柴咲コウ、井伊家ゆかりの品々に感動! 大河ドラマ『おんな城主 直虎』と連動した特別展『戦国! 井伊直虎から直政へ』
2017年NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で直虎を演じる柴咲コウ
東京・両国の東京都江戸東京博物館で特別展『戦国! 井伊直虎から直政へ』が開幕した。2017年NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』と連動した本展は、戦国時代に男として家督を継いだとされる井伊直虎を軸に、井伊氏がどのように戦国の乱世を生き抜いてきたのか、その歴史に迫る展覧会。大河ドラマで直虎を演じる柴咲コウも本展に駆けつけた。井伊家伝来の品々をはじめ、同時代に生きた戦国武将ゆかりの絵画や刀、具足など見応えたっぷり。展示品の中から、大河ドラマファンも戦国武将ファンも必見の品々を紹介する。
城主になった直虎も参考にした!? 「今川家式目」
手前が「今川家式目」(戦国時代、明治大学博物館蔵)
直虎が生きた戦国時代後期、東海の地には、小田原の北条、駿河の今川、甲斐の武田とそうそうたる戦国大名らが名を連ねており、井伊氏は今川氏傘下の領主として浜名湖北東にある井伊谷(いいのや)を治めていた。
この「今川家式目」は、今川家が領国内を統治するために制定した分国法で、一般的には「今川仮名目録」として知られる。大河ドラマでは、城主となったものの政治の分からない直虎に南渓和尚が授けた「仮名目録」として登場。直虎が「今川家式目」を受け取ったという記録はないが、ドラマ内で仮名目録を黙々と読み込む直虎の姿を思い浮かべると、一人前の城主になろうという熱意が伝わってくるのではないだろうか。
直親ゆかりの「青葉の笛」が神社外初公開
直親ゆかりの「青葉の笛」(浜松市指定文化財 戦国時代、寺野六所神社蔵)
1544(天文13)年に父・直満が謀反の疑いで今川義元に殺害され、自身の身にも危険が迫った直親(亀之丞)は信濃に身を隠した。そして、1555(弘治1)年に井伊谷へ戻る際に寺野六所神社(浜松市)に寄進したといわれるのが、この横笛「青葉の笛」だ。大河ドラマでも直親は横笛の名手として描かれているので、ピンと来る人も多いのではないだろうか。竹を縦に11個に割り、再び組み合わせて黒漆で仕上げた横笛は、460年以上もの間、大事にされてきた。地域で受け継がれてきた横笛を目の当たりにし、柴咲も「この長い間、なくならずに残っていたのはすごい」と驚きの表情を見せた。
直虎の花押が記された唯一の書状
「井伊直虎・関口氏経連署状」
直虎の花押の実物を初めて目の当たりにした柴咲コウ
実は直虎に関する資料はほとんどなく、その人物像は多くの謎に包まれている。直虎の性別についても、江戸時代中期に記された「井伊家伝記」に「次郎法師は女性であった」との記述が残されており、その後の研究によって次郎法師が直虎であったとの説が生まれたにすぎない。この「井伊家伝記」も、著者である龍潭寺の住職・祖山が井伊家との密接な関係を主張するために記したといわれ、その内容は現時点では確証のあるものではないという。
それほど直虎にまつわる資料は希少なのだが、直虎の存在をうかがい知ることができるのが「井伊直虎・関口氏経連署状」(浜松市指定文化財 蜂前神社・浜松市博物館保管)だ。1568(永禄11)年、直虎が今川氏真の家臣である関口氏経と連名で祝田(ほうだ)村に徳政令を出した際の文書だという。花押は本人が書いた可能性が高いとのこと。直虎の名前とともに花押が入った唯一の文書で、実物を初めて見たという柴咲は「やはり実際に生きていた人なんだなと実感して、感動しました」と感想を述べた。
寺外初公開「世継観音像」から新発見
右手前が「世継観音像」(戦国時代 16世紀、龍潭寺蔵)
さらに、次郎法師の存在を色濃くするのが井伊氏に代々伝わる千手観音「世継観音像」だ。本展のための調査で、厨子の背面に次郎法師が大藤寺に奉納したとの旨が記されていることが明らかとなり、柴咲も「より直虎の存在を身近に感じることができた」とコメント。史実としての記録はないが、大河ドラマでも南渓和尚が仏像を彫るシーンで世継観音そっくりの千手観音像が登場しており、その縁深さが感じられる。
戦場に映えた「井伊の赤備え」
「井伊の赤備え」の品々が並ぶ展示室
「関ケ原合戦図屏風」(江戸時代後期、行田市郷土博物館蔵)
直虎によって守られた井伊氏の命脈は直政へと受け継がれ、彦根藩を治める大名「井伊家」として、直継、直孝の代へと続いていった。展示終盤では、徳川家康の天下統一を軍事面で支え、後に「徳川四天王」と呼ばれた一人、直政の活躍の象徴ともいえる「井伊の赤備え」を伝える品々が並ぶ。
武田家の旧領を手に入れた家康は、徳川配下となった武田家旧臣を中心に直政を隊長とする部隊を創設。甲冑や武器類を朱色で統一、武田の兵法を採り入れさせ、“井伊の赤鬼”として恐れられるようになった。「井伊の赤備え」の形式で作られた具足や戦場に欠かせない旗印の朱色は、合戦を描いた図屏風を見ても鮮烈に目に飛び込んでくる。
「これから直政役の菅田将暉くんと芝居の上で対峙することになりますが、どうやろうかと思案していたので、これらの展示品から良きヒントを得られたような気がします。直政の肖像画を見る限り、かなり精悍な顔つきの人だったようなので、菅田くんとつながる部分もあるなと思いましたね」と柴咲コウ。
放送が折り返し地点を迎えた大河ドラマだが、今後30回以降に怒涛の展開になっていくとのことだ。ちょうど8月ごろの放送となるので、物語が急展開する前に、本展で井伊氏の歴史を辿ってみてほしい。
直政と共に「徳川四天王」と呼ばれた武将らの具足
展覧会限定グッズも盛りだくさん