HEY-SMITH猪狩秀平がルーツから直近のUSツアーまで彼にとってのライブと「バンド」を語る

インタビュー
音楽
2017.4.4

──話は逸れますが、猪狩君はパンクとメタル、どっちを先に聴き始めたんですか? パンテラの『俗悪』はもちろんリアルタイムではないですよね?

全然。俺はパンクが先ですね。小学校の高学年でグリーン・デイと出会って、それからランシド、NOFX、バッド・レリジョンを聴いて。高校の最初にメタリカ、メガデスに出会ったけど、最初は無理!と思って、笑ってましたからね。で、ポール・ギルバート(Mr.BIG)がドリルを使って速弾きしてたじゃないですか。アホちゃうかなって。

──ははははは。

かっこ良くなかったし、お笑いみたいに見えたんですよ。イントロは長いし、曲もなかなか終わらないし。

──パンクとは全く別物だぞと(笑)。

そうなんですよ! で、大学に入ったときにハードコア命みたいになって、「おまえはスレイヤー、パンテラを聴いたことがないのか?」と言われて。それでスレイヤー、パンテラを聴いたときに、これがメタルなん? 最高やん!って。その2バンドからメタルを聴くようになったんですよ。

──スレイヤー、パンテラはどこが肌に合ったんですか?

悪さじゃないですか。最初にパンテラの『俗悪』を聴かされて、まず聴いたことないような音で、全部バスドラみたいなドラムやん!って。これを演奏している人は絶対悪い奴に違いないと。

──ははははは。

その悪さに惹かれたんでしょうね。それで好きになりました。

──なるほど。話をライヴの内容に戻しますけど、メンバー全員スーツ姿でディズニーのエレクトリカル・パレードで使用される曲「Baroque Hoedown」(Main Street Electrical Parade)をやりましたが、あれもやってみたかったことですか?

あれは完全にネタです(笑)。2時間半のショウの中にいい意味で休憩も必要だなと。だから、ああいうこともやってみたくて。で、俺はほんまにディズニーランドが大好きなんで。

──それは知ってます(笑)。

ははははは。

──エンターテイメント性があるのも、HEY-SMITHの魅力ですよね。

フザケたかったんですよ。あまりマジメ一徹すぎてもあれやし、息抜きやシャレも効かせたくて。

──それに拍車をかけたのが、「Like A Gentleman」と「Let Me Fly」ですね。

はははは、そうです。「Let Me Fly」は歌詞の意味とはまた違うけど、ああいうアホみたいなこと(*スカイダイビング)もやりたくて。

──「Like A Gentleman」の演奏時にスクリーンで流した映像(アニマル・セックス)は、猪狩君の真骨頂じゃないですか。あれはほかのバンドには絶対できないことです(笑)。

そうでしょ? みんなバンドをマジメにやりすぎなんですよ(笑)。自分で観ても、笑っちゃいますからね。みんなの気持ちの代弁するようなバンドではなく、誰かに嫌われてもいいから、好きな人にはもっと愛してもらえるバンドになりたくて。

──MCでもそんなことを言ってましたね。

ほんまにそう思ってるんですよ。横の人を気にして、そのときの自分の感情を閉じ込めるのはナンセンスやなって。

──好き放題にやっていたライヴの内容と猪狩君のMCがちゃんとリンクしていたので、そこも気持ち良かったです。

全員に好かれるのは無理!と思ったし、俺らの周りにも嫌われている奴がいるけど、俺は好きだから、それでいいやんって。

──そこまで自分の気持ちが振り切ることができた理由は?

ここ2、3年そう思ってますね。お客さんが聴きたいと思う歌をやってる人が多すぎる気もして。「こういう曲が求められてると思う」と言ってる奴とか、なんじゃそれ?って。自分がやりたい曲を届けるものが音楽だと思うから。相手に合わせる人が多すぎるなと。

──それと、ライヴを通じて、全体的に感謝の言葉を口にしているのも印象的でした。

いや、有り難いなと思って。俺らはテレビにも出ないし、英語で歌ってるし、探さないと、見つからないバンドだと思うから。自分がかっこいいと思う音楽を共有できてる。同じような感覚を共有していることが嬉しくて。

──では、最新作『STOP THE WAR』をライヴでやって変わった部分があります?

