『ファインディング・ネバーランド』日米バリ役、ビリー・タイと石丸幹二が語り合う ~ 想像力で完成する舞台の魔法!

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インタビュー
2017.8.23
(左から)石丸幹二、ビリー・タイ (撮影:中田智章)

(左から)石丸幹二、ビリー・タイ (撮影:中田智章)


劇作家J.M.バリと少年ピーターの出会いにより、「ピーターパン」の物語が生まれた…。そんな創作実話が描かれるミュージカル『ファインディング・ネバーランド』。来日版で主役のバリを演じるビリー・タイと、来年上演される日本版で同役を演じる石丸幹二に話を聞いた。

■舞台でしかできない素晴らしい表現

--ビリーさんの歌唱披露を拝見しましたが素晴らしかったです。特に「Stronger」は、海賊船が立ち上がるシーンが蘇りました。現実と物語世界が見事に重なるところに、演出のダイアン・パウルスの天才ぶりを感じました。

ビリー 公園のベンチに縄やスモークが加わることで、船になる。まさに皆さんの想像力で海賊船が完成するわけです。

石丸 客席にいると、ちゃんと船に見えるのが面白いですね。

--映画ではなく、舞台だからできるアナログな演出です。

石丸 子供達が飛ぶシーンも人がリフトしている。自然と観客の頭の中ではリフトする人が見えなくなる。人間が手がけたほうが、より想像力に訴えかけていて、そこが機械との違いだと思います。

ビリー ワイヤーを使うフライングもあるんですよ。でも印象に残るのは、人がリフトしているフライングのほう。そこまでの物語によって、観客は本当に子供達が飛んでいるように感じられます。舞台でしかできない素晴らしい表現ですね。

--始まる前、幕に小さなライトがチラチラ飛んでいて、その動きがまさにティンカーベル! 開幕前からワクワクします。あの不規則で絶妙な動きはどのように?

ビリー 僕も毎晩見ているんですけど、わからない(笑)。多分、ライトに釣り竿みたいにしなる長い棒をつけているんじゃないかな? 仕掛けは見たことがないです。

石丸 へえ! 面白いですね。多分、出番前だから見ている時間がないでしょうね(笑)。

--中でも見所は、メインビジュアルにもなっているキラキラが舞い上がるシーン。

石丸 さっき伺ったら、実際に扇風機の風で舞い上げているそうです。そして毎公演、彼自身も金粉を浴びていると。

--あのキラキラは何かの象徴?

ビリー 僕はその質問をダイアンにしたことがないけど、星だと考えています。シルビアがピーターパンと一緒にネバーランドへ行く、その旅の途中に瞬くスターダストかと。

石丸 確かにミルキーウェイみたいに見えました。

■どの世代の人が見ても、子供の気持ちに戻っていける

--日本で見られるのは嬉しいですね。ピーターパンの物語は、何で知りましたか。

石丸 僕はディズニーのアニメーションが一番最初かな。

ビリー スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『フック』でした。ピーターパンがロビン・ウィリアムズ、フック船長がダスティン・ホフマン。ダスティン・ホフマンはこの作品の元となった映画『ネバーランド』にも出ています。

石丸 時代が違うなぁ(笑)。

ビリー 映画を見た時、ちょうどフックにさらわれた子達と同じ年頃で、彼らの冒険に魅了されました。特に夕食のシーンが大好きで、俳優になったらこの映画に出て、テーブルの上のご飯を食べたいなぁと憧れていました。『ファインディング・ネバーランド』も食事のシーンがあるから、夢が実現したわけですね。

--夕食のシーンも印象的。退屈な時間が想像力で変わっていきます。

石丸 カツラが飛ぶところとか、子供なら大喜びでしょう。この作品を観客として見ていると童心にかえるというか、想像力が自然と逞しくなって不可能が可能になるんです。どの世代の人が見ても、子供の気持ちに戻っていける。それはアナログな手法を使っていることが大きいと思います。

--ビリーさん、石丸さんがバリに相応しいと思われるところは?

ビリー 今日、インタビューでご一緒させていただいて、石丸さんはバリにつながっていると感じました。自分の仕事を愛し、純粋さを持ち続けているところ、作品を作ることを楽しむ姿勢は、バリに通じます。

--つまり、バリの創造、想像に対する欲求や真摯な姿勢が、俳優としての姿勢に重なる、と。

ビリー その通りです。また石丸さんが歌っていらっしゃる映像を拝見しました。きっと素晴らしいバリになるでしょう。

石丸 僕が『ファインディング・ネバーランド』を初めて見た時、ビリーさんはまさにバリとして存在していました。実にリアルに息づいていて、観客は納得して旅をする。きっとビリーさんの心がキャラクターに沿って動いているからだと思います。俳優として、これはすごい技術だなと。

