栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊の台詞の応酬に稽古場爆笑『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』

レポート
舞台
2017.9.4
シアタークリエ『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』

シアタークリエ『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』

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9月15日より29日まで、日比谷シアタークリエで上演される舞台『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』の公開稽古が行われた。出演は、栗山千明溝端淳平浅田美代子、そして中村雅俊の4人。バリ島のリゾートホテルの1室を舞台にした会話劇である。脚本は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』を手がけている脚本家・岡田惠和。演出の深川栄洋は、映画やテレビドラマなど映像作品でキャリアを積み、本作で初めて舞台演出に挑戦する。

この日、稽古が公開されたのは、1幕の途中から2幕の冒頭、そして3幕の歌唱シーンだった。会見のコメントとともに、稽古の模様をレポートする。

<あらすじ>バリ島のコテージの1室。派遣OLの加賀美幸子(栗山千明)と小説家志望のフリーター木暮治(溝端淳平)は、翌日に結婚式を控えているが、窓の外は激しい嵐。幸子は苛立ち、それまで溜め込んできた治への不満が噴出する。治はオロオロするばかり。幸子の母・敏子(浅田美代子)は、もともとこの結婚が気に入らなかったこともあり、仲裁する気はさらさらない。そこに後から到着した、治の父・久男(中村雅俊)が加わって……。

公開稽古には、多くの報道陣が集まった。4人の俳優が演技するエリアに、半ばはみ出すようなところまで記者やカメラマンが座っていたため、溝端と栗山は思わず「近い!」と笑っていたが、稽古が始まると一転。栗山はイライラ全開の“幸子”に変わった。

「まだ思いあたらないの!?」

何がひっかかるのか“チャーシュー麺”というフレーズに反応した幸子は、治を早口で問い詰める。治は、どこか勘所がずれた受け答えをする。敏子は、2人を仲裁するでもなくシビアなコメントをはさむ。ピリピリとしたムードの中で3人の掛け合いが続くが、三谷幸喜作品の音楽で知られる荻野清子によるピアノ伴奏により、場面はコミカルに仕上がっている。

栗山千明、溝端淳平

栗山千明、溝端淳平

バリ島の民族音楽であるガムランをBGMに登場するのが、治の父であり自称「晴れ男」の久男だ。部屋にかけられたウェディングドレスを前にした幸子との会話が、お調子者っぷりを象徴している。

「いやあ、いいドレスだ」
「第2希望なんですけれどね」
「それは良かった! 運が良かったよ、第3希望じゃなくて。あはははは!」

(左から)栗山千明、中村雅俊、溝端淳平

(左から)栗山千明、中村雅俊、溝端淳平

 
久男を見て、急に落ち着きを失くす敏子。実は久男は、グループサウンズ時代に「チャッピー」というニックネームで活動していたことが明らかになる。かつて「チャッピー」のファンだったのか、物語の続きが気になる展開だ。
 

中村によれば、この作品はとにかく台詞が多い上に、演出の深川は、スピードを求めるという。浅田と栗山は、深川の演出をまねるように「ハイスピード! ハイスピードで!」と口を揃えた。さらに、4人全員に、ひとりで4ページ位の長台詞もあるのだそう。

岡田惠和による脚本について、会見で溝端淳平は次のようにコメントした。

「『で?』とか『え?』とか細かい台詞も多く、テンポが大事。4人の息が合わないとできないですね。脚本をいただいた時は、読みやすくて面白いと思いました。でも、日常会話すぎて、日本語の文法よりもリアルを追求されていて、覚えるのは逆に難しいですね。読む方が簡単。観る方も楽に観られるけれど、演るほうは大変なお芝居です。それはお芝居としてはいいことだと思います」

(左から)栗山千明、溝端淳平、中村雅俊

(左から)栗山千明、溝端淳平、中村雅俊

『ミッドナイト・イン・バリ ~史上最悪の結婚前夜~』は、劇中に全4回の歌唱シーンを予定している。この日披露された「♪みんな愛してる」は、作詞・岡田惠和、作曲とピアノ伴奏は三谷幸喜作品で知られる荻野清子の書下ろし。稽古はまだ前半戦ということもあり、振付けの広崎うらんに指導を受けながら(励まされながら?)キャストたちは動きを確認し、その後報道陣の前でも披露した。栗山と溝端をバックに、中村と浅田がセンターで歌い踊るシーンは必見だ。

