天才絵師、伊藤若冲らの非公開作品を至近距離で堪能! ゆかりの地・宝蔵寺での『京あそび』をレポート!

レポート
イベント/レジャー
2017.9.23

画像を全て表示(10件)

宝蔵寺·小島住職の軽妙洒脱なトークで知られざる若冲の一面にふれる

京都の新たなる魅力に迫るイベント「ここでしか見られない“ほんもの”にふれる講座 京あそび」が好評だ。9月17日、18日には、錦市場からもほど近い裏寺町の浄土宗西山深草派「宝蔵寺」で『江戸時代の天才絵師 伊藤若冲 ゆかりの地「宝蔵寺」で若冲に浸る』が行われた。

宝蔵寺が所蔵する貴重な伊藤若冲の作品を鑑賞するほか、小島住職の法話や桂よね吉らの落語も楽しめるとあって、多くの参加者が集った。

伊藤若冲生誕の地である錦市場の近くに位置する宝蔵寺は、伊藤家の菩提寺でも知られている。本堂入り口手前に伊藤家のお墓が移されており、手を合わせる若冲ファンの姿も多く見られた。

宝蔵寺に眠る伊藤家のお墓が本堂の手前に整備されている

宝蔵寺に眠る伊藤家のお墓が本堂の手前に整備されている

普段は非公開の本堂でまずは小島住職の法話からイベントがスタート。法話といっても堅苦しいものではなく、住職の軽妙な話術に時折、笑い声も沸き起こる。境内の裏手にあった伊藤家のお墓を整備して以来、宝蔵寺は若冲ゆかりの寺としてスポットライトを浴び始めたと住職。「お墓をきれいにし、お墓参りすることは本当に大事ですよ」と力を込める。

小島住職の笑いを交えたトークに参加者もリラックス

小島住職の笑いを交えたトークに参加者もリラックス

通常は非公開の若冲が描いた水墨画の傑作「竹に雄鶏図」は、若冲生誕300年を迎えた2016年に本物と鑑定された作品だ。それまでは見る人、見る人に「偽物」と言われ続け、長らく蔵にしまっていたと笑いを交えて紹介。「髑髏図」も、近年、若い世代を中心に受け入れられたことで脚光を浴びたが、かつては忌み嫌われることも多かったという。人々が「髑髏図」に抱く印象は今とは180度異なっており、人気が出るまでの“苦悩”を面白おかしく語る。わかりやすく、楽しい法話を聞くうち、「竹に雄鶏図」や「髑髏図」との対面に期待が高まっていった。

直筆の「竹に雄鶏図」に人気作「髑髏図」、高精細複製の「果蔬涅槃図」を至近距離で!

左から「髑髏図」「竹に雄鶏図」。「竹に雄鶏図」が本物とわかり「喜びもひとしおだった」と小島住職

左から「髑髏図」「竹に雄鶏図」。「竹に雄鶏図」が本物とわかり「喜びもひとしおだった」と小島住職

約20分の法話ののち、2グループに分かれて水墨画や映像作品の鑑賞を。1グループが宝蔵寺所蔵の水墨画などを拝観している間、残る1グループは特別上映の4K映像作品「伊藤若冲生誕300年記念若冲 祈りのかたち」を鑑賞した。4K映像作品では、最先端のデジタル技術により高精細複製された「果蔬涅槃図」についても紹介されており、宝蔵寺の書院には本物の1/2サイズの高精細複製が掛けられている。

映像の美しさにも目が釘付けになった4K映像作品『若冲 祈りのかたち』

映像の美しさにも目が釘付けになった4K映像作品『若冲 祈りのかたち』

非公開の若冲作品が見られる書院では、改めて小島住職からそれぞれの作品の説明があった。「髑髏図」や肉筆の「竹に雄鶏図」の迫力はもちろん、本物とそん色のない高精細複製の「果蔬涅槃図」も至近距離で鑑賞でき、じっくりと細部まで目を凝らす参加者たち。時間もたっぷりと設けられているので、心行くまで堪能した。

高精細複製の「果蔬涅槃図」。最新のデジタル技術で限りなく本物に近づけた

高精細複製の「果蔬涅槃図」。最新のデジタル技術で限りなく本物に近づけた

若冲作品のモチーフが登場する上方落語「天神山」を桂よね吉が熱演!

最後は上方落語で若冲を体感。まずは月亭遊真が「時うどん」を、桂二乗が「癪の合薬」を口演。トリを桂よね吉が務め、物語に髑髏や動物が登場する「天神山」をたっぷりと聞かせた。

「時うどん」で会場の温度をさらに上げた月亭遊真。

「時うどん」で会場の温度をさらに上げた月亭遊真。

芸名の「二乗」は京都の「二条」にちなんだもの。

芸名の「二乗」は京都の「二条」にちなんだもの。

小島住職と親交の厚いよね吉は、歯に衣着せぬ物言いで小島住職とのやり取りをマクラで紹介し、笑いを誘う。宝蔵寺が若冲ゆかりの寺として注目を浴びる以前から演目「天神山」と若冲作品に共通点があると盛り上がっていたことも明かし、今回のイベントで口演できたことを喜んだ。髑髏やキツネ、植物など、若冲作品のモチーフになっているものが次々に登場する「天神山」。よね吉は情けと笑いを織り交ぜながら熱演した。

マクラもネタもたっぷりと聞かせた桂よね吉。

マクラもネタもたっぷりと聞かせた桂よね吉。

今回の参加者には若冲の「髑髏図」が描かれた宝蔵寺オリジナルの髑髏手ぬぐいと髑髏朱印のお土産も
若冲尽くしのプログラムに、みな満足げな表情を浮かべて宝蔵寺を後にしていた。

帰り際、小島住職が門前まで見送ってくれた。

帰り際、小島住職が門前まで見送ってくれた。

レポート・文=岩本和子 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

イベント情報
江戸時代の天才絵師伊藤若冲 ゆかりの地「宝蔵寺」で若冲に浸る
日程:2017年9月17日(日)、18日(月・祝)
内容:13:30〜 宝蔵寺にて受付開始
    (京都市中京区裏寺町通り蛸薬師上る裏寺町587)
   14:00~ 小島住職による「若冲を語る」法話
    4K映像作品「若冲 祈りのかたち」
    若冲作品ほか水墨画鑑賞
    上方落語家 桂よね吉氏による「天神山」
   17:00 解散
募集人数:各日60名 
参加費:6,000円(税込)

 

シェア / 保存先を選択