菅井円加インタビュー 絵と音と舞による舞台芸術『日本神話 by マークエステル』に出演! 「舞台から何かを感じてもらいたい」

インタビュー
2017.8.19
菅井円加(撮影:中原義史)

菅井円加(撮影:中原義史)


フランス人画家マークエステルが描いた日本神話の世界を映像化し、和太鼓やバリトン歌手の歌と共にバレエダンサーたちが創作舞踊により、その世界を表現する公演『日本神話 by マークエステル』が8月20日(日)に東京、24日(木)に高松で上演される。

今回は2013年「出雲大社平成の大遷宮奉祝奉納公演」に引き続き、「天の岩屋戸」でアメノウズメを演じる菅井円加(ハンブルク・バレエ団ソリスト)に本作への意欲と、今後のバレエ団での取り組みを聞いた。

■出雲大社での踊りが初作品。「振り付けに興味があった」

――今回の『日本神話 by マークエステル』出演は2013年に「出雲大社平成の大遷宮奉祝奉納公演」に続いての出演ですね。出雲ではご自身の創作舞踊を踊られましたが、創作には興味があったのですか。

はい。以前からやってみたいなと思っていました。ご縁をいただいたのがきっかけで、2013年に出雲で踊ったものが最初の作品でした。今はハンブルクでも小作品などを作るようになっており、今回の『日本神話 by マークエステル』もその波に乗って、自分で振り付けを考えました。

――菅井さんの踊るアメノウズメのパート「天の岩屋戸」はどんな作品になるのでしょう。

全体的には6分くらいで、和太鼓の小林太郎さんとの共演です。和太鼓の迫力と素晴らしさを活かしつつ、自分らしさを出せればと思います。

この作品を振り付ける時に古事記を改めて読み直したんですが、アメノウズメって、こういう言い方はどうかと思いますが、日本初のストリッパーでもありますよね(笑) そういう色気のようなものもうまく引き出せたらいいなと思いますし、さらに私のイメージとしては力強さも出したい。エンタテインメントの場を盛り上げながら、しかし本当の目的である天の岩屋戸に隠れたアマテラスオオミカミを引き出す、そんな力強さを出していきたいと思います。

天の岩屋戸(マークエステル)

天の岩屋戸(マークエステル)

――この『日本神話』は全部で5つのパートからなり、バレエやダンスなど、何人ものダンサーが登場します。参加メンバーの方々と事前に構成などについてお話はしていたのでしょうか?

特に相談はなく、それぞれが自分の担当するパートをそれぞれに作りました。さらに宝満さん(新国立劇場バレエ団)がオープニングとフィナーレを作り、一つにまとめるという感じです。オープニングとフィナーレには全員が登場します。

――今回は様々なダンサーやミュージシャンなどと共演されますが、こういうコラボレーションに参加するのはいかがですか?

新国立劇場バレエ団のダンサーさん達はスタジオの発表会のゲストなどでお会いしているのですが、一緒に一つの作品で踊るのは今作が初めてとなりました。こういう機会はとても刺激になります。皆さんの踊りを見ていて「え、ここでこういう動きをするんだ!?」と思うこともあり、振り付けのアイデアも参考になり、勉強になります。

■ハンブルクでは来シーズンからソリスト。さらなる成長へ

――今度はドイツでのお話を伺いたいと思います。2012年にローザンヌ国際バレエコンクールで1位入賞後、ハンブルク・バレエ団のジュニア・カンパニー、ナショナル・ユース・バレエに入られました。ここを選んだ理由は?

ローザンヌでジュニア・カンパニーの話を聞いたのがきっかけです。私はスクールには入りたいとは思っておらず、すぐにプロとして活動したかった。ジュニア・カンパニーはどこでも踊ると聞いたので、いろいろな経験ができそうだと思い、私の意志で決めました。

――そこで2年間、在籍されたました。ジュニア・カンパニー時代に得た最大の糧は何でしょう。

人混み、刑務所、プールの中など、とにかくいろいろなところで踊ったので、臨機応変に対応するという点です。場所が様々ですから、それぞれの雰囲気に合ったところで踊るためには心の準備が必要です。ぱっと行って、即座にできるわけではない。臨機応変に落ち着いて、どんな状況でも自分のやることはやる、決して揺るがない、というメンタル的なものが相当に鍛えられました。とくに刑務所で踊るのは怖かった。たまたまそういうスケジュールだったとはいえ、本当に勇気のいるパフォーマンスで、そこから学んだことは大きかったです。強くあらねばならない、これもプロになる過程の一つなんだと自分に言い聞かせながら……。

