森蘭丸役・水江建太が10年待ち続けているもの~Bloody Love歌劇『ババンババンバンバンパイア』インタビュー
水江建太
Bloody Love歌劇『ババンババンバンバンパイア』が2025年9月20日(土)~9月25日(木)、東京国際フォーラム ホールCにて上演される。「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)にて連載中の奥嶋ひろまさによる漫画作品を原作に、老舗銭湯で住み込みバイトをする“吸血鬼”の森蘭丸が、究極の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯の一人息子・立野李仁の純潔を守るために奮闘する姿をコミカルに描く。
森蘭丸役を務める水江建太にインタビューを実施。作品の魅力や初挑戦となるコメディへの向き合い方を語ってもらった。役を演じる上でヒントになりそうな、10年越しに開封する予定の秘蔵品もあるようで……?
水江建太
ーー森蘭丸役として本作のオファーがあった際、どんなお気持ちでしたか?
作品はもともと知っていたので、まず原作を読んでみたら……なかなか攻めた役で(笑)。ビックリしましたけど、面白いなと思いました。今までやってきた役とはガラッと変わるキャラクターですし、挑戦し甲斐のやる役だと感じています。コメディ作品であるところも、自分としては新しい挑戦です。
ーー原作をすでに読まれているとのこと、水江さんが思う作品の面白さを教えてください。
コメディとしてすごくテンポが良く、読みやすくて楽しい作品だなというのが第一印象でした。ちょっとお下品が混じりつつ(笑)、面白さにどんどん引き込まれていって。かと思えば、読み進めていくと、バンパイアとして長く生きる中で見つけた「生きる理由」を説くシーンがあって。(立野)李仁君への思いも含めてのセリフにはグッときました。あとは前半にある「恋せよ乙女」のセリフも好きですね。「何言ってんだ!」と思っちゃいました(笑)。劇中でも言えるんでしょうか? ふふふ(笑)。
ーーこの取材時点では稽古開始前ですが、台本は読まれましたか?
初稿の段階ですが、目を通しています。テンポ感など含めて作品の魅力は存分に出せる内容になっているのではないでしょうか。“歌劇”ということで歌ももちろん入ってきます。主題歌「ビビビ!」を聞いた印象は、楽しそうな曲。音楽に落とし込んでバンパイアっぽさ、この作品らしさを出せるのがすごいなって思いました。空を飛んだりぶら下がったりする人間らしくない動きをどう表現するのか気になりますね。演出家の川尻(恵太)さんがどう作り上げるのか楽しみにしているところでもあります。
水江建太
ーーコメディ作品への出演は初とのこと。コメディとの相性は、ご自身ではどのように感じてらっしゃいますか?
どうなんですかね!? それこそ、この作品でわかるんじゃないかと。作品の一部の要素としてコメディ寄りのシーンを演じた経験はあるのですが、作品自体がコメディという枠になったときに、どういう作り方をしていくのかは未経験。自分がハマっているかどうかというのは、稽古を通じてわかっていくのかなと。今、この段階ですごく自信を持っているかどうかというのは……ちょっとまだわからないというのが正直な心境です。
ーー役者として一つ大きな決断をされた?
