【THE MUSICAL LOVERS】 ミュージカル『アニー』 [連載第2回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(前編)
-
ポスト -
シェア - 送る
ブロードウェイ、シューバートアレーのイヴェントより(2013年)
【THE MUSICAL LOVERS】
Season 2 ミュージカル『アニー』
【第2回】 アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(前編)
アニーになりたい筆者は、2012年~2014年にかけて上演されたニューヨークでのブロードウェイ・リバイバル公演『アニー』を、2013年に2回観劇した。
アニー役はリラ・クロフォード。アニーを演じたとき、彼女の年齢は11歳(2012年)~13歳(2014年)であった。天才的な歌唱力で、以後、映画『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014年/日本では2015年公開)の赤ずきん役で一躍世界的スターになったのを、ご存知の方も多いだろう。
ブロードウェイには、劇場ごとに出演者たちが出てきてサインをしてくれる「ステージドア」がある。『アニー』は当時大人気だったTVドラマ『glee』のスー先生役、ジェーン・リンチがミス・ハニガン役で出ていることもあり、ステージドアは大混雑だった。皆ひしめきあいながら、出演者たちを待っている。
筆者が購入したミス・ハニガンのマグネット(公式グッズ)。ジェーン・リンチさんのミス・ハニガン千穐楽の2013年7月14日は、朝から『glee』キャスト、コリー・モンティスさん死去が大きく報じられた日だった。 リンチさんはそれでも舞台をつとめ、さらにはファンの待つステージドアで多数のファンへサインの対応をしてくれたのだった
筆者(当時38歳)は考えていた。リラ・クロフォードに、“あのこと”を聞こう、と。“あのこと”、つまり、「どうしたらアニーになれますか?」
どう切り出そうか迷っているうちに、アニー役、リラ・クロフォードが出てきた。その瞬間、隣にいた中学生くらいの少女が叫んだ。「リラ・クロフォードちゃ~ん! どうしたらアニーになれるの?」
筆者 「きみ、いい質問するね!」
世界のお悩み、おんなじだな! と感心した筆者は、リラの答えを待った。
「ああ、それなら、オーディション.comを見てネ!」
そうじゃない、我々が聞きたいのは、そうじゃないっつーの。ついでに言えば、「オーディション.com」なんてサイトは、なかった!
ブロードウェイ2013年版のパンフレット
■何歳までアニーになれるの?
リラ・クロフォードに質問した少女は、14歳~15歳に見えた。42歳でアニーになりたい筆者が言える立場ではないが、もう11歳の孤児・アニーを演じられる年齢には見えなかった。
そう、アニーには年齢制限があるのだ。日本版は6歳から15歳までオーディションを受けてよいのだが、アニーは劇中11歳なので、近年のオーディション合格時年齢は、やはり前後1~2歳といったところだろうか(2017年のアニー役、野村里桜さんは9歳、会 百花さんは11歳。2016年のアニー役、河内桃子さんは10歳、池田 葵さんは12歳だった)。
毎年日本テレビ系列で放送される『アニー』のメイキング番組では、オーディションの際「成長をしないように、給食以外で牛乳を飲まないようにしています!」とアピールした子が過去にいた。子どもは突然大きくなる可能性があって、印象もがらりと変わってしまうから、そう主張したい気持ちもよくわかる。
では、15歳までにアニーになれなかった夢追い人は、どうしているのだろう。
■アニーになりたいまま、大人になった人々
直近では2016年9月に本多劇場で上演された、月刊「根本宗子」第13号『夢と希望の先』(作・演出:根本宗子)が、筆者にとっては「アニー演劇」だった。ラスト5分、突然「Tomorrow」がかかり、雰囲気が一変。ラストは全員で、「Tomorrow」のサビを英語で熱唱するというもの。
劇中、女優・橋本愛が、かつてドラマの「ヒロインの親友役」オーディションに行かなかったことを後悔していた。筆者は勝手に「『アニー』の最終オーディションに行かなかったことを、後悔しているの?!」と妄想し、「行って!!! 今すぐオーディション会場に行って!! そうじゃないと『アニーになりたいまま●●年』って、死ぬまで後悔するよ!!!!!」と心の中で叫んでしまったものだ。終演後は、2015年に日本でも公開された映画『ANNIE/アニー』のサントラがかかるなど、『アニー』ファン大興奮の公演であった。
月刊「根本宗子」第13号『夢と希望の先』公演チラシ
2008年11月~12月に東京・PARCO劇場、2009年1月に大阪・サンケイホールブリーゼで上演された『グッドナイト スリイプタイト』(作・演出:三谷幸喜)では、女優・戸田恵子が20代後半(役柄)にして「15歳」と年齢を偽り『アニー』オーディションを受けるものの、結局犬のサンディになつかれ、ドッグシッターになるというエピソードが!
