京都の奥深い魅力を堪能かつ“独り占め”できるイベント、『京あそび』の体験プログラムをレポート

レポート
2017.9.8

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今年、大政奉還150年を迎える京都。その舞台となった元離宮二条城とその城下町に位置する二條陣屋、そして特別メニューも味わえる京料理の昼食と、京都の奥深い魅力を一日たっぷり堪能かつ“独り占め”できるイベント、『京あそび』の「最後の将軍 徳川慶喜公に想いを馳せて…」が開催されている。ガイドによる詳細な説明とイベント参加者だけの特別拝観が人気を呼んでいる。SPICE編集部ではその一日をレポートした。

二條陣屋では様々な意匠も施された江戸時代の防衛建築に注目

「最後の将軍 徳川慶喜公に想いを馳せて…」のスタート地点は元離宮二条城(以下、二条城)からほど近い二條陣屋。ここは江戸時代、大名の公事宿・上洛宿として使われていた豪商の屋敷で、現在、民家では全国で2番目に国の重要文化財に指定された代々小川家の住宅でもある。各地の大名が宿泊する屋敷だっただけに、意匠をこらした内装や貴重な建築資材はもちろん、見事な防衛建築も見ごたえ十分。敷地面積は300坪と広大で、25部屋あるうちの12部屋を見学した。

門をくぐると目に飛び込んでくる小川家の家紋、九曜文の暖簾

門をくぐると目に飛び込んでくる小川家の家紋、九曜文の暖簾

大名の宿泊施設を指す「陣屋」。二条城の城下町にあることから「二條陣屋」と名付けられた。屋敷のいたるところに大名を敵から守るための工夫や利便性を追求した設計が施されているほか、茶室や床の間など数寄屋造りならではの意匠も楽しめる。それらについてガイドが懇切丁寧に説明。最初に訪れる大広間ではふすまなどの装飾や銘木を使用した床の間、天袋の襖絵といった内装の詳細、天井にしつらえられた天窓の明かり取りが実は防衛のためにあること、屋敷を火災から守るための仕組みなどを聞いた。パッと見ただけでは分からない工夫に、参加者から驚きの声が上がる。またガイドの話を聞くうちに浮かんでくる疑問も投げかける場面もあり、和気あいあいとした雰囲気の中で進行していった。

まずは大広間で二條陣屋の由来を聞く

まずは大広間で二條陣屋の由来を聞く

大広間の隣室は「能の間」。床下には音響効果を出すための甕が埋められている

大広間の隣室は「能の間」。床下には音響効果を出すための甕が埋められている

二條陣屋の見どころはなんと言っても、からくり屋敷のような防衛建築だ。大広間の天井にあった天窓の明かり取り、下から見上げたところでは天窓しか見えないのだが、そこには一畳ほどの空間があり、そこは「武者溜まり」と呼ばれる大名を守る武士たちの控室になっているのだ。

階上の足音が漏れないように床も二重張り。屋敷の2階に上がって判明するその仕組みに、点と点がつながる楽しさが参加者の間に広がる。狭い廊下を効率よく使うため、また侵入者の目をくらませるための「釣階段」、追ってきた敵から身を隠す場であり、階段に見せかけて実は奈落という仕掛けで敵を欺く「落し階段」など、いたるところに巧妙な仕掛けが備えられている。参加者から「ガイドさんの説明がとても分かりやすくて、見ごたえがありました」という声があった。

また、「二条城は知っていたけど、二條陣屋の存在はこのイベントで知りました。手の込んだ建築で、初めて訪れましたが、驚きの連続で楽しかったです」という感想も飛び出した。