――大変な経験でしたね。そしてハンブルク・バレエ団に入団し、今では世界トップクラスの方々と踊られています。

鳥肌が立つくらい素晴らしい方々がたくさんいて、先輩の表現を見て日々学んでいます。「こういう見せ方あるんだ」など、本当に勉強になります。いい先輩だなぁと。

――ハンブルクで創作などはされているのですか?

はい。ノイマイヤー監督が新しいバレエを作る時は、私たちもその作業の一部を担うというのでしょうか。監督は私たちダンサーからインスピレーションを得ているんです。「こう動いて」「こうやってみて」と言われてダンサーが動く。ダンサーにはそれぞれ個性があるから、人によって動きが違い、監督はそれぞれの動きを見てインスピレーションを得たものを作品に取り入れる。私たちと監督が一緒にクリエイトする感じです。私の動きも一部入っている作品もあります(笑)。

――ハンブルク・バレエ団で踊るということは、ダンサーにも振付家としての視点も必要なのですね。

そうかもしれません。ハンブルク・バレエ団のなかに「ユンゲン・コレオグラフェン」という振付の活動があって、志望者は作品を振り付け、それを監督の前で、ときには小劇場で上演します。私も時々参加しています。

――来シーズンからはハンブルク・バレエ団のソリストですね。今後の目標は。

とりあえず、怪我はしないようにしたいです。また今後バレエ団はヌレエフ振付の『ドン・キホーテ』やロビンス振付『ザ・コンサート』などの作品も取り上げていき、私もいくつか役が決まっています。ヌレエフの作品は独特だし、ロビンスは表現力が必要と聞いているので、そこからまた成長できるかと。身体のケアをしっかりしながら踊っていきたいです。

■マークエステル『日本神話』で何かを感じて帰っていただきたい

――そうして菅井さんがドイツで蓄積した経験を、我々日本のファンは『日本神話』を通して拝見できるわけですね。画家のマークエステルさんにはお会いしましたか?

はい。日本語が上手でとてもチャーミングな方です。絵はシーンごとに筆のタッチが違い、優しく力強い。マークエステルさんの人柄を感じました。私の踊る「天の岩屋戸」の絵は見ないで作りましたが、絵を拝見してイメージとは外れていなかったな、と(笑)。

――これから『日本神話 by マークエステル』を観るお客様にメッセージをお願いします。

キャストが豪華ですし、内容も興味深いバレエです。日本神話自体、私は大まかなところは知っていても登場人物の細かい名前は覚えられなかったのですが、こういう機会を得られてとても興味が深まりました。お客様にはぜひ、私たちの舞台を通して何かを感じて帰っていただければと思います。

――これからの活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。

菅井は、しっかりきびきびとした口調で一つひとつの質問に答えてくれた。「プロとして踊る」というゆるぎない意志のもと、チャレンジし、経験を積み重ねている自信と力強さがうかがえた。彼女をはじめ、著名なダンサー達が集い、踊る『日本神話 by マークエステル』。様々な個性と才能のコラボレーション、実に興味深い。

取材・文=西原朋未  写真撮影=中原義史

公演情報
絵と音と舞による舞台芸術『日本神話 by マークエステル』
 
■日時・会場
・東京/2017年8月20日(日)14:00~ 明治神宮会館(東京都渋谷区)
・高松/2017年8月24日(木)18:30~ レクザムホール(香川県高松市)
■出演:
・バレエダンサー:宝満直也、米沢唯、菅井円加、辻本知彦、菅原小春、福田圭吾(東京公演)、小野絢子(東京公演)、木下嘉人(高松公演)、五月女遥(高松公演)
・和太鼓:小林太郎
・バリトン:村山岳(高松公演)※東京公演は未定
・影ナレーター/多田広輝
■公式サイト:http://h-a-t.jp/concert_info.php

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