戸田恵子のブログ にも当時のことが書かれている。また、PARCO劇場HP STAGE PHOTO でも、アニーさながらに赤毛のくるくるウィッグをかぶった戸田(当時51歳)が見られる。
ちなみに筆者は、自らのブログ を『14歳と●●●ヶ月』としているのだが、これも、「アニー」オーディション年齢を意識してのことである。戸田は、ブログの他記事でも、『グッドナイト スリイプタイト』の言葉として、「アニーだってまだまだやれる」 と述べており、実際 「アニーのオファーがあったらやりますよ!」 とも書いている。どちらかというと、孤児院の院長ミス・ハニガン役のオファーがありそうだが。
『グッドナイト スリイプタイト』チラシ
2015年2月には、東京・北沢タウンホールで劇団ポニーズ『いきなりガンダーラ』を観た。平日二日間のみの上演だったこの芝居のキャッチコピーは「旅する児童劇団員達の夢と希望と挫折と劣等感と怨嗟と友情と愛と軽薄さを完全舞台化!」だった。この「夢と希望」がまさかの展開。
『孫悟空』を上演するために稽古している児童劇団。だが、主役・孫悟空を演じる役者(みぞぐちあすみ)は、孫悟空なのにそばかすを念入りに描き、くるくるウィッグをつけている。彼女は『孫悟空』を演りながら、実は『アニー』をやっていた! そのことが周囲に知られた瞬間、彼女は孫悟空の衣装を脱ぎ捨て、下に着ていた『アニー』のワンピース姿になって、例の歌を歌いだすのだった。「朝が来れば……」
「夢に年齢制限はない!」「アニーにはあるけど……」という問答も秀逸。観劇当時、筆者は40歳。アニーになりたいまま40歳を超えた筆者の心は忽ち鷲掴みにされた! 「明日は、なろう。明日はアニーになろう」と、ますます希望が湧く公演であった。
劇団ポニーズ・みぞぐちあすみさん
我々は、アニーになれなくても、その後の人生は続く。いつかアニーになれる日を夢見て。だがその一方で、アニーになれた方々は、どんな「Tomorrow」を送っているのだろうか?
次回につづく
<アニーになりたい筆者よりお知らせ>
☆アニーのオーディションの様子などが見られる、2017「アニー」メイキング特番 オンエア日決定!
4月8日(土)10:30~ 日本テレビ(関東ローカル)
(※大阪・仙台・名古屋・上田の放送日は未定)
http://www.ntv.co.jp/annie/news/
■日程:2017年4月22日(土)~5月8日(月)
■会場:新国立劇場 中劇場
■日程:2017年8月10日(木)~15日(火)
■会場:シアター・ドラマシティ
■日程:2017年8月19日(土)~20日(日)
■会場:東京エレクトロンホール宮城
■日程:2017年8月25日(金)~27日(日)
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
■日程:2017年9月3日(日)
■会場:サントミューゼ大ホール
[スマイルDAY]
4月24日(月)17:00公演
4月25日(火)17:00公演
全席指定:特別料金6,500円(税込)
[わくわくDAY]
4月26日(水)13:00公演 / 17:00公演
来場者全員にオリジナルグッズプレゼント
(「犬ぬいぐるみ」「ハート型ロケットペンダント」「アニーのくるくるウィッグ」「非売品Tシャツ(Sサイズ)」4点のうちいずれか1点をもれなくプレゼント)
(入場
※ 4歳未満のお子様のご入場はできません。
※
■
■作曲:チャールズ・ストラウス
■作詞:マーティン・チャーニン
■翻訳:平田綾子
■演出:山田和也
■音楽監督:佐橋俊彦
■振付・ステージング:広崎うらん
■美術:二村周作
■照明:高見和義
■音響:山本浩一
■衣裳:朝月真次郎
■ヘアメイク:川端富生
■舞台監督:小林清隆・やまだてるお
野村 里桜、会 百花(アニー役2名)
藤本 隆宏(ウォーバックス役)
マルシア(ハニガン役)
彩乃 かなみ(グレース役)
青柳 塁斗(ルースター役)
山本 紗也加(リリー役)
ほか
■協賛:丸美屋食品工業株式会社
2017「アニー」メイキング特番 オンエア日決定!
4月8日(土)10:30~ 日本テレビ(関東ローカル)
(※大阪・仙台・名古屋・上田の放送日は未定→決定次第お知らせ)
http://www.ntv.co.jp/annie/news/
<チーム・バケツ>
アニー役:野村 里桜(ノムラ リオ)
モリー役:小金 花奈(コガネ ハナ)
ケイト役:林 咲樂(ハヤシ サクラ)
テシー役:井上 碧(イノウエ アオイ)
ペパー役:小池 佑奈(コイケ ユウナ)
ジュライ役:笠井 日向(カサイ ヒナタ)
ダフィ役:宍野 凜々子(シシノ リリコ)
アニー役:会 百花(カイ モモカ)
モリー役:今村 貴空(イマムラ キア)
ケイト役:年友 紗良(トシトモ サラ)
テシー役:久慈 愛(クジ アイ)
ペパー役:吉田 天音(ヨシダ アマネ)
ジュライ役:相澤 絵里菜(アイザワ エリナ)
ダフィ役:野村 愛梨(ノムラ アイリ)
ダンスキッズ
<男性6名>
大川 正翔(オオカワ マサト)
大場 啓博(オオバ タカヒロ)
木下 湧仁(キノシタ ユウジン)
庄野 顕央(ショウノ アキヒサ)
菅井 理久(スガイ リク)
吉田 陽紀(ヨシダ ハルキ)
<女性10名>
今枝 桜(イマエダ サクラ)
笠原 希々花(カサハラ ノノカ)
加藤 希果(カトウ ノノカ)
久保田 遥(クボタ ハルカ)
永利優妃(ナガトシ ユメ)
筒井 ちひろ(ツツイ チヒロ)
生田目 麗(ナマタメ レイ)
古井 彩楽(フルイ サラ)
宮﨑 友海(ミヤザキ ユミ)
涌井 伶(ワクイ レイ)