通常は廊下の天井に収納されている「釣階段」

通常は廊下の天井に収納されている「釣階段」

大広間の天井の明かり窓。斜めになった天井の横に「武者溜まり」が設えてある

大広間の天井の明かり窓。斜めになった天井の横に「武者溜まり」が設えてある

2階から見た天窓と「武者溜まり」。武士たちはここで息を潜めて待機していた

2階から見た天窓と「武者溜まり」。武士たちはここで息を潜めて待機していた

引き戸を開ける音で敵をおびき寄せ、階段があるものと見せかける「落し階段」。

引き戸を開ける音で敵をおびき寄せ、階段があるものと見せかける「落し階段」。

ランチは慶喜公も食したとされる逸品も楽しめる特別コースを有名京料理店で

二條陣屋の見学は約1時間。お昼時になり向かったのは京料理・貴与次郎だ。丁寧に作られた京料理のコースが味わえるのも、このイベントのお楽しみ。参加者のために用意された特別コースは、徳川慶喜公が食したという「鯛照焼」を含む全10品。「長芋のトマトゼリー寄せ」の先付から牡丹鱧のおすまし、旬の魚が味わえる向付、温物はもろこし真丈信田巻、鰊茄子木の芽の炊合せ、そして汁、白ご飯、香の物、水物と季節の京野菜を多用した料理に舌鼓を打った。

特別メニューの「鯛照焼」は、あっさりとした塩味ながら脂の風味が口の中でふわっと広がる一品。この照焼を慶喜公も召し上がっていたのかと思うと、その存在感がぐっと近くなったような錯覚すら覚える。味覚で歴史に触れられるのも、このイベントの最たる特徴だ。

旬の食材を使用した全10品のコースをゆったりといただける

旬の食材を使用した全10品のコースをゆったりといただける

このイベントでしか食べられない慶喜公も味わったとされる「鯛照焼」

このイベントでしか食べられない慶喜公も味わったとされる「鯛照焼」

貴与次郎では、千利休が茶の湯に用いたとされる名水「柳の水」と称される水を使用しており、柔らかな水質が出汁の風味を一層引き立てるという。牡丹鱧のおすましや汁物で、その豊かな風味を味わえる。京の町家の雰囲気を残す貴与次郎。室内へは玄関で靴を脱いで上がる。そうすることで、京都の邸宅にお邪魔したような感覚も楽しめるのだ

また、この日の参加者に用意されていたのはカウンター席。料理長と会話をしながらのお食事を楽しむこともでき、思いがけないコミュニケーションも思い出の一つになる。
参加者は「鯛の照焼もさっぱりしていておいしかったです。お食事はすべて“良いものを食べた”という感じでした」と満足した様子だった

京料理・貴与次郎の玄関。奥行が長い“鰻の寝床”になっている

京料理・貴与次郎の玄関。奥行が長い“鰻の寝床”になっている

最後の将軍、徳川慶喜公の面影を感じられる二条城へ

最後に訪れたのは世界遺産の元離宮二条城。二条城に始まり、二条城に終わったと言われる江戸時代。約83000坪という広大な敷地のいたるところで150年前に大政奉還を行った慶喜公の姿を感じられる場所でもあり、イベントのクライマックスには最適だった。

なんといっても二条城では、普段の観光では入れないところでゆったりと記念撮影ができるという参加特典が待っている。ガイドとともにまず向かったのが特別名勝 二の丸庭園だ。が、その前に訪問客の誰もが足を止める唐門で、やはりイベント参加者の足も止まった。思わず「すごいな~!」と声が出る唐門は、二の丸御殿の正面にあたり、格式の高さを表す唐破風が目に飛び込んでくる。平成25年に修復工事が終わり、より一層輝きを増した唐門。鮮やかな装飾は日光東照宮の陽明門のひな型になった。知らなければ見落としてしまうような彫刻などもガイドが細かく説明、参加者も熱心に耳を傾けていた。

唐門彫刻の修復に使用した金箔は11400枚。その輝きは一見の価値あり

唐門彫刻の修復に使用した金箔は11400枚。その輝きは一見の価値あり

名勝で自分だけのアングルを独り占め

特別名勝 二の丸庭園は通常、立ち入り禁止となっており、二の丸御殿側から眺めるだけなのだが、このイベントの特典は庭園内に入り、写真を撮れること。池の中央に浮かぶ蓬莱島を借景に記念撮影ができる、参加特典のアングルに喜びの声が上がった。また、きちんと管理された庭園をじっくり拝観できるのも魅力的だ。ここでの時間もたっぷり設けられているので、焦ることなく撮影や庭園拝観できた。そういった余裕が参加者たちの間に穏やかな雰囲気をもたらした。

