筋に生まれ育ち、日本政府要職に就く父を持つ御曹司・白河清隆。華やかな身分でありながら、遊び好きで明朗快活な白河は、父に命じられ訪れた上海で気ままな遊興生活を送っていた。

そんな白河と出会い、恋におちるヒロイン・周 紅花(チョウ ホンファ)には、女優のマイコ、その他共演者には、小西遼生、橋本さとしなど、演劇界で活躍する俳優が勢揃いする。さらに脚本は、重厚な人間ドラマに定評のあるマキノノゾミ。演出は、話題作が続く河原雅彦が務める。

今回は、初の顔合わせとなる藤木、マイコ、河原の3人の豪華クロストークが実現。実話をベースにしているという本作の一端を語ってもらった。


知れば知るほど面白い、1930年代の魔都・上海

ーー本作は、マキノノゾミさんの脚本作品ですが、まずはこの作品の誕生の経緯を教えていただけますか。

河原:この作品は、僕が所属しているキューブという会社の20周年記念公演なんですけど、上層部の方たちが「いつか舞台にしたい」と温め続けていた思い入れの深い題材があって。それが、主人公のモチーフになっている近衛文隆さん。この方は、三度、内閣総理大臣を務めた近衛文麿の長男で、実際に上海へ赴いたこともあるんですね。そのときのエピソードをベースに書き下ろされたのが、この『魔都夜曲』というお話で。僕も今まさに近衛文隆さんのことや、1930年代の上海について、いろいろ調べているところです。
 

ーー現時点で魅力を感じているのは、どんなところですか。

河原:李香蘭とか川島芳子とか、名前は聞いたことある人たちがたくさん出てきて。政治情勢も複雑で混沌としている。そこがすごく面白いな、と。素材として魅力的なものがいっぱいあるだけに、それをどう面白く演出していくか。今はとにかくいろいろ吸収している真っ最中です。

藤木直人

藤木直人

ーー藤木さんやマイコさんはご自身の役柄についてどんな印象を抱きましたか?

藤木:白河清隆という男性は、名家の子息なんですけど自由奔放なところがあって、今までの僕があまり演じてこなかったタイプのキャラクター。それをどう演じていくかは、これからの楽しみですね。
ただ、その奔放さというのも、現代の奔放さとはまた意味が違って。当時は国と国が争いのさなかにあって、一歩間違えれば命を失う危険性もあった。そんな中での自由奔放さなんだと先ほど河原さんから伺って。そういった時代背景や当時の人たちの感覚は、現代を生きている自分には想像しても、なかなかし尽くせないところではあります。
モデルになった近衛文隆さんも最後は悲運の死をとげられた方。名前も変えていますし、フィクションとは言え、実在した方をモデルにした役を演じる責任感と難しさを感じますね。

マイコ:私が演じる紅花は、中国人の父と日本人の母を持つハーフで、彼女もまた何をしでかすかわからない自由奔放なところがある女性です。藤木さんのおっしゃる通り、一言で自由奔放なキャラクターと言っても時代が違えばまったく意味が変わります。だから、まずは彼女のバックグラウンドをしっかり理解することが大事。そのためにも当時の歴史的背景をいろいろ勉強したいなと思っているところです。

マイコさんには、「弟のお嫁さん」というイメージがありました(笑)

ーーちなみにおふたりは初共演ですが、お互いの印象は?

マイコ:藤木さんのイメージは、やっぱり「王子様」(笑)。私の周りに、藤木さんと舞台で共演された方がいるんですけど、みなさん口を揃えて「すごくいい人」とおっしゃるんですね。自然とカンパニーの士気を高めてくださるし、お芝居にも誠実で、「藤木さんがいたから頑張れた」というお話をたくさんの人から聞いて。今から共演がとても楽しみです。

藤木:僕の場合は、マイコさんに関してはCMの印象が強くて、物静かでおしとやかというイメージを持っていたんですけど。先日、まだ共演するという話を聞く前に、偶然マイコさんが出演されていた舞台(『お気に召すまま』)を拝見して。そこで演じていらっしゃった役が、僕の持っていたイメージとは真逆だったんですよ。エネルギッシュな役柄をとてもチャーミングに演じていらっしゃって、すごい方だな、と。
あとは旦那様とは以前、ドラマ(『スローダンス』)で兄弟役をやらせていただいたこともあったので、勝手に「弟のお嫁さん」というイメージを持っていました(笑)。

マイコ

マイコ

ーーおふたりに対する河原さんの印象は?