う〜ん、別にないですかね。ただ、全然演奏することに飽きてない。ツアーを終えて、フェスを含めたら同じ曲を100回ぐらい演奏してるけど、まだ真新しい感覚があるんですよ。ギターを演奏することが楽しいですからね。

──それは過去の作品にはなかった感覚?

そうですね。

──改めて『STOP THE WAR』の歌詞を全部読み返すと、ライヴのMCと全く同じことを言ってるんですよ。

あっ、マジですか(笑)。

──だから、あの『STOP THE WAR』という作品の中に自分が言いたいことをすべて詰め込んでいたんだなと。「お前がカッコいいと思う事は世界一カッコいい 自分自身を信じてやれ(中略)次はお前の番なんだ」(「Before We Leave」)の歌詞なんて、MCそのままですよね?

ああ、そうか。自分が思ったことを歌詞にするんですけど、それから曲に押されて、気持ちがどんどん強くなっていくんですよ。言いたいことはシンプルになってるかもしれない。

──最新作『STOP THE WAR』はこれまでの作品の流れからすると、ちょっとシリアスな内容だったじゃないですか。

そうなんですよ。

──猪狩君がやりたいことが伝わるのかな、と少し危惧していたんですけど。ライヴを観ると、『STOP THE WAR』の楽曲も凄まじい盛り上がりだし、曲に込めた思いがちゃんと伝わっているんだなと感じました。

仰る通り、イエーイ!という内容じゃないから、最初は伝わるかなと思ったんですよ。でも自分的には全曲ポジティヴな気持ちを込めてるつもりだから・・・シリアスな曲にポジティヴなメッセージを乗せてるからこそ、飽きが来ないのかなと。両方の要素を兼ね備えているから、自分もいまだに新鮮に感じられて、今でも新曲という感覚があるんでしょうね。

 

 

取材・文=荒金良介
 

リリース情報

DVD / Blu-ray『More Freedom』

HEY-SMITH - More Freedom

HEY-SMITH - More Freedom


2017年3月29日(水)

(Disc 1)
・STOP THE WAR TOUR FINAL ONE MAN SHOW at OSAKA FUMIN KYOSAI SUPER ARENA
収録曲:
Instream
-SE-
1.2nd Youth
2.Dandadan
3.Skate Or Die
4.Over
5.Stop The War
6.Download Me If You Can
7.Alive And Lucky
8.Go Back Home
9.Theme Of HEY
10.Endless Sorrow
11.Jump!!
12.We Are...
13.D.I.Y(Dive Into You)
14.Don't Worry My Friend
15.Like A Gentleman
16.Dancing Is Illegal
-Drum Solo-
17.What They Hide
18.Lonely With Everyone
19.Baroque Hoedown(Main Street Electrical Parade)
20.Family
21.Let Me Fly
22.Radio
23.The First Love Song
24.Summer Breeze
25.Before We Leave
26.Truth Inside
27.We Sing Our Song
28.Drug Free Japan
29.Living In My Skin
30.Goodbye To Say Hello
-Encore-
31.I'm In Dream
32.Everlasting
33.Come Back My Dog
-Encore-
34.Free Your Mind
35.True Yourself
-Encore-
36.Longest Day

(Disc 2)
・STOP THE WAR TOUR DOCUMENTARIES
・MUSIC VIDEOS

Stop The War
Dandadan
Dandadan(Exclusive Ensemble ver.)
2nd Youth
Truth Inside(Unfinished ver.)
Truth Inside
Before We Leave
・FISHING BATTLE ll in OKINAWA
・LET ME FLY~SKY DIVING~
・ROAD of HEY
・IGARI's GUITAR STUDIO

 

イベント情報
「HEY-SMITH 2017全国TOUR」
2017年7月12日(水) なんばHatch
2017年7月17日(月) 高松 オリーブホール
2017年7月27日(木) 仙台RENSA
2017年8月5日(土) Bitts HALL
2017年8月13日(日) Zepp名古屋
2017年8月26日(土) Zepp札幌
2017年9月3日(日) 新木場Studio Coast
HEY-SMITH Presents OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2017
日時:9月10日(日)
会場:泉大津フェニックス

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