『黄金町バザール2017』が開催に 黄金町を舞台に多様性を問うアートフェスティバル

コラム
2017.7.19

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2017年8月4日(金)から、横浜市中区の日ノ出町駅から黄金町駅の高架下スタジオなどを会場に『黄金町バザール2017 –Double Façade 他者と出会うための複数の方法』が開催される。

ヨコハマトリエンナーレ2017の連携プログラムともなる本プロジェクト。会期は8月4日(金)~9月13日(水)の[vol.1]と、9月15日(金)~11月5日(日)の[vol.2]に分かれており、会期中ワーク・イン・プログレスで進むいくつかの作品は展示替えなどがあるという。今年で10回目の開催となる『黄金町バザール2017』の見どころを紹介する。

 

初黄・日ノ出町が持つ街の多様性

今年は2014年の原万希子以来、2人目となるゲストキュレーターを窪田研二が務める。窪田は上野の森美術館、水戸芸術館現代美術センター学芸員を経て2006年よりインディペンデント・キュレーターとして活動。これまでも国内の美術館では初となる大規模なグラフィティ・アートをテーマにした『X-COLOR/グラフィティ in Japan』展や、3.11以降帰宅困難地域として閉鎖された街の中で行われている『Don't Follow The Window』など、旧来の枠組みに囚われず、時代と呼応し続けるアートと社会の関係を問うてきた。

そして、会場となる初黄・日ノ出町地区はかつて約260軒の違法風俗店が軒を連ね、商店や住民の転出など生活環境の悪化が深刻な問題となっていた場所でもある。2005年の神奈川県警察本部の一斉取締の後、まちの賑わいを取り戻すために地域、警察、行政、企業、大学が連携し、安全で安心なまちの再生という課題に取組んできた。こうした街の歴史と関わりながら『黄金町バザール』では、地域コミュニティの新たな可能性が生み出されることを期待し、国内外から多くの若手アーティストが参加。10年が経った今、街は大きく表情を変えつつある。

2017年は「Double Façade(ダブルファサード) 他者と出会うための複数の方法」をテーマに、まちとアート、さらにアーティストと住民、また多国籍な住民同士など重層化する様々な他者との出会いから多様性を問うものとなる。

 

住民参加型のプログラム

国内外から25組のアーティストが参加している『黄金町バザール2017』だが、まず注目したいのは住民参加型の6つのプログラムだ。地域住民らと共にワークショップを経て新作を発表するこれらのプログラムは、まさにアーティストと住民、そして参加者同士など様々な出会いを創発するものとなるだろう。

サン・ピッタヤー・ペーフアン Labyrinth Ball 2016 パフォーマンス風景 2016 年

サン・ピッタヤー・ペーフアン Labyrinth Ball 2016 パフォーマンス風景 2016 年


Springhill Institute with Tellervo Kalleinen+Oliver Kochta-Kalleinen 《Complaints Choir of Birmingham》2005 年

Springhill Institute with Tellervo Kalleinen+Oliver Kochta-Kalleinen 《Complaints Choir of Birmingham》2005 年


高山明/Port B《マクドナルド放送大学 /McDonaldʼ s Univercity》2017 年

高山明/Port B《マクドナルド放送大学 /McDonaldʼ s Univercity》2017 年

《私じゃなかった身体たちーみんなで踊るヴォーグダンスー》
タイを拠点に活動するダンサー、サン・ピッタヤー・ペーフアンと共に、LGBTQコミュニティから誕生したヴォーグ・ダンスを学び、9月15日に参加者やゲストを招いたイベントを開催する。

『不満の合唱団 in 黄金町』
テレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネンが始めた日常の不満を歌うプロジェクトを、作曲家の西井夕紀子が黄金町の住民と歌う。

『バザールコレクターズ・オークション』
美術家の松蔭浩之をオークショニアに、お金のかからないオークションを実施し、競り落とされた作品を会期中実際に周辺店舗などに設置する。

『遠くを近くに、近くを遠くに、感じるためのいくつかのレッスン』
高山明/Port Bは横浜を流れる川を舞台に、フランクフルトで展開していた『マクドナルド放送大学』を横浜の移民の人々の朗読で再制作する。

さらに、『黄金町の歴史と記憶を巡るウィンドウギャラリー』では、住民とのワークショップを通して描かれたまちの記憶を、近隣のスタジオの窓をギャラリーに見立てて展示。また、これまでの活動を振り返りながら、まちとアートの関係を議論するシンポジウム『まちに出たアートはどこへ向かうのか?』が行われる。

 

現代社会に切り込む作品たち

さらに前述のプログラム以外でも、元特殊飲食店などをリノベーションした街に点在するスタジオで展示を行うアーティストたちにも期待が高まる。

社会問題に詩的な行動やユーモアで切り込むキュンチョメは第17回岡本太郎賞で大賞を受賞した期待の若手アーティストだ。

光州を拠点に活動するイ・セヒョンは、写真とコラージュによるインスタレーションで歴史と現実の世界が混在する作品を制作している。

 空族+スタジオ石+YCAMとして参加する空族は、これまでも地方都市を舞台に過酷な状況を生き抜く若者や移民の姿を描いた《サウダーヂ》など、社会的問題を背景に限りなく実生活に近いリアリティを描いた映像作品を制作してきた。

日本特有のアニメソングが鳴り響く中いわゆるオタ芸を軸に狂騒的なパフォーマンスを行う革命アイドル暴走ちゃんは、今回が初めての展覧会参加となる。

非常に複雑な背景を持つこの街で、現代社会に果敢に対峙する作品たちがどのような気づきを与えてくれるかが見所だ。

キュンチョメ《新しい顔》2015 年 photo by 森田兼次

キュンチョメ《新しい顔》2015 年 photo by 森田兼次

イ・セヒョン《boundary-punch bowl》2010 年

イ・セヒョン《boundary-punch bowl》2010 年

アートによってもたらされた街の変化は、これからどのような道を辿るのだろうか。10周年となる今回、黄金町バザールで出会う人や歴史やアートがその未来を少しずつ形づくっていくのかもしれない。

イベント情報
黄金町バザール2017 他者と出会うための複数の方法

会期:
[vol.1] 2017年8月4日(金)— 9月13日(木) ※vol.1とvol.2で一部展示替えあり
[vol.2] 2017年 9月15日(金)—11月5日(日)
会場:京急線「日ノ出町駅」から「黄金町駅」間の高架下スタジオ、周辺のスタジオ、既存の店舗、屋外、他
開場時間:11:00〜18:30 ※10/27-29、11/2-4は11:00〜20:30
休 場 日 :第2・4木曜日
入 場 料 :
会期中有効のフリーパス700円(中学生以下無料)※当日券のみ ※一部無料会場あり
横浜トリエンナーレ2017連携セット券
[ 前売 ]一般 2,100円/大学・専門 1,500円/高校生 1,100円
[ 当日 ]一般 2,400円/大学・専門 1,800円/高校生 1,400円
※同時期に開催する「ヨコハマトリエンナーレ2017」と「BankART Life Ⅴ」にも入場できるお得なセット券です。
※前売り券の販売は8月3日(木)まで。
※フリーパス、連携セット券は会場内のインフォメーションで購入できます。
http://www.koganecho.net/koganecho-bazaar-2017/
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