河原:白河という男は、政府要人の息子でしょう? そうなると育ちがやっぱり大切で。上流階級との付き合いもあるだろうし、どんなにざっくばらんな性格でも、立ち居振る舞いはソフィスティケートされているところが必ずある。その決して崩れることのない品の良さが、藤木さんにぴったりだと思っています。
マイコさんにしても、そういう御曹司が惹かれる女性ですから、どこが魅力かと言えばやっぱり品の良さと生命力だと思うんです。当時の方ってみなさんエネルギッシュなんですよ。我々のように平和ボケしていない。今回のキャストは、(橋本)さとしくんしかり小西(遼生)くんしかり、みんな生命力の強そうな方ばかり。マイコさんも見るからに生命力がにじみ出ていらっしゃるので、きっと素敵な紅花を演じてくださるだろうと期待しています。
 

お客さんがドキドキソワソワできる一級の見世物にしたい

ーー今回は、音楽劇と銘打っているところが注目ですね。

河原:難しいところですよね。ミュージカルではないですから、感極まって気持ちを歌に乗せるというのとはまた違う。基本的に今、マキノさんが書いてらっしゃるストーリーラインは音楽というものを特に意識はされていないんです。そこに、どう音楽を融合させていくかは、これから作戦を練っていくところ。今回は歌えるキャストの方も多いですしね。藤木さんもギターはお得意と聞いてるので、そのあたりは入れられたらと思うんですけど。
 

ーー見てみたいですね、藤木さんの演奏される姿は。

藤木:そうですね。とは言っても決して藤木直人としてギターを弾くわけではないですから。ギターは昔からずっとやっていますし大好きなので、もしストーリー上で必然性があれば弾いてみたいなとは思います。
 

ーーマイコさんもバレエをやってらっしゃったので、ぜひ踊っている姿は見たいです。

マイコ:踊りは私も好きなので、もしそういう機会がいただけるなら嬉しいですね。歌は、以前音楽劇(『ヴォイツェク』)をやったことがあるんですけど、そのときは子守歌だけでした(笑)。今回は……どうなるでしょう? そのあたりは稽古が始まってからのお楽しみですね。
生バンドも登場しますし、音楽の華やかさと、1930年代の歴史的な影の部分が相まって、きっとドラマティックな作品になるんじゃないかなとワクワクしています。

河原雅彦

河原雅彦

河原:重厚なハードボイルドを得意とされているマキノさんの脚本に、音楽を含めたエンタメとしての華やかさや、上海の妖しさを色づけしつつ、いい意味でいろんなものが混沌としている舞台になれば。
物語としても、いろんな人の思惑が渦巻く中で、まっすぐ純粋に生きる白河の姿が軸になると思うんです。その純粋さも、ボンボンならではの良い意味での世間知らずなところがあるからこそ。周囲にとらわれず、自分の立場も忘れて大胆な行動に出る白河を追いかけながら、お客さんがドキドキソワソワできる一級の見世物にしたいですね。
 

見ている方が本物の恋だと思うくらい、のめりこんで演じられたら

ーーそういう意味でも、やはり気になるのは、白河と紅花の間に生まれる「秘められた恋」です。

河原:この恋はダメですよ(笑)。いろんな人に迷惑をかけて、国家を揺るがす重大問題にさえなりかけるわけですから。それでもふたりはいろんな事情を振り切って恋を貫こうとする。その情熱と覚悟がドラマですよね。
 

ーー藤木さんとマイコさんは、こうした障害のある恋についてはどう思いますか?

マイコ:もちろんドラマとしては面白いと思うんですけど、自分が同じ立場だったら選ばないと思います。人に迷惑をかけるのはあまり好きではないので……(笑)。

藤木:実際、それだけ情熱的な恋におちることができる人の方が少ないですよね。もしも自分が白河と同じ立場になったとき、白河のような行動に出られるかと言うとわからないですし。そういう叶わない恋、滅多にない恋だからこそドラマになるんだと思います。
 

ーーそんな許されざる恋をどんなふうに演じていきたいですか?

