ワディム・レーピンに直撃! 美神ザハーロワも登場『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』を語る

インタビュー
2017.8.3
ワディム・レーピン

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現代ロシアを代表するヴァイオリニスト、ワディム・レーピンは2014年、故郷であるシベリアのノヴォシビルスクで『トランス=シベリア芸術祭』を立ち上げた。昨年(2016年)初の日本公演を行ったが、2017年9月~10月、同芸術祭が再び来日し、Bunkamuraオーチャードホール他で公演を催す。7月中旬、演奏会への客演のため来日したレーピンにインタビューを行い、同芸術祭のコンセプト、公私にわたるパートナーで今回の公演にも出演するバレエ界の至宝、スヴェトラーナ・ザハーロワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)とのコラボレーション、音楽家として今考えていることなどを直撃した。

ワディム・レーピン

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芸術とは“旅”である

——『トランス=シベリア芸術祭』のコンセプトは芸術を“旅”と考え、東西の架け橋にすることだと表明されています。

シベリア鉄道といえば“旅”を思い浮かべますよね。私にとって“旅”とは音楽的な旅と物理的な旅の両方の意味があります。“旅”では驚きがあったり、予想をしていなかったことが起こったりします。違ったアーティストと共演すると全然異なる発見があります。それから、この20年くらいでしょうか、グローヴァリゼーションが広がって一対一での対話が忘れられていると思います。トランス=シベリアというコンセプトを出し、さまざまな国籍のアーティストを集めて、いろいろな国の聴衆にお見せし、直接語りかけたいのです。

ワディム・レーピン

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アモーレ=愛という普遍的なコンセプトによる話題作

——今年の目玉であり、ザハーロワさんがプロデュース・主演する『アモーレ』の日本初演についてお聞かせください。これは『フランチェスカ・ダ・リミニ』(振付:ユーリー・ポソホフ)、『レイン・ビフォア・イット・フォールズ』(振付:パトリック・ド・バナ)、『ストロークス・スルー・ザ・テイル』(振付:マルグリート・ドンロン)を一晩で上演する公演です。

スヴェトラーナにとって大事な作品で準備に時間をかけました。ある意味特殊な舞台で、スヴェトラーナは3つの別々の物語のなかで別々の人格を演じますが、最終的にはアモーレ=愛という普遍的なコンセプトとしてまとまっています。3つのキャラクターをどのように見せるかはスヴェトラーナにとっても挑戦ですね。今年3月のモスクワでの初演を観ましたが、ユーモアたっぷりかと思えば哲学的な部分もあるし、ロマンティックでもありました。観衆の反応もとてもよかったです。日本の観客の皆様にとっても面白いものになればと願っています。

ワディム・レーピン

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毎回発見があるザハーロワとの共演

——レーピンさんが演奏し、ザハーロワさんが踊る『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』が昨年に続いて上演されます。ザハーロワさんは今年6月の記者会見時、レーピンさんと共演すると「特別なつながり・感情がある気がします」と明かされました。レーピンさんはいかがですか?

普段演奏するときとは全然違います。ダンサーたちの動きがありますし、照明も入るので、タイミングがいつもの倍くらい大事になってきます。スヴェトラーナがアーティストとして素晴らしいのは完璧なプロフェッショナリズムと、どこまでも続くフレキシビリティです。人間的にとてもフレキシビリティがある人なので、いろいろな人との会話が成立すると思うんですね。普通バレエにおいて音楽は伴奏的な位置付けですが『パ・ド・ドゥ』ではダンサーとの対話も大事になってくるので、そこが両方にとって新しいことです。スヴェトラーナだけでなく他に立っているアーティストの人たちと完璧な流れをどう創っていくかというのが自分にとっても新しく、毎回毎回発見があって楽しいですね。

ワディム・レーピン

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観客の皆様と良い友情を築きたい

——『トランス=シベリア芸術祭in Japan 2017』は日本・ロシア間の国際文化プロジェクト「ロシアン・シーズン(ロシアの季節)」の一環です。日本への思いを話していただけますか?

30年間で約70回来日していますが、ロシアの芸術家は人気があります。ロシアの方も日本に凄く興味を持っていて、モスクワだけで日本食店が千軒もあるんですよ! 昨年の日本公演に出ていただいた諏訪内晶子さん(ヴァイオリニスト)は長年の友人でノボシヴィルスクでも共演しています。最初の『トランス=シベリア芸術祭』ではケント・ナガノさんに指揮していただきました。日本でのプランも希望もたくさんあります。ロシアやロンドンだけで行ってきた特別なパフォーマンスをお見せしたいですし、今までにないもの、おもしろいものをお届けしたい。いろいろな芸術を混ぜていきたいと思っています。

——東西の架け橋となるべく『トランス=シベリア芸術祭』を続けられていますが、今現在、世界中で震災などの天災が頻発し、戦争やテロが止むことがありません。そういった状況下で音楽家として何ができると考えていらっしゃいますか?

音楽とは友情のための言語だと思います。音楽によって、さまざまな心情のヴァリエーションを表現し、ある時間だったり経験だったりが色合いを持つものにする。いろいろな国で惨事が起こり、そのための特別な音楽会が行われていますが、そういうときに音楽家は人々の心をほんの少しでも和らげることができるのではないかと考えています。

——最後に今後の目標をお聞かせ願います。       

音楽家というものは往々にして凄く先までのプランを立ててしまいます。スヴェトラーナとはお互いのスケジュールを合わせるのが大変ですが、彼女とのコラボレーションを続けていきたいです。そして『トランス=​シべリア芸術祭』をもっと育てて認知度を上げていきたい。そのために一番大事なパズルのピースは観客の皆さんです。日本でも観客の皆様と良い友情を築いていけるように努力していきます。

ワディム・レーピン

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インタビュー・文=高橋森彦 撮影=中田智章

公演情報
トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017

東京公演
【日時】
9月26日(火)19:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ『アモーレ』)
9月27日(水)19:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ『アモーレ』)
9月29日(金)19:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ&ワディム・レーピン『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』)
【会場】
Bunkamuraオーチャードホール

Bunkamura『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』公式ページ
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/17_trans_siberian.html

 
 

前橋公演
【日時】
10月1日(日)18:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ&ワディム・レーピン『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』)
【会場】
昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)大ホール


昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』公式ページ
http://www.maebashi-cc.or.jp/maebashishibun/ticket/2510.html
 
 
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