“見ること”を追及し続ける作家の展覧会 『未来の幽霊 -長沢秀之展-』が9月より開催に
「1941年、記念撮影」部分、2016年
『未来の幽霊 -長沢秀之展-』が、2017年9月4日(月)~10月1日(日)にかけて、武蔵野美術大学 美術館・図書館にて開催される。
長沢秀之は、1947年埼玉県生まれ。1968年に武蔵野美術大学造形学部産業デザイン学科(現・工芸工業デザイン学科)に入学、1986年には自身を代表する《風景》シリーズを発表する。ここでは、日本人が描く人物像にリアリティが感じられないことへの違和感が出発点となっていた。やがて“風景”は、画家の目の外ではなく、目の内部に在るものへと向かっていき、2006年には《メガミル》シリーズを発表することとなる。
今回展示する新作《未来の幽霊》は、その延長線上にある作品だ。カメラという「機械の目」を通して、過去の一瞬を切り取った「写真」を元にドローイングを描き、それが示す過去と描き手である自身の立つ現在との距離をキャンバス上で測っていくという絵画手法がとられている。
「1963年、小学校入学式」2016
「1938年頃、女学生(母の姉)」部分、2016年
また、長沢は2012年以降、武蔵野美術大学の学生が主体となって活動する「School Art Project ムサビる!」への参加をきっかけに、学生や現地で出会った人々との交流の軌跡をドローイングと文章で紹介する《心霊教室 psychic room》や《対話 私が生まれたとき》の活動を展開。本展では《対話 私が生まれたとき》の新シリーズ、奄美編を紹介する。
長沢が繰り返し用い、彼のなかで避けられない存在となりつつある「幽霊」、「心霊」という言葉。ここには、時間軸の多義性が内包されている。本展は、この「幽霊」「心霊」という存在を、作品を通して感じられる機会となるだろう。気になる方はぜひ足を運んでみては。
「図は越間 誠 奄美写真集『奄美 二十世紀の記録』をもとにしたドローイング」2016年
「1941年、記念撮影」2016年
会 期:2017年9月4日(月)~10月1日(日)
休 館 日:日曜日・祝日
※9月18日(月・祝)・23日(土・祝)・10月1日(日)は特別開館日
開館時間:10:00~18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
会 場:武蔵野美術大学美術館 展示室2・3、アトリウム1
入 館 料: 無料
http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/11125