藤木:まだ台本をいただいていないので、どうなるかはわかりませんが、弟のお嫁さんですし、妻夫木くんを嫉妬させるような恋愛がしたいなと思います(笑)。

マイコ:藤木さんとそういう恋愛が演じられるのは、本当に幸せ者だなと思います。だから、見ている方が本物の恋だと思うくらい、のめりこんで演じられたら。
 

ーーでは、最後に河原さんから意気込みをいただければ。

河原:コンプライアンス的にダメなことばかりの現代から見ると、1930年代の上海に生きる彼らの姿ってすごくプリミティブ(原始的)だと思うんですよね。いろんな事情や思惑を取っ払って、愛を貫こうと力強く前に進んでいくふたりや、それを取り囲む他の登場人物の生き方は生命力豊かで人間力に満ちあふれている。そんな彼らのエネルギーを最大限に引き出して、お客さんがチケット代を忘れるくらい、カタルシスのある作品にできればと思います。

衣裳:生澤美子
ヘアメイク:大渡八千代(藤木)、中原雅子・奥戸彩子(マイコ)

取材・文・撮影=横川良明

プロフィール
藤木 直人(ふじき・なおひと)
1972年7月19日生まれ。千葉県出身。95年、映画 『花より男子』の花沢類役で俳優デビュー。連続テレビ小説『あすか』をはじめ、『ナースのお仕事』シリーズ、『LOVE REVOLUTION』とヒット作に立て続けに出演。以降、映画・ドラマ・舞台・音楽とジャンルを問わず幅広く活躍。近年では『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』『嘘の戦争』など話題のドラマに出演する他、蜷川幸雄演出の『海辺のカフカ』『尺には尺を』など舞台でも高い評価を得る。

マイコ(まいこ)
1985年3月15日生まれ。08年、映画『山のあなた〜徳市の恋〜』のヒロイン役でスクリーンデビュー。その後、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』『SPACE BATTLESHIP ヤマト』などの映画に出演する他、10年に大河ドラマ『龍馬伝』、11年にNHK連続テレビ小説『おひさま』に出演し、お茶の間でも広く親しまれる。近年の舞台出演作に『ガラスの仮面』『お気に召すまま』がある。

河原 雅彦(かわはら・まさひこ)
1969年7月7日生まれ。92年、ネオ演芸集団「HIGHLEG JESUS」を旗揚げ。総代として、全作品の構成・演出を手がけ、「ハイレグ・マニア」なる熱狂的なファンを生み出す。02年の解散以降は、俳優・演出家・脚本家として多方面に活躍。06年、シス・カンパニー公演『父帰る/屋上の狂人』の演出で第14回読売演劇大賞・優秀演出家賞を受賞した。16年は『50Shades〜クリスチャン・グレイの歪んだ性癖〜』の演出でも話題を呼んだ。
 
公演情報
cube 20th presents 音楽劇『魔都夜曲』(まとやきょく)」

■作:マキノノゾミ
■演出:河原雅彦
■出演:
藤木直人 マイコ 小西遼生 壮 一帆 松下洸平 秋 夢乃
高嶋菜七(東京パフォーマンスドール) 浜崎香帆(東京パフォーマンスドール)
中谷優心 キッド咲麗花(TPD DASH!!) 村上貴亮 吉岡麻由子 前田悟 板倉チヒロ
田鍋謙一郎 奥田達士 コング桑田 春風ひとみ 山西惇 村井國夫 橋本さとし

<東京公演>
■日時:2017年7月7日(金)~29日(土)
■会場:Bunkamura シアターコクーン
■チケット料金:プレミアムシート 15,000円 S席 11,000円 A席 8,500円 コクーンシート 5,000円(全席指定、税込)

 
<愛知公演>
■日時:2017年8月5日(土)・6日(日)
■会場:刈谷市総合文化センター アイリス
■チケット料金:プレミアムシート 15,000円 S席 11,000円 A席 8,500円(全席指定、税込)

 
<大阪公演>
■日時:2017年8月9日(水)~13日(日)
■会場:サンケイホールブリーゼ
■チケット料金:プレミアムシート 15,000円 S席 11,000円 A席 8,500円 ブリーゼシート 5,000円(全席指定、税込)

 
※プレミアムシートは前方限定、オリジナルお土産(当日お渡し予定)をお付けいたします
■企画・製作 株式会社キューブ
■キューブ公式サイト https://cube-s.wixsite.com/matoyakyoku

 
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