そうですね。「役者として殻を破りたい」という自分の思いはずっと変わっていないので、ぜひ挑戦したいという気持ちでした。不安で一歩引いているというよりは、前向きな。未知の領域というよりは、役者としての難易度の高さを感じているんです。人それぞれに好き嫌いが分かれる“笑い”を、一つの作品として協力プレーで作り上げなければいけないので。役者としては難しいジャンルですが、見るのは好き。特にお笑いは、一時期ハマっていたこともあります。今の段階では、ドラマなどのいろいろなコメディ作品も勉強として見ているところです。
ーーコメディ要素に加え、好意の矢印が行き交う複雑なキャラクターたちの相関関係もストーリーの見どころ。蘭丸が血を狙い続ける李仁役の崎元リストさんとは初共演ですね。
まだ直接お会いできていないんですが……(崎元の写真を見ながら)もう、かわいいですよね! キャラクターそのまんま! しかも、現役高校生だと伺っています。2009年生まれの16歳!? 恐ろしい、その若さが恐ろしいですね! 玉の子だと思って扱いたいと思います。可愛らしい印象ですが、この年齢で表舞台に立っているのはカッコいい。僕が16歳のときは、ただのいち学生でしたから。きっとしっかりしてるんだろうな。お会いするのが楽しみです。
水江建太
ーー男性陣は共演経験がある方が多いですね。
すでに作品でご一緒してきた方が多いので、頼もしいメンバーが揃ったなと。フランケン(篠塚健)役の山野(光)くんと森長可役の染谷(俊之)さんは、「MANKAI STAGE『A3!』ACT3! 2025」でご一緒したばかりですね。山野くん、フランケンそのままですよね! 本当にダンスが上手なので教えてもらいたい……けど、そんな時間ないだろうな(笑)。長可との兄弟対決はもう、染谷さんがエスコートしてくださるでしょう! なんでもできる方ですから。『「BANANA FISH」The Stage』でもご一緒した坂本梅太郎役の佐奈(宏紀)くんとは、また因縁の間柄ですね。対人で芝居したときにすごくやりやすかった印象があって信頼しています。
ーーここからは作品にちなんだ質問をさせてください。劇中で蘭丸が住み込みで働く銭湯「こいの湯」にちなんで、最近の水江さんご自身の銭湯事情をお聞かせください。
かつてはサウナ好きで銭湯にもよく行っていましたが、最近はなかなか時間がなくて。いわゆるサウナブームが始まる前から好きでした。今でいう“ととのう”感覚にハマっていた気がします。ちっちゃい頃から家族で銭湯に行く習慣があったので、昔から好きだったんです。大人になってからは撮影でも行く機会があったんですが……今度、役作りも兼ねて久々に行ってみようかな。
水江建太
ーーちなみに、入浴時のこだわりはありますか?
最近思っているのは、もうちょっと細かく体洗ってもいいかなと。背中ブラシを買ったんです。孫の手の要領で洗えて便利かなと思ったんですけど、ちょっと小さすぎてあんまり役に立たず(笑)。ゴシゴシと洗えるやつを探しています。
ーー「18歳童貞の血」を味わうまで、李仁の血をすでに10年にわたり辛抱強く我慢し続けている蘭丸。水江さんが長年憧れているものは何かありますか?
欲しいものがバンバン出てくるタイプでもないので、あったら割とすぐ買っちゃうことが多いんですけど……あ。森蘭丸と同じように10年待っているもの、ありました。お仕事でパリに行ったときに、お土産として買ったワインです。最近はお酒を全然飲んでいないんですけど、せっかくなので本場のワインを買ってみようと。たまたま入ったお店で出会ったのが、あと10年寝かせれば飲み頃になるっていう赤ワイン。「それだ!」って買ってから約2年、ずっと家の冷蔵庫に眠っていますね。開けるたびに目に入るので、何か入れようとするたびに「お前、でかいな~」って思いながら見ています(笑)。今、まさに開けるときを楽しみに待っているところですね。正直、ちょっと忘れてましたけど(笑)。たしか、あと8年だったと思いますが……このへんも曖昧です(笑)。今思うと、役作りですね。ちなみに、別に何か記念日があるわけでもないので「10年経ったね~」って言って開けると思います(笑)。
ーー最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
この作品が発表されたときには、すごくびっくりされた方も多いでしょう! 僕たちが楽しく、作品を演じている姿をお届けすることでBloody Love 歌劇『ババンババンバンバンパイア』の魅力が存分に伝わればいいなと思っています。役者としてはもちろん、作品に向き合うことで自分自身も成長したい。ぜひ足を運んでいただきたいですし、楽しんでいただけたらとても嬉しいです。よろしくお願いします!
水江建太
ヘアメイク=AKi
スタイリスト=深澤勇太
取材・文=潮田茗 撮影=池上夢貢
公演情報
演出 川尻恵太(SUGARBOY)
脚本 渡辺雄介
主題歌 「ビビビ!」 Produced by Alpha-Enterprise
出演
森 蘭丸役 水江建太
篠塚 葵役 井手柚花
篠塚 健役 山野 光
山羽カオル役 滝澤エリカ
立野春彦役 髙木 俊
立野珠緒役 美羽あさひ
ほか
一般発売 2025年8月24日(日)10:00
協力 一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会
主催 歌劇『バババ』製作委員会
公式サイト https://blm-bababa.com
公式X https://x.com/blm_bababa ハッシュタグ:#歌劇バババ
公式YouTube https://www.youtube.com/@blm_bababa