ミミ役に抜擢された新星・青野紗穂が大阪でミュージカル『RENT』を語る

インタビュー
2017.8.14
『RENT』でミミを演じている青野紗穂。 [撮影]吉永美和子

『RENT』でミミを演じている青野紗穂。 [撮影]吉永美和子


『RENT』出演以来、日々「No day but today」です。

7月の東京公演からスタートした、ミュージカル『RENT』の2017年版ヴァージョン。今回新たに加わったキャストの中でもひと際目立っているのが、本作のヒロインとも言えるダンサー・ミミ役に抜擢された青野紗穂だ。数多くの名アーティストを輩出した、アメリカの[アポロ・シアター]のアマチュアナイト・キッズ部門で優勝するなど、世界も認める歌唱力が大きな武器。歌手としてはもちろん、ミュージカル女優としても将来性大な彼女が、8月から始まる地方公演に向けて、大阪で会見を行った。

『RENT』(東京公演ゲネプロより)[撮影]安藤光夫

『RENT』(東京公演ゲネプロより)[撮影]安藤光夫

■ミミの役を作るというよりも、等身大を大事にしようと。

──『RENT』のオーディションを受けることになった経緯を聞かせてください。

2014年頃から私のことを(『RENT』を主催する)東宝の方が知ってくださってたみたいで、今回のオーディションの際にお声がけいただきました。まさか受かるとは思いませんでしたし、演技をそんなにしたことがなかったので「演技ってどうすればいいんだろう?」みたいな所から始まりました。

──それまで『RENT』はご覧になってましたか?

中学生の時に映画版を観て、すごくステキな作品だなあと思ったんですけど、その時は若かったというのもあって「とても壮大な恋愛モノなのかな?」と。でも何回か観ていくうちに、世界に対して何かを訴えていたりとか、日々どうやって一生懸命生きていくかという、もっと大きなものを感じました。あと一番大きなテーマとして「愛とは何だ?」というのを、やっぱり考えさせられる作品ですね。

──演じるミミは、どんな女性だと思いましたか?

パッと見は「気の強い女の子」という印象がすごくあるんですけど、やっぱり繊細で、でも心の中では常に炎が燃えている感じ。あと女性の特徴みたいなものが、すごく強く出てると思いました。女性って、分単位で感情が変わる時ってあるじゃないですか?(笑)それがすごく大きいし、今を必死に生きるために選んだ選択が間違っていたとしても「それでも別にいい」と、変な開き直りがあったりする。でも私と同い年なのですごく親近感が湧きましたし、コネクトする部分が多かったです。

──それほど自分とかけ離れたキャラクターではなかったと。

そうですね。弱さを見せたくないけど誰かに助けを求めたい気持ちとか、AIDSなどのハンデに対する気持ちの重さだとか、その時その時の感じ方は結構私自身と近いものがありました。だからミミという役を作るというよりは、自分自身として生きる……等身大のものを大事にしようというのが、結構キーワードになったと思います。

──それでも稽古をする中で「やっぱりミミのここがわからない」みたいなことは出てきたのではないでしょうか?

比較的なかったかもしれないです。(歌の)技術に関しても「キツイな」みたいなのはあんまりなかったですし。ただ「自分を全部見せたらどうなるんだろう?」というのがあって、(稽古の)最初はそれがすごく怖くてできなかったんです。今までそういう機会って、あんまりなかったので。でも今回の演出家のアンディ(・セニョールJr.)さんや、キャストの皆さんに助けてもらいました。みんな家族みたいにすごく優しいので、何か安心して自分を全部さらけ出せたという感じです。あとヒールで走り回ったり、暴れまくってる子なので、舞台が終わるまで体力が持つかな? という心配はありましたね(笑)。でも一番抵抗があった……という言い方はアレですけど、ロジャーとのラブシーンが大変でした。ありません? そういうの。

──嫌というんじゃなくて、激しく照れますよね。

そうですよね。やっぱり集中してないと「あ、観られてる、みんなに。どうしよう」とかなっちゃいますし。あと相手が大先輩というのもあって「すみません、今から行かせていただきます」みたいな気持ちが結構強かったです。でも(ロジャー役の)堂珍(嘉邦)さんもユナクさんもすごく優しくて、お稽古の時からコミュニケーションを取ってくださっていたので、今は大丈夫です。慣れることはないですけど(笑)。

──Wキャストのジェニファーさんとは、ミミについて話し合ったりはしたんですか?

あまりディスカッションというのはなかったです。ただジェニさんからは「自分に自信を持って、自分に正直にやれば大丈夫」という風には言われました。困った時は本当に親身になって助けてもらったし、自信をなくした時はすごく支えていただきましたね。

『RENT』でミミを熱演する青野紗穂(東京公演より)。

『RENT』でミミを熱演する青野紗穂(東京公演より)。

■ロジャーのお二方がイケメンなので、毎日メロメロです(笑)。

──公演初日の時の気分はいかがでしたか。

やはりお稽古場とは空気が違うので、緊張もありましたけど、比較的落ち着いてできたかなとは思います。ステージ上で生きる時って、やっぱり皆さんの気持ちがギュッと一つになりますし、その中でまた愛が生まれる部分もありました。日によって感じるものが違ったりもするので、今はやっていてとっても楽しいです。

──特に好きなシーンや歌はあります?