ビリー この作品は俳優自身がバリに自分を投影しないとできません。まず、自分が鏡であることが大切。

石丸 確かにこの役は、自分を映しますね。自分の中にバリと同じものを探していく。挑戦しがいのある役です。

ビリー はい。まず自分自身を全て出すことだと思います。

■この作品の鍵は子供達

--ビリーさんはなぜミュージカル俳優になられたのですか。

ビリー 私が演劇を求めたというより、演劇が私を見つけてくれたのです。高校生の時にミュージカルに関わり、舞台に出た瞬間、これからもやり続けたいと思いました。ちょうど思春期で自分自身がわからない、自信もないと彷徨っていた時、2時間自分を捨てて、自分でない人間になれたことに刺激を受けました。役を模索することで自分がどういう人間なのかを知ることもできた。僕は演劇によって救われたんです。

石丸 自分のやりたいことが見つかったのはラッキーですね。自分の好きなこと、やりたいことがわからないまま、大人になる人がとても多いから。俳優という仕事は大変だけど、好きなことがやれるという意味では、手に入れてよかったと思えます。ただし自然に続く仕事ではない。探し続けなければいけない仕事ですが。

--この作品に関わって、ビリーさんの想像力は広がりましたか。

ビリー はい。特に子供達と共演して、先を読むことが少なくなりました。ある意味、彼らはワイルドですから、段取りが通じないこともしばしば。そんな時、その場で想像しながら即興で対応したり。子供達はこの作品の鍵ですね。

--演出のダイアン・バウルスは私生活では2人の娘さんの母親。その実感が未亡人であり、子供達の母親シルビアに生きている気がします。

ビリー そう、この作品は彼女の子供達へのラブレターだと思います。この作品はダイアンが娘さん達の声を聞いて、彼女達が喜ぶことを作品に取り入れています。その結果、母子の繋がりを強く感じさせる作品になりました。

--石丸さん、子供が多い作品に出た経験は?

石丸 ないですね。昔、『美女と野獣』のチップぐらい? 絡みもありませんでした。『ファインディング・ネバーランド』はバリとデイヴィス家の子供達とのやりとりが軸で、子供と一緒に歌うナンバーもありますから、お互いにすごく影響し合うと思います。子供は俳優でありながら演技上の嘘はつけないから、その場で起こることで対応しないと。自分をしっかり持っていないとできない怖さがあります。子供と動物はね。そういえば、犬も出てきますね。

ビリー 同時に出てきますからね!

石丸 大変だ(笑)。きっと鍛えられますね。

--音楽はゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ。ゲイリーはコーラスグループTAKE THATのメンバーで、『ファインディング・ネバーランド』で初めてミュージカル音楽を手がけました。その後『The Girls』、そしてこの秋、TAKE THATをモチーフにした『The Band』と勢いづいています。音楽はどんな印象ですか。

ビリー 美しくミュージカルらしい曲もありますが、注目したいのはポップなナンバー。バリが当時、「ピーターパン」を書いたのは、ある意味過激なこと。バリ自身、その時代の人とは真逆でぶっ飛んでいましたから、そこをポップなナンバーで上手く表していると思います。ただし、ポップスは楽しいけど、週8回、演技しながら歌うには結構大変!(笑)

--最後に、読者の方々に向けてメッセージをどうぞ。

ビリー 家族向けのミュージカルでもありますが、大人にとっても感じるものが多い作品です。人生、想像力、内なる声を探すなど、普段気にかけていないことを気づかせてくれる。人生いつでも自分の好きなことを探せること、情熱を持てるものにチャレンジすることの大切さを教えてくれます。

石丸 「ピーターパン」は日本人にとって馴染みのある話。「ピーターパン」がどのように生まれたのかを知ることにより、新たな発見や楽しみにつながるでしょう。そんな秘密を知ることができる物語。子供だけでなく誰が見ても心に訴えかける愛のミュージカルですので、ぜひご覧ください。

取材・文=三浦真紀  撮影=中田智章

動画 7分18秒で分かる【ブロードウェイミュージカル「ファインディング・ネバーランド」】↓
 
公演情報
ブロードウェイミュージカル『ファインディング・ネバーランド』

■日程:2017年9月8日(金)~24日(日)

会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ 11階)※生演奏、 英語上演、 日本語字幕あり

作詞・作曲:ゲイリー・バーロウ/エリオット・ケネディ
脚本:ジェームズ・グラハム
演出:ダイアン・パウルス
振付:ミア・マイケルズ

チケット料金:
S席 ¥13,000 A席¥11,000 B席9,000  U-25チケット¥6,500
プレミアム席 ¥15,000
(プログラム付/1F席の1列目~13列目、 2F席の前方席、 バルコニー席一部含む)


主催:フジテレビジョン/キョードー東京/ホリプロ
チケット問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799
日本公演公式ホームページ:  http://findingneverland.jp 


「ファインディング・ネバーランド」初来日記念特番
坂上忍が見つけた「ネバーランド」 
BSフジにて再放送→ 8月27日(日)26:00~
*同番組はフジテレビの動画配信サービスFODで7月28日0:00より無料配信!(9/23まで)
検索【FOD ネバーランド】 http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/information/ser3307/ 
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