このアングルはイベントに参加しなければ得られない

このアングルはイベントに参加しなければ得られない

その後、本丸御殿の脇を通り、天守閣跡へ。

「五山送り火」で知られる如意ヶ嶽(大文字山)の眺望が楽しめ、参加者からも歓声が上がった。「天守閣から見る冬の大文字もいいものですよ。山に雪が積もって大の文字がくっきりと浮かび上がってくるんです」というガイドのアドバイスにも「また訪れたい」という声が聞こえた。

天守閣を後にし、慶喜公が大政奉還後に二条城を去るため通った西門、ダイアナ妃を招き園遊会を開いた庭園「清流園」なども見学し、いよいよメインイベントの二の丸御殿内へ。

天守閣跡に登ると比叡山や愛宕山なども望める

天守閣跡に登ると比叡山や愛宕山なども望める

現在は使われていない西門。この門から慶喜公が去り、江戸時代が終わった

現在は使われていない西門。この門から慶喜公が去り、江戸時代が終わった

二条城を代表する障壁画を至近距離で写真撮影

将軍上洛の際に武器類を収めたと言われている大広間四の間。一羽の鷲と二羽の鷹が描かれている障壁画「松鷹図」は二の丸御殿の代表的なもので、大広間の中でも最も桃山時代の雰囲気を残している。普段は廊下から拝観するだけの四の間に入り、畳に座ったりしながら自由に写真が撮れるというスペシャルイベントが最後に待っていた。京都にはよく行くという参加者は「二条城は行ったことがあったけど、いつもは入れないところに入れたのがよかった」と、このイベントだけの特典に満足げな様子。四の間では、壁画を背景にした記念撮影、大広間の特徴を生かしたアングルでの撮影、天井画をカメラに収めようと工夫する参加者の姿も見られた。

ほかに「松鷹図」を至近距離でじっくり眺められたのも参加した美術ファンの心をつかんでいた。四の間での時間も充分に設けられており、参加者の思い思いのペースで過ごすことができ、広い城内を歩いて回った疲れも癒される。時刻は閉城時間が迫っており、城内を行く人の足音も少なくなっていく。ひとけの少なくなった城内で静かな時間を過ごすことができたのも、とびっきりの贅沢だった。

イベントの目玉である四の間での記念撮影。畳に上がれるだけでも感激だ

イベントの目玉である四の間での記念撮影。畳に上がれるだけでも感激だ

こんなに近い距離で名作の「松鷹図」を見られる。高精細レプリカでも迫力十分

こんなに近い距離で名作の「松鷹図」を見られる。高精細レプリカでも迫力十分

四の間のいたるところで記念撮影ができる。

四の間のいたるところで記念撮影ができる。

「ガイドさんが面白く説明してくれたので、楽しかった」と振り返る参加者。単なる観光に留まらない、最後の将軍である徳川慶喜の面影と、幕末から明治にかけた時代の激流を感じられる、知的好奇心をめいっぱい満たすこのイベントは、9月15日(日)まで随時、開催される。

このイベントだからこそ体験できる“ほんもの”の京あそびを!

このイベントだからこそ体験できる“ほんもの”の京あそびを!

レポート・文=岩本和子 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

イベント情報
最後の将軍徳川慶喜公に想いを馳せて
日程:2017年 9月14日(木)、15日(金)
内容:10:40 二條陣屋にて受付開始
    (京都市中京区三坊大宮町137番地)
   11:00 二條陣屋見学
   12:30 貴与次郎にて昼食 
   14:30 二条城見学
   17:00 解散
募集人数:各日15名(※定員に達し次第締め切りとさせていただきます。)
参加費:17,000円(税込)

 

 

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