一番好きな歌は、コリンズが歌う『アイル・カヴァー・ユー​(リプライズ)』です。一生これから先、出会えないぐらい大切な人をなくしたという、その愛情を歌で感じられるのがすごく好きです。でもシーンとしては『ライト・マイ・キャンドル』が一番ですね。初めてミミがロジャーと出会う、私にとってすごく大事なシーンだと思います。

──ある恋愛モノの舞台に出てた人が「毎日舞台上で恋に落ちるのって大変ですよ」と話してたのですが、やはり「大変だなあ」って思いますか?

いやでも、ロジャーのお二方がイケメンなので(一同笑)。とってもイケメンで、しかもすごくステキな声なので、もう毎日メロメロになります。しかもそれが日替わりなのだから、贅沢ですよね……こんなこと言っちゃっていいのかな?(笑)

──堂珍さんとユナクさんのロジャーには、どんな違いを感じますか?

ロジャーが歌う『ワン・ソング・グローリー』という曲があるんですけど、その歌詞の「残り少ない時間をどう過ごしていくか」ということに対しての気持ちが違うなあ、と思います。堂珍さんは「これから死ぬまでの時間」をカウントしていて、ユナクさんは「どれだけ生きられるか」の方をカウントしてる感じがすると、特に最近強く思うようになりました。あと他人に対する拒絶の仕方や笑顔の向け方、包み込むような愛情の表現も全然お二方とも違うので、とっても楽しいですね。

──この舞台に出演されたことで、自分の中で何か変化を感じたことは。

自分に正直になった気がします。今感じていることに対して正直に生きていたいとか、毎日を気をつけて大事にしたいとか。日々「No day but today」(注:『RENT』に出てくる有名なフレーズ)ですね。

──ミュージカルを初めて経験したことで、歌手としても何か刺激を受けたかと思いますが。

でも今回の『RENT』に関しては、あまり自分の中で「演技をしている」という感覚がないので、歌手としての自分と、ミュージカルをやっている自分の差はあまりないなあと思います。ただ、以前よりも言葉を大事にしたり、その意味をもっと深く考えたりするようになったというのはあります。それってやっぱり、歌手としてやっていくのにもつながる部分ですよね。

──ではミミとはまったく別の、自分とはかけ離れたようなキャラクターを演じる作品に出たら、また違う発見があるかもしれませんね。

かもしれないですね。『RENT』って自分をさらけ出してナンボというものだし、人対人のぶつかり合いだったり、愛し合いだったりっていうのが多かったりするので。それって日々生きていく中で普通にあることなので、普段の自分とあまり変わらないままで来たかもしれません。でもミュージカルは、一人で(ステージに)立ってる時より、緊張が半分ぐらいですみます。やっぱり周りの大先輩方が、何かあったら助けてくださるという信頼関係があるので、その点では一人で歌ってる時より楽かもしれない(笑)。今後もミュージカルを続けていければいいですね。

チャリティ・デイで歌う『Love Heals』も「すごくいい歌詞なのでぜひ聞いてほしい」と語る青野紗穂。 [撮影]吉永美和子

チャリティ・デイで歌う『Love Heals』も「すごくいい歌詞なのでぜひ聞いてほしい」と語る青野紗穂。 [撮影]吉永美和子

──出てみたい作品ってありますか?

えー? 考えたこともなかったなあ……『レ・ミゼラブル』は挑戦してみたいです。革命の話で、ちょっと『RENT』に近い所もありますよね。主題とか、時代とか、国は違えども。何かやっぱり、そういう作品に惹かれるんですかね? いつか出られるよう頑張ります!

──これから地方公演が続きますが、その地域の皆様に向けてメッセージを。

やはり長年上演されているものなので、意味合いがすごく深かったりするんですけど。でも音楽がすごく楽しいとか、ライブ感覚で観られる部分もあるので、自分が参加した気持ちで楽しめる作品だと思います。なのでぜひ、遊びに来てください……超宣伝っぽい(笑)。

取材・文=吉永美和子

公演情報
ミュージカル『RENT』
 
<東京公演> ※公演終了
■日程:2017年7月2日(日)~8月6日(日)
■会場:シアタークリエ
 
<名古屋公演> ※公演終了
■日程:2017年8月10日(木) 
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
 
<大阪公演>
■日程:2017年8月17日(木)~22日(火)
※18日は「チャリティ・デイ」で様々なイベントを実施。詳細は公式サイトでご確認を。
■会場:森ノ宮ピロティホール
 
<福岡公演>
■日程:2017年8月26日(土)・27日(日)
■会場:福岡市民会館
 
■脚本・歌詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
■演出:マイケル・グライフ
■日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
■出演:
マーク:村井良大
ロジャー:堂珍嘉邦/ユナク(超新星)
ミミ:青野紗穂/ジェニファー
コリンズ:光永泰一朗
エンジェル:平間壮一/丘山晴己
モーリーン:上木彩矢/紗羅マリー
ジョアンヌ:宮本美季
ベニー:NALAW(CODE-V)
新井俊一、千葉直生、小林由佳、MARU、奈良木浚赫、岡本悠紀、長尾哲平(Swing)
■公式サイト:http://www.tohostage.com/rent2017/

 
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