(左から)浅田美代子、中村雅俊、溝端淳平、栗山千明 『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』

(左から)浅田美代子、中村雅俊、溝端淳平、栗山千明 『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』

本作は、台本の段階では、歌もダンスもないストレートプレイだったという。稽古後の会見で「ほんとにやるんだ!?って思いました!」と振り返るのは栗山。マシンガントークの台詞回しから一転、しなやかなダンスを披露した。溝端にとっては、舞台での歌とダンスは初挑戦。「この作品には、思った以上に歌もダンスもがっつりありますね。今回のスタッフさんは、相当勇気があるなと思いますよ。僕は歌が苦手なので」と苦笑い。稽古では、至近距離の報道陣を前に、照れを振り払うような思いきりの良いダンスで稽古場を大いに沸かせていた。

溝端淳平

溝端淳平

公開稽古を終えた栗山は「こういった形の稽古ははじめてなので緊張しました」と感想を述べた。浅田も「ただでさえパニくっているのに、こんなにたくさんの方がいて「どうしましょう」と思いました」と笑う。溝端は「稽古前、演出の深川さんは、現在の出来を5割とおっしゃってくださいました。でも僕的にはまだ2割なので、これからがんばりたいです」と意気込みを明かす。中村は、「まだ稽古が始まって2週間。公開するには早すぎると思っていましたが、その割にはちゃんとみんなやったなあというのが実感です」とコメントした。

(左から)浅田美代子、溝端淳平、栗山千明、中村雅俊

(左から)浅田美代子、溝端淳平、栗山千明、中村雅俊

 
会見では、栗山と溝端に「理想の結婚式は?」との質問も上がった。「理想はないです」「みんなで気楽に食事をするくらいがいいかな」と控えめなコメント。2人に対して中村が「でもほら、よく言うじゃない。(式で)大変な思いをするから離婚はしなくなるって」と切り出すも、「すみません、(離婚)しちゃいました!」と浅田がかぶせるように告白。一同を爆笑させる一幕もあった。
 
(左から)浅田美代子、溝端淳平、栗山千明、中村雅俊

(左から)浅田美代子、溝端淳平、栗山千明、中村雅俊

フルスロットルでキレる新婦、絶妙に不甲斐ない新郎、アップダウンの激しささえチャーミングな母親に、調子の良い父親。個性的だが、身近にもいそうな登場人物たちの台詞の応酬は、短い稽古場見学でもすでに笑いを起こした。本番までにどう磨きがかかるのか期待が高まる。

(左から)栗山千明、溝端淳平、中村雅俊

(左から)栗山千明、溝端淳平、中村雅俊

 

舞台『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』は、東京・日比谷シアタークリエにて9月15日(金)より9月29日(金)まで、その後全国で上演される。

公演情報
『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』
 
■出演:栗山千明 溝端淳平 浅田美代子 中村雅俊 
ピアノ=荻野清子 ギター=阿部寛 パーカッション=藤井珠緒 
■脚本:岡田惠和
■演出:深川栄洋
■音楽・演奏:荻野清子

 
■日程・会場
9月15日(金)~9月29日(金)東京 シアタークリエ
10月03日(火)静岡 富士市文化会館 ロゼシアター 
10月05日(木)愛知 愛知県芸術劇場 
10月07日(土)~08日(日)大阪 サンケイホールブリーゼ
10月10日(火)福岡 久留米シティプラザ 
10月12日(木)鹿児島 鹿児島市民文化ホール第2 
10月14日(土)山口 ルネッサながと
10月17日(火)岡山 岡山市民会館
10月19日(木)愛知 豊川市文化会館
10月22日(日)新潟 りゅーとぴあ
10月24日(火)岩手 岩手県民会館
10月29日(日)千葉 印西市文化ホール
10月31日(火)~11月01日(水)金沢 北國新聞赤羽ホール

 

 
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