HEY-SMITH猪狩秀平がルーツから直近のUSツアーまで彼にとってのライブと「バンド」を語る
──ディスク1の大阪府民共済SUPERアリーナで行われたツアー・ファイナルの映像を観させてもらいましたが、ものすごくいいライヴで本当に感動しました!
ありがとうございます。ほんま正直な話、ベストは尽くしたけど、振り返ったら、もっとできたと思っちゃいますね。
──47都道府県62公演を新体制で回った初のレコ発ツアーでしたけど、感触はどうでした?
新体制でお披露目ツアーもやりましたけど、レコ発は初めてですからね。1本1本、灰になるまでやってやろう!という気持ちで臨みました。途中で体が壊れて、もうツアー無理!となってもいいくらいの気持ちでやろうと。
──なぜそういう意気込みでやろうと?
う〜ん、かっこいい奴はずっとかっこいいなと思って。ステージの上だけじゃなくてね。瞬間瞬間でギリギリになる。そういう体験を自分もやってみたくなったんですよ。
──何かあったんですか?
自分の周りにそういうかっこいい奴がいたから。ここで名前を上げると、本人が調子にノルから言わないですけど(笑)。
──誰ですか?
●●●●●です。こいつはかっこいいをどんどん更新してるなって。去年は一緒にいる時間も長くて、めっちゃ会ったんですよ。それでかなり影響を受けました。
──では、灰になるまでやってみた実感は?
いや、もうほんとに死ぬかと思いました(笑)。10月ぐらいからスケジュールがタイトすぎて、喉は治らないし、体も動かなくなって。
──万全の体調ではなかった?
万全だったのは最初の2、3本じゃないですか(笑)。
──マジですか!
ははははは、そこからはズタボロでした。その間にイベントやフェスにも出たし、万全ではなかったけど、かっこいいことをやれてる実感はありましたね。
──猪狩君が思うかっこいいの定義は?
何て言ったらいいかわからないけど、ジャーン!と弾いてるだけでかっこいいかどうかみたいな。
──ステージの立ち姿だけでも、存在感があるミュージシャン?
そうそう! そういう奴は普段からかっこいいんですよ。
──猪狩君個人ではなく、バンド自体のカタマリ具合はどうでしょう?
良いときと、悪いときと交互にありますね。またあいつあんなミスしやがって、またあいつあんなかっこ悪いことしやがって!と思うときがありますからね。
──そうときはどうするんですか?
むかついたら、イチイチ全部言います。おまえのここが気にくわないって。でも2回、3回同じことをやられたら、言わなくなる自分もいて。そういう自分も寒いと思うから、頑張って良くなるまで言います。ミスはそこまで気にしないけど、練習せずにいきなりチャレンジする奴とか、ほんとむかつくんですよ。アドリブでやりたい気持ちもわかるけど、練習してかっこいいものを見せた方がかっこいいけどねって。その言い合いもありましたね。
──なるほど。ファイナルは会場の規模感や観客の盛り上がりを含めて、かなりスペシャルな内容でしたね。
結果そう受け取ってもらえたなら、良かったです。当日は全く緊張しなかったですね(笑)。とりあえずいい感じで歌おう、演奏しよう、ぐらいのノリでした。
──ステージから火がバンバン上がったりと、いろいろ仕掛けもありましたけど、あれもやりたかったこと?
全部自分で考えましたからね。火が出る中でリフとか弾いてみたかったんですよ(笑)。
──それは猪狩君が大好きなスレイヤーのイメージとか?
そうそう。マーシャルも訳わからんくらい並んでたでしょ? メタル・バンドのズクズクというリフの中で、火がドーン!みたいなことはやってみたくて。
──はははは。何にグッと来たって、猪狩君が登場したときにパンテラの俗悪Tシャツを着ていたことですよ。心の中で「ありがとう!」と思いました。
はははははは。
──今年、ちょうど俗悪25周年ですからね。でもなぜあの日にパンテラ俗悪Tシャツを?
スレイヤーのTシャツにするかどうか、迷ったんですよ。あのジャケじゃないですか? あの日はそういう気持ちだったんですよ。
──ほんとに(笑)?
ほんまですよ。お客さんをしばいたる!という気持ちだったんですよ。
──『俗悪』のジャケのように、観客の横っ面をぶん殴ってやろうと?
はははは、そういう気持ちでしたね。