ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』に 福本雄樹(唐組)、山岸門人が出演
安藤玉恵、福本雄樹(唐組)、山岸門人
演劇ユニット ブス会* の主宰で劇作家・演出家、テレビの映像ディレクター・脚本家、さらにはAV監督としても活躍するぺヤンヌマキが、テレビ、映画、舞台などで大活躍の女優・安藤玉恵とタッグを組む演劇の新シリーズが今年(2017年)12月に始動することは既にお伝えした通りである。その、ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』に、福本雄樹(唐組)と山岸門人の出演することが、このほど発表された。また、12月の本公演に先駆け、リーディング公演が7月15、16日にギャラリースペースしあんにて行なわれる。
「小鳥を飼うような心持」で女給の少女「ナオミ」との同棲を始めた平凡な主人公・譲治。二人の主従関係が逆転していく様を描き、1924年の発表から約100年の時を超えて未だ読まれ続ける不朽の名作、谷崎潤一郎の『痴人の愛』を、現代に置き換え男女逆転にして描くのがブス会版『痴人の愛』である。
仕事人間の40歳独身女性の“私”は男性に対して独自の理想を持つようになる。それは未成熟な少年を教育して自分好みの男に育て上げるというもの。ある日“私”は美しい少年ナオミと出会い、「子犬を飼うような心持」で同棲を始める。人見知りで垢抜けない少年だったナオミは次第にその美貌を利用して奔放な振る舞いを見せるようになり“私”はナオミに翻弄され身を滅ぼしていく……。母性本能と恋愛感情の狭間で揺れ動く女心。年下の小悪魔に振り回され屈服するマゾヒズムと年上の異性を下僕のように支配するサディズムが官能的に交錯する。
主演の安藤玉恵演じる“私”を翻弄する美しい少年ナオミ役に、劇団唐組の若手ホープ福本雄樹、ナオミの先輩浜田役に、近年は舞台のみならず映像での活躍も盛んな山岸門人、と初顔合わせの個性派キャストが集結する。
さらに12月の本公演に先駆け、同出演者たちによる同作品のリーディング公演が、東上野の風情豊かな古民家ギャラリーでチェロの生演奏と共におこなわれることが決まった(各回30席限定、6月10日より発売)。
ペヤンヌマキよりコメントが届いたので以下に紹介する。
<ペヤンヌマキ コメント>
谷崎の『痴人の愛』を最初に読んだのは中学生の頃でした。男性経験もなく男女の色恋の機微など全くわからなかった当時の私は全くピンと来ず、途中で読むのを断念しました。二度目に読んだのは、20代の時。ちょうど一回り以上年上の男性に可愛がられたい年頃だった私にはジャストフィットしました。男女の関係が逆転していく様に共感し、マゾヒズムとサディズムの関係性にゾクゾクし、ナオミのように年上男性を振り回せる女に憧れました。譲治さんに関しては足フェチのMオヤジとして認識し、その滑稽な姿に笑いました。
そして40歳になった今、改めて読み返してみると、20代の時とは全く違う視点で共感したのでした。私は譲治さんに感情移入していたのです。
純粋無垢な美少年を家に囲って鑑賞物のように眺めながら過ごしてみたい、美味しいものをたらふく食べさせてやりたい、そして自分好みの男に育て上げてみたい。年齢を重ねていくうちにそういう願望が沸き起こっていたのです。恋愛感情と母性本能がごちゃ混ぜになってわけがわからなくなった「痴人」と呼ぶに相応しい状態だと思われます。そして見込んだ男をもれなくとんでもないダメ男に育て上げてしまい、最後には「このクソババア!」と足蹴にされる。そんな自分の姿まで想像してゾクゾクしています。そんな年頃の40歳。まさか自分が譲治さんになってしまうとは、若き日の私には全く想像つかないことでした。年齢を重ねるって面白いものですね。
谷崎の『痴人の愛』は「男性」である譲治が「女性」であるナオミに翻弄される話ですが、100年の時を超え、女性も男性と同等に、勤労するようになった昨今、つつましく働いてきた「女性」が「美少年」を飼う話は非常に現代的ではなかろうかと考えたのがこの企画の出発点です。そして、ほかでもないこの私が、40歳までつつましく勤労してきた女性でもあります。「働く女性」という、もはや避けざる社会実情と約100年前の文学の融合に劇作家として挑戦したいと思っております。
主演の安藤さんとは2006年に私が初めて脚本・演出した舞台『女のみち』以来、何度もご一緒してますが、今回は目を背けたくなるくらいの“痴人”となった“女”を存分に演じていただきたいと思ってます。 ナオミ役の福本雄樹さんは唐組の舞台で拝見した時、その中世的な美貌とケレン味溢れるお芝居もさることながら、見てはいけないものを見てしまった背徳感でゾクゾクさせられ、今回のナオミ役にぴったりだと思いキャスティングしました。また山岸門人さんは、福本さんとはまた違った男性的魅力を持っている俳優さんで今回のお話のキーマンとなる役どころを演じていただこうと思っております。
女40歳の記念に相応しい魅力的な男性キャストを迎え、安藤さんと共に楽しんで作っていきたいと思ってます。どうぞご期待ください。
イラスト:Cato Friend 宣伝美術:冨田中理
<安藤玉恵 プロフィール>
1976年、東京都出身。映画『夢売るふたり』(西川美和監督)で第27回高崎映画祭最優秀助演女優賞受賞。近年の出演作に映画『結婚』(西谷真一監督/6.24公開予定)、『彼女の人生は間違いじゃない』(廣木隆一監督/7.15公開予定』、舞台『結びの庭』(岩松了作・演出)、『夜更かしの女たち』(倉持裕作・演出)など。ペヤンヌマキ作・演出舞台には『女のみち』『女のみち2012』(初演、再演)に出演。
安藤玉恵
<福本雄樹 プロフィール>
1993年、兵庫県出身。日本大学芸術学部演劇学科演技コースに在学中の2014年、唐十郎率いる劇団唐組に入団。『桃太郎の母』『鯨リチャード』で主役に抜擢され、若手ホープとして注目される。最近の主な出演作に唐組『ビンローの封印』(2017年5月上演)がある。
福本雄樹(唐組)
<山岸門人 プロフィール>
1982年、東京都出身。関東国際高校卒。2015年まで劇団鹿殺しに所属。近年は映像への出演も多く、最近の出演にテレビ「立花登青春手控え2」(BSプレミアム)、「あなたのことはそれほど」(TBS)、舞台「市場三郎 温泉宿の恋」(福田転球作、河原雅彦演出)などがある。
山岸門人
<ぺヤンヌマキ プロフィール>
1976年生まれ、長崎県出身。ブス会*主宰/脚本・演出家。早稲田大学在学中、劇団「ポツドール」の旗揚げに参加。2004年よりぺヤングマキ名義でフリーのAV監督として活動する傍ら、劇団ポツドール番外公演‘女’シリーズとして、2006年に「女のみち」、2007年に「女の果て」を上演。(脚本・演出)。2010年、演劇ユニット「ブス会*」を旗揚げ。以降全ての作品の脚本・演出を担当。
第4回ブス会*『男たらし』、第6回ブス会*『お母さんが一緒』が二年連続で岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネートされる。
近年はフリーの映像ディレクター・脚本家としてテレビドラマなども手がける。BSジャパン「メンズ温泉」(演出)、テレビ東京「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」(演出)、NHK総合「祝女シーズン3」(脚本)、フジテレビ「リテイク 時をかける想い」(脚本)。週刊SPA!やウェブ媒体などでコラム連載中。著書に、半自伝的エッセイ『たたかえ!ブス魂~コンプレックスとかエロとか三十路とか』(KKベストセラーズ)、『女の数だけ武器がある。たたかえ!ブス魂』(幻冬舎文庫)がある。
ペヤンヌマキ
ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*プレイベント
リーディング『男女逆転版・痴人の愛』
■脚本・演出 ペヤンヌマキ
■出演:安藤玉恵 福本雄樹(唐組) 山岸門人 / 浅井智佳子(チェロ演奏)
■日程:2017年7月15日(土)、16日(日) ※計5ステージ
■タイムテーブル:
7月15日(土)14:00 / 17:30
7月16日(日)11:00 / 14:00 / 17:00
■会場:ギャラリースペースしあん
東京都台東区東上野1-3-2 http://www.siang.jp/
■料金:前売2500円/当日2800円(整理番号付き自由席)
■一般発売:2017年6月10日(土)10時~
■公式サイト:http://busukai.com
■問合せ: info@busukai.com
ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会
『男女逆転版・痴人の愛』
■日程:2017年12月8日(金)~19日(火)
■会場:こまばアゴラ劇場
■脚本・演出:ペヤンヌマキ
■出演予定:安藤玉恵 福本雄樹(唐組) 山岸門人
■公式サイト:http://busukai.com
■問合せ